遅ればせながら、2024年アメリカワイン市場の予測を数社(SevenFifty Daily, Kathleen Willcox reports, Esther Mobley of SF chronicle, ADVISOR, The drinks business) のサイトを参考に、まとめてみました。
数社のサイトで共通しているのが、ワイン消費者の需要の鈍化、スパークリングワイン台頭、ノン・アルコールワインの台頭でした。
ソムリエ、ワイン・ディレクター、輸入業者に話を聞き、彼らが何を在庫しているのか(そしてそうでないのか)を調べた結果の見通しも含まれています。
ワイン消費者の需要の鈍化
アメリカのワイン&スピリッツ卸売業者の最新データによると、ワインの販売量が8.4%減少し、ワインの価格が上昇しています。例えばナパバレー産ワインのボトル1本の平均価格は108ドルで、前年比17ドル上昇。 ワインはかつてないほど高価になり、売れ行きも低くなりそうです。
2024年の経済見通しは楽観的ではなく、カリフォルニアのワイン業界は厳しい年になるでしょう。ソノマ州立大学ワインビジネス研究所の最近の報告書によると、ワインに対する消費者の需要は鈍化している一方、ワインのコストは上昇しており、若者は親の年齢のときのようにワインを購入していないということです 。 ケーススタディの 1 つ: 上場しているカリフォルニアの数少ないワイナリーの 1 つであるダックホーンは、先月、前年比で収益が 5% 減少したと報告しました。
シャンパンの代替にスパークリングワイン
シャンパンの売り上げは極度の成長期を経て、最近、低迷しました。 フランスでは12月までのシャンパーニュの売上が前年比20%減という驚異的な減少となり、2023年上半期の出荷量は前年比4.7%減少しています。
アイルランドのカシェル(Cashel) のような高級な店でさえも、代替のスパークリングワインを探し求めています。
「私自身、シャンパンとブルゴーニュのワインが大好きです」とカシェル パレス(Cashel Palace’s)のソムリエ、ファラ・スキャンラン氏は言います。 「しかし、ビショップス・バターリー(Bishops Buttery)レストランのテイスティング・メニューでは、英国のスパークリングワインやクレマンのような伝統的な方法の代替品を提供しています。」
マスターソムリエであり、サンフランシスコのUngrafted SFとGluGluのパートナーでもあるクリス・ゲイザー氏は、来年も「美味しくて手頃な価格の泡」がメニューを支配するだろうと予測しています。
ワイン全体の売上が低迷している中、スパークリングワインは好調で、今後もさらに好調になると予想されています。 飲料業界アナリストのIWSRによると、スパークリングワインを飲むアメリカ人の数は2019年から2022年の間に30%増加し、そのうちの約4分の1が少なくとも週に2回はスパークリングワインを飲んでいます。 これは、セルツァーウォーターからコンブチャまで、あらゆる種類の炭酸飲料に対する関心が高まっているということでしょう。
また「通常の品種以外のブドウを使った新しいカリフォルニアのスパークリングワインは、今後さらに人気が高まるだろう」とゲイザー氏は指摘します。 「カリフォルニアでさらに多くのピノ・ムニエとリボッラ・ジャッラ(イタリア北東部のフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州で最もよく栽培されている白ワイン用ブドウ。 ブドウはスロベニアにもある)を使ったスパークリングワインを見ることができてとても興奮していますし、応援したいです」
ハイエンドのノン・アルコールワインを買い求める
確実に売れているワインの数少ないカテゴリーの 1 つがノン・アルコールおよび低アルコールのカテゴリーです。 市場調査会社360マーケット・アップデートのレポートによると、世界のノン・アルコールワイン市場の年平均成長率は2028年までに20.72%になると予想されています。
バークシャーの金ぴか時代の邸宅にある超豪華なセージ&スパロー(Sage & Sparrow―マサチューセッツ州)では、ソムリエのマイケル・コンソリーニ氏は「アルマン・ルソー、DRC、デュジャック、オーパス・ワンなどがセラーにありますが、より多くのノン・アルコールワインを導入することを計画しています」と言っています。 提供されている15コースのメニューと組み合わせてみるとのことです。
「私たちは、アルコールを除去したワインなど、ノン・アルコール製品の品揃えを増やすことに意欲的に取り組んでいます」とコンソリーニ氏。
フォーマルではないスペースでも、ノン・アルコール ワイン のプログラムが増えています。 カリフォルニア州ロスアラモスにあるミシュランの星を獲得したベルズ( Bell’s)を含む複数のワインリストを統括するコンパニオン・ホスピタリティの飲料ディレクターであり、活気に満ちたビールとワインのバー、ジ・アザー・ルーム(The Other Room)の共同オーナーでもあるエミリー・ブラックマン氏も、ノン・アルコールワインに全力で取り組んでいます。
「食事と一緒にさまざまな飲み物を楽しみたいという非飲酒者の人口が増えています」とブラックマン氏は言います。
ADVISORでは以下の提案というか檄を飛ばしています。革新的なワイン製品の作成 – ワインクーラーとホワイト ジンファンデルは、過去の不況時に米国に導入された新しいワイン製品の 2 つでした。 今こそ、再び創造性を発揮するときです。市場には、より多くのワインベースの RTD(すぐに飲めるアルコール製品 Ready-to-drink は、「アルコポップ」とも呼ばれ、スピリッツまたはワインベースに、ジュースやソフトドリンクなどを、あらかじめミックスして提供される飲料)、砂糖を加えていないアルコール度がゼロ、または低カロリーのワイン、革新的なパッケージとサイズ、ワインカクテル、その他多くのオプションの余地がまだあります。
低アルコール度―アルコール度ゼロ運動を受け入れましょう – 「彼らに勝てないなら、彼らに加わってください」という古いことわざは、より多くのワイナリーが消費者向けに少なくとも 1 種類の低アルコール度またはアルコール度ゼロのワインの開発を検討すべきであることを示唆しています。 Drizly は、ノンアルコールのワイン、ビール、スピリッツが 2023 年上半期に 54% 増加したと報告しました。ノン・アルコールワインは、健康志向の消費者を満足させるだけでなく、健康志向を維持することを選択した人々にとって、より包括的な飲酒の機会を生み出します。
付録
自然派ワインは?
ナチュラル・ワインは(「ナッティなワイン」と呼ばれることもある)、 誰と話すかによって、ワインの中で最も愛されていたり、嘲笑されてたりするカテゴリーになりました。
スパゴ ビバリーヒルズ(Spago Beverly Hills)のソムリエ兼ワイン ディレクターのマット・ ダル氏は、ナチュラル・ワインに対する純粋な愛情が限界点に達していると予測しています。
「人々は自然派ワインというカテゴリーに夢中になりました。それは素晴らしいことですが、品質の尺度がないまま、その執着は増大していきました」と彼は言います。
「私のお気に入りのワインの中には、ナチュラル・ワインと呼ばれるものもありますが(パオロ・ベア、ガヌヴァーPaolo Bea, Ganevatなど)、それらのワインは自然派の『ファンク、異臭 悪臭?』よりも、ブドウが育った場所のニュアンスを伝えることに重点を置いています」
同氏は、ナチュラル・ワインが独自のカテゴリーとして進化するにつれ、品質への期待が高まり、それによって「流行に乗って利益を上げたワインの一部」が淘汰される可能性があると予測しています。
「『ナッティなワイン』のせいでワインの欠陥が容認されるようになりましが、2024年にはよりクリーンなワインを飲む人が増えることを願っています。
ワイングラスの多様化
ワイングラスがさらにファンキーになります。 最近、レストランやバー、友人の結婚式などで、非伝統的なワイングラスを目にすることが多くなりました。 色鮮やかなエステルグラスEstelle glasses(ブランド名)、突然どこにでも見かけるようになったタバーングラスtavern glass(ブランド名)、さらにはタンブラーなど、まったくワイングラスではない器で飲むことにエキサイトしているようです。 これらはワイングラスにはステムがあり、上部が先細になっているべきであるという社会通念に反するものです。 2024 年には、人々が機能よりも形を優先し、さらに奇抜なグラスが登場すると予想しています。おそらく年末までに、私たちは手吹きの美しいクープでカベルネを飲むようになるでしょう。
以上、当たるも八卦当たらぬも八卦です。