アルゼンチンスタイル・ミニ・アサド・パーティ

9月の 土曜日の午後、 レイがミニ ・アサド・パーティーを開きました。ゲストは7人。私とレイを入れて、9人でアサド・パーティを楽しみました。

アサド(ASADO)はアルゼンチンの文化において重要な位置を占めていて、家族や友人と食事を共有し、仲間と語らうことを重視した伝統的な文化行事として親しまれています。牛肉、豚肉、ソーセージなど様々な種類の肉を、木炭や薪でじっくりとグリル(パリージャ)で焼いて調理します。

メインはじっくりと焼いた牛肉ですが、チョリソー(豚肉ソーセージ)、モルシージャ(血入りソーセージ)、モジェハス(スプレンダ)などのソーセージもよく添えられます。サラダ、パン、焼き野菜などのシンプルな副菜に加え、チーズやワインも欠かせません。

ゲストはローレル・グレンの元オーナーのパトリック、 レギュラーのランスとサンデー 、 モデル ファーム(Morel Farm)というは小さなワイナリーの若いカップル、ジョナとショーン。

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パトリックは1999年の ローレル・グレンを持ってやってきました。 そしたらレイが1984年の ローレル・グレンをセラーから持ってきました。

モデル ファームのカップルは何本も ワインが入ったワインボックスを抱えてやってきました。この光景は、昔、知り合いの醸造家たちがワインボックスを抱えてわが家へやってきたころを思い出して、懐かしかったです。

モデル ファームが持ってきたワインはAlta Heights とModel Farm(2023 年 Staiger Vineyard)のシャルドネ、2023年Sonoma Mountain 、2021年 Berger Vineyard、2022年Berger Vineyard、2023年 Berger Vineyardのカベルネ・ソーヴィニヨンです。カベル・ソーヴィニヨンはソノマ・マウンテンにあるBerger Vineyardの1970年代に植えられたブドウを使っていて、ローレル・グレンの大ファンだということが縁で親しくなりました。Berger Vineyardはローレル・グレンの畑に近くて、ローレル・グレンのクローンを選択して、ローレル・グレンと同じくセントジョージ台木で植えています。カベルネ・ソーヴィニヨン種100%で造っているところもローレル・グレンと同じです。

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まずは家の中で(外だと色がよく見えないということで)アデランテ( Adelante)の 3ヴィンテージ、2021年、2022年、 2023 年 の比較試飲から。 レイがアルゼンチンに持っている樹齢70年の畑から生産しているマルベックです。「 3つのヴィンテージを並べて試飲してみたいし、一人で試飲するよりか、 友人たちに飲んでみてもらいたい」というレイのアイデア から、 テーマは アルゼンチンスタイルのミニ ・アサダということになったようです。
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みんな真剣に試飲してました。サンディはアデランテが大好きで、自前で1ケース買ってセラーに置いてあります。飲みたいときにランスにオーケーをもらわなくても自由にボトルをオープンできるからだそうです。それにお値段もフレンドリー価格です。

ランスは飲み頃になってる2021年が好きとのこと。私は2023年が 、今はまだ フィニッシュが短か目だけれど将来が楽しみだなと思いました。 モデル・ファームのカップは真剣に そして真摯に試飲してました。「とてもよくできている」と二人でうなずき合って、どれもいいと言いました。

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試飲が終わったら、穏やかな太陽が降り注ぐテラスでアルゼンチンスタイルのミニ・アサド・パーティ開始です。

まず、 コールド・カット(COLD CUTS)と呼ばれてますが、レイが選んだサルミを盛り合わせた大皿が出てきました。

ちなみにサルミ(SALUMI)とサラミ(SALAMI)とあるんですね。サルミはイタリア語で、ハムやソーセージなどの加工肉を指す言葉で、「冷製肉料理(COLD CUTS)」と訳されることもあります。実際には、どんな種類の加工肉(塩漬け肉)もサルミに含まれれていて、ホットドッグのようなものも含まれます。サルミとサラミを混同する人(わたくしも含めて)が多いようです。

日本に住んでた頃はサラミしか知りませんでした。サラミは肉を発酵させて乾燥させたソーセージです。いろんな種類のサラミ(コショウが効いたものとか)がありますが、サラミはサルミ(加工肉一般)の一種で、他に多くの種類のサルミがあります。

私はサラミとモルタデッラが好きです。モルタデッラは直径が大きい、乳化加工された豚肉を練り込んだ加工肉です。イタリアのボローニャ地方が発祥です。アメリカでは、牛肉を使ったモルタデッラが一般的です。

ワインは、まずモーゼルのリースリンから。穏やかな太陽が降り注ぐ午後に飲み始めるのにぴったりのワイン。コールドカットの 塩分がリースリングのほのかな甘みと マッチして美味しいスタートとなりました 。

あっという間にボトルが空になったリースリングの次に、モデル ファームが持ってきたAlta Heights とModel Farm(2023 年 Staiger Vineyard)のシャルドネをオープン。Alta Heightsはフレンドリー価格のシャルドネとのことですが、フルーツ味と酸味のバランスが良く、飲みやすいシャルドネでした。Model Farm(2023 年 Staiger Vineyard)のシャルドネはミネラル感に程よい酸味が重なったバランの良いシャルドネでした。

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次に出てきた食べ物は、隣町のサンタ・ローザから買ってきたアルゼンチン人が作るエンパナーダです。エンパナーダは挽肉、チーズ、トウモロコシ、玉ねぎやピーマンなどの野菜を小麦粉やコーンミールから作られた生地で包んで、焼くか揚げたものです。買ってきた数種類をオーブンで温めて、半分に切って(少しずつ数種類食べられる)あります。トウモロコシが美味しい、いや、ひき肉も美味しいと、せっせと食べてます。

待ちきれないという感じで1999年の ローレル・グレンと1986年の ローレル・グレンがオープンされました。

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「熟成したデリケートなカベルネよりマルベックのほうがエンパナーダにマッチすると思うんだけど」と私。

「リラックスしてワインを楽しむパーティなのでいいじゃん」とレイ。

全員が興味津々でグラスに注いでます。

1999年のローレル・グレンは、こなれたタンニン、この畑の独特な墨汁の香りと程よい黒系のフルーツ味がきれいに残っていて、しなやかで、フィニッシュががとても美味しい楽しいワインでした。

1986年の ローレル・グレンは「39年も経ってるので、どんな状態か確信がない」とレイ。

「デキャンタしたらいいんじゃない?」とランス。

「古いワインはデキャンタしたら、すぐにいかれてしまうんじゃないの?」と私。

私の意見は少数派で、デキャンタすることになりました。私の心配は吹っ飛んでしまいました。全員が(造り手も含めて)驚くほどに健全な状態なのです。しなやかで、まだ若々しさが残っていて、きれいに熟成したカベルネってこんなに上品で美味しいんだと感動しました。この畑のワインはよく熟成してくれるってことが実感できる ヴィンテージでした。ローレル・グレンのカベルネは長期熟成できるワインだという定評を、改めて確認しました。でも残念ながら、もう残ってないでしょう。

続いて、 モデル ファームの 2023年Sonoma Mountainと、2021年 Berger Vineyard、2022年Berger Vineyard、2023年 Berger Vineyardのカベルネ・ソーヴィニヨンをショーンが自らオープン。 洗練された綺麗にできたバランスの良いカベルネです。ローレル・グレンのカベルネは黒系フルーツが多いけど、モデルファームのカベルネは軽やかで赤系フルーツが特徴でした。 まだまだ若いけれど、熟成したら、どんなカベルネになってるかなと、イメージが膨らむカベルネでした。

グリルした2種類の牛肉と、チョリソー(Chorizo)というソーセージがドーンとテーブルに置かれました。チョリソー(Chorizo)はスペイン料理やメキシコ料理で広く使われている、粗めの食感でスパイスの効いたポークソーセージです、豚肉と赤ピーマンを細かく刻み、唐辛子とパプリカで味付けされています。メキシコのチョリソーは生の豚肉を使用し、スペインのチョリソーは燻製豚肉を使用します。この辺りではチョリソーというとメキシコのソーセージと、私は思っています。

野菜はコールスローと キュウリとフェタチーズのサラダ。

ここからは飲み放題という感じで、それぞれが このワインがいい、あのワイがいいと楽しく飲んでました。

「このところピノ・ノワールばかり飲んでたけど、やっぱりカベルネはいいね」とランス。全員、大きくうなずきました。

突然、昔、ケンウッド・ワイナリーで一緒に働いていたスティーブがやってきました。彼は アデランテの 最新ヴィンテージの試飲にひどく遅れてやってきたのです。毎ヴィンテージを数ケース買ってくれる 常連のお客さんです。

そろそろ日が沈みかけてきました。ランスとサンデー が 帰っていきました。残ったモデルファームのカップルとスティーブがあれこれと雑談。日が落ちて、 それぞれが帰っていきました。 帰る前に テーブルの上のものをせっせと家の中に運んでくれる若いカップル、ジョナとショーン。若いっていいな と思わせてくれるカップルでした。 ワインがまだ残っているボトルに全部 コルクをしてダンボール箱に入れてくれたので 、「これ持って帰る?」と聞いたら、 両手を広げて 、 なぜ? っていう感じでした。

「 じゃあ 、次は家で残ったワインで焼肉パーティーをしなくちゃね」と私が言うと、げらげら笑ってました。で、ボトルをチェックしたら、かなりよく飲んだようで、もう1回のパーティーをするほど残っていませんでした。

美味しいワインばっかり色々と飲めて、楽しい ミニア・アサド・ パーティーでした。ショッピングも料理も一人で奮闘したレイに感謝。でも、後片付けは私ね。