ソノマの暮らしブログ

カフマン 恵美子 はまだ経歴を設定していません

コロナウイルス惨禍の誕生日

いつ終わりが来るのかわからないアメリカのコロナウイルス感染激増中の7月21日に誕生日を迎えました。

良き時代、1969年の7月20日20:17にアポロ11号が月に初めて人類を着陸させました。そして6時間39分後、アームストロング司令官が7月21日午前2時56分(UTC)、私の誕生日に初めて月面を踏みました。

打って変わって、2020年の誕生日はコロナ惨禍。行きたいレストランはほぼ閉店、テラスがあるレストランしかオープンしていないので、華やかバースデーディナーを楽しむことはできないという状況下での誕生日でした。

そんな中で夫と娘は、記憶に残る楽しいいバースデーを演出してくれました。

車で約1時間ほどかかるヒールズバーグという町に、有名なレストランがあります。通常は予約困難で、お一人様料理だけで5万はするシングル・スレッドというレストランなのですが、コロナ惨禍中はテイクアウトだけの営業で適切な価格でカジュアルディナーを出してます。それを知った夫は、テイクアウトの予約に挑戦してくれました。すごい人気で、あっという間に売る切れるのですが、運よくテイクアウトの予約ができました。

私は3月17日から数回しか外出していないので、ドライブがてらに夫と一緒にヒールズバーグまで出かけました。

「わーい、ソノマの町から脱出だあ!バンザーイ!」と解放感に狂喜。

テイクアウト受け取り時間は午後5時45分、5時ころに着いて、こぎれいな街を散策して、こちらもテイクアウトだけですが、おいしいコーヒー屋さんがあるので、そこでコーヒーを買おうねと、車を駐車して、いそいそとコーヒー屋さんに向かいました。

「えっ,閉まってる。信じられない!」恨めしい顔で表示をにらみつける私。

記憶にあるヒールズバーグの町はたくさんの観光客で賑わっていました。コロナ惨禍中だけれど、多少は人が歩いているだろうと思ったのですが、週日であることと時間帯も関係あるのでしょうが、しゃれたブティックや小物屋さん、カフェ、レストラン、全部閉店。だれも歩いていなくてがらーんとしていました。

テレビの報道を見てコロナウイルスの影響は凄いのだということは知ってましたが、実際にがらんとした町を夫と二人で歩いて、ぞっとして、そして悲しくなりました。この状況がもたらす経済的な影響は計り知れないということを肌で感じました。

結局一杯のコーヒーを楽しむこともなく、レストランの駐車場で車から降りることなく、マスクをした(夫と私も)サーバーの女性から大きな紙袋に入った料理を受け取って、帰って来たのです。

娘が庭の花を摘んでセンターピースにして素敵なディナーのセッティングをして待っててくれました。

お皿を洗う手間を少なくするためにレストランが詰めてくれた容器のままテーブルに並べることにしました。この容器は植物で作ってあって、生物分解性容器なのでごみ処理に安心して出せます。

カジュアルディナーはフライドチキン、トウモロコシ、自家野菜のサラダ、ポテトを料理したもの、ビスケット(パンの一種?)、自家製のバター、デザートまでついていました。シンプルな料理なのですが、全て素晴らしく美味しいのです。自営のオーガニック農場で得た食材を使ってるのだから、とっても新鮮です。一流シェフはカジュアルな料理も手を抜かないんですね。

ワインは友人がくれたシャンパン、2008年のドン・ペリニョンと2012年のソノマコーストのピノ・ノワール。シャンパンはエレガントでフレッシュ、幸せ感がぐんとアップ。シャンパンをプレゼントしてくれた友人が、電話をくれて、多少、音が外れてたけどハピーバースデーを歌ってくれました。げらげら笑いながらも、本当に楽しい誕生日になりました。

プールの水面に写る夕日がきらきら光って揺れてました。

でも心の片隅にちょっと影がかかっていました。こんなに幸せな環境にいる自分、でもコロナに感染した多くの人たちの苦闘。

地元ソノマでも感染者が増えています。最も多く感染してるのが、ラテン系の人たちなのです。

ラテン系の人たちはソノマカウンティ(群?)の人口の27%しか占めていないのですが、感染した人数の67%がラテン系の人たちなのです。

欠くことができない仕事の多くは彼たちが担っています。職場で感染して、狭い家に帰り、家族が感染してしまうのです。

不法移民だったら、逮捕が恐ろしくて病院にも行けません。

保険に入る金銭的な余裕がない人も多いことでしょう。

言葉のハンディもあってコロナの深刻な状況を把握していないこともしばしばです。

政府が根本から政策を変えなければ、この人たちの暮らしはよくなりません。あまりにも問題が大きすぎて、無力感を感じて、ニュースを見るのを避けたくなります。

大学時代に黒人差別反対運動に参加した夫は「ドクター・キング暗殺時代からゆっくりだけど、少しずつ状況が向上してきている。最近のブラック・ライブ・マターのデモには白人、黒人、ラテン系、アジア系の多人種の人たちが一緒にデモをする時代になっているから、ゆっくりだけど少しずつ改善されていくと思う。今の自分にできることを探して参加して、徐々に改善されるのを見守るのがいいんじゃないの」と彼の考えを話してくれました。

私ができることを探すこと、耳をふさがないで社会状況をきちんと把握して、正しい政策に投票をすること。このくらいしかできないけれど、何もしないよりはましかな。

楽しい誕生日、少しだけ心に影がさした思い出に残る誕生日でした。

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