「The Rise of Rose、ボルドーVSドイツ」というセミナーをオンラインで受ける機会がありました。ボルドーとドイツのロゼ生産ワイナリーを招いてマスター・ソムリエが司会をするセミナーです。

アメリカのロゼ人気は依然として続いています。2020年の外出禁止と外出自粛の状況下で、売り上げは20%増でした。ロゼの最大生産量国はフランス、続いてスペイン、アメリカ、イタリアです。

なぜロゼ人気が高まったか。

ロゼ販売のプロモーション、ロゼワイン教育、ロゼワインがプレミアム化したことがあげられていました。

プロモーションの一つとして「Rose All day」と書かれたTシャツが売られてます。ネットでチェックすると、いろんなデザインのRose All dayのT シャツが売られています。

ロゼ生産者がプレミアムの本格的なロゼを造り始めています。ドイツでは1本が100ドルのロゼも登場しているそうです。ドイツのロゼ生産ワイナリーのゲストは、ロゼをシャルドネのように造って、熟成できるロゼも生産中とのことです。

ボルドーのロゼ生産者は「昔はロゼは安いワインとして造ってきたけれど、今はプレミアムのロゼを生産しています。例えばロゼワイン生産工程のすべてを酸素に触れないようにするとか、口当たりに焦点を当てて、コンクリートのエッグタンクで発酵させる、食べ物にマッチするスタイルのロゼを造るといったことを取り入れています」と説明していました。

ロゼは主にセニエ法の果汁から造られていますが、最近はロゼ用のブドウを独自に栽培するワイナリーも多くなっています。

セニエ法というのは赤ワイン生産のために黒ぶどうを破砕してタンクで発酵させるのですが、赤ワイン用の液体を凝縮させるためにタンクから一定の液体を取り出します。その取り出したかすかに色が付いた液体を白ワインのように発酵させてロゼを造る方法です。

ドイツとボルドーの生産者は3人ともライムストーンの土地がロゼ用ブドウ栽培に適しているといっています。またオーク樽での発酵も取り入れています。

ひところ大人気を得たホワイトジンファンデルは要するにロゼですよね。甘みの強いホワイトジンファンデルが人気を得ていたので、アメリカではロゼは甘いワインという印象を与えてしまいました。それをソムリエ等のワイン教育者たちが、ロゼはシリアスなワインであること、いろんなスタイルのロゼが造られていること、その醸造法の教育をしっかりと行ってきたことも大きく関係しています。

プロヴァンスではロゼを飲むのが文化となっています。ランチにロゼ、アペリティフにロゼ、冬に雪景色を愛でながらロゼを飲むといったように一年中飲まれています。というのもロゼは多様性があるからです。

ドイツではロゼは若い人がエントリーレベルの軽くてフルーティ、シンプルなロゼを多く飲んでいます。辛口のプレミアムロゼはワイン通も飲むようになりました。

どのスタイルのロゼが好まれているか。

色が薄めで辛口のスタイルがトレンドです。

色が濃い目のタイプは(糖度が高め)ロゼとしてではなく、「軽い赤ワイン」というカテゴリーで売ればいいという提案もありました。このタイプのワインは秋と冬に売れます。

ロゼの楽しみ方;

マスター・ソムリエは「夏のワイン、ピクニックやビーチなどアウトドアで楽しむ。スキー場でも楽しめる」と提案。

ボルドーの生産者は「アジア料理、サラダ、エビ料理、サマーランチに楽しめる」とロゼの多様性を強調していました。

ドイツの生産者は「刺身にコクが出た。メキシコ料理、特にタコスと合わせて楽しんでいる」と答えていました。

私は今のシーズンはハピーアワーと称して庭で、たまに友人とよく冷えた色の薄い辛口のロゼを楽しみます。ハム、チーズ、ナッツ、サラミなど大皿にもって、つまみながらロゼを飲むのが好きです。白ワインはワインのタイプによっては、時々食べ物と喧嘩することがありますが、一般的にロゼはマッチしてくれます。

日本では、ロゼはあまり売れないようですね。

「ロゼ好き?」ソノマの日本人の友人に聞きてみました、

「色が濃くて甘い」と即答。

試しに軽やかでバランスの良いロゼを飲んでみては?古いスタイルのロゼのイメージを取り払うことになるかもしれません。

ロゼは気軽に飲むワインです。ワインのコメントではなくて、コロナで鬱陶しい状況を忘れて四方山話に花を咲かせて、リラックスしたひと時を過ごすのも楽しいかと思います。

デルタ株の感染急増で、ワインどころじゃないよという状況かもしれませんが、値段も手ごろなので、せめて家で気軽に飲んでみてください。