アメリカで、「マスクをする」、「しない」が、頻繁にニュースで取り上げられています。
日本からみたら、「なんでそんなことでもめるの?」って思うことでしょう。
花粉症の季節に日本へ行くと、新橋にある定宿のホテルから通勤時間に外へ出て、新橋駅の信号を渡ると、黒い背広でマスクをかけた一群がわあっと歩いてくるのに出会います。
日本ではマスクをかけることには、抵抗がないですよね。政府がコロナウイルス感染予防にマスクを着用するようにと呼びかけたら、ほぼ全員が(多少の例外はあると思うけれど)マスクを着用してると思います。
コロナウイルス対策担当の科学者や医師が、なぜマスク着用が大切かという説明を、どのチャンネルでもコンコンと話しています。
予防ワクチンが開発されるまでは、とにかく感染率を低く抑えること。そのためには外出時にはマスクを着用、人との距離を2メートル取ること、頻繁に手を洗うこと、手を洗う場がない場合は、アルコール度60%以上のハンドサニタイザーを使うこと。自分を感染から守るとともに、万が一自分が症状なしで感染してるかもしれないので、他の人に移すことを避けるためにマスク着用が大事と、医師や科学者がテレビの報道番組で飽きるほど話しています。
それでもマスクを着用しない人が多くいるのです。
理由:
無知であること。
どんどんとソーシャルメディアで流されている誤った情報を信じてること。
例えば、コロナウイルスはフルーにかかったと同じ、死亡率もそれほど高くない、メディアは大げさに報道している。
自分は大丈夫(自分のことしか考えていない)
信じられない(と私は思うのですが)ことに、アメリカではマスクと政治がつながってるのです。
その大本はトランプ大統領のコロナウイルスに対する解釈と態度が元になっています。
ざっと挙げてみると、コロナウイルスは作り話だ、やがて消滅する、マスク着用は無視、経済が大事だからビジネス、学校はオープンするようにという意見です。さらに。時々、マスク着用は感染を減らすと言って、自らはほとんどマスクをしてないトランプ大統領のあいまいな態度が、国民を混乱させています。
共和党が知事である州はトランプ大統領の意見に従っています。
コロナウイルスは党派によって区別することなんかなくて、どちらの党を支持していようが、容赦なく襲ってくるのにもかかわらず、マスク派とアンチマスク派は政党によって決まるのです。
7月のギャロップ調査によると、コロナウイルスが広がるのを止めるためにマスクをする人は、民主党が94%、共和党がたったの46%だったそうです。
知事が民主党で、選挙の投票でも圧倒的に民主党が多い州(ブルー・ステート)、例えばカリフォルニア州、ワシントン州、オレゴン州、ニューーヨーク州では、コロナウイルス感染予防政策として、マスク着用、外出禁止令等を打ち出しています。
共和党が多い州で、知事が民主党という州では、知事がマスク着用令を出したら、共和党の州の議院が反対して控訴したという州もあって、思わず「うそ!」って感じです。
知事が共和党で、選挙では常に共和党が勝利してる州(レッド・ステート)は、思いつく州をあげてみると、ジョージア州、フロリダ州、テキサス州(最近、感染者が急増したので、さすがの知事もマスク着用を強く奨励すると発表しました)といったところですが、この州の知事は、マスク着用必要なしとしています。個人の意思に任せる、外出禁止令もなし、店も閉鎖する必要なし、学校もオープンするようにと、トランプ大統領の意見に従っています。
マスク着用反対派は、アメリカの伝統である個人主義 自由が束縛される、政府は自由を奪おうとしていると主張ます。
「トランプ大統領がマスクを着用しなくてもいいて言っている」と若い男性がテレビのインタビューに答えていました。マスクをするのは厄介だと思っていて、都合の良い言い訳に使っている節もあります。
ミシガン州で民主党の知事(女性)が3密?政策を発表したところ、銃を持参したマスク着用反対派が州政府のロビーに押しかけたというニュースは、もしかしたら、日本でも報道されたかと思います。
マスク着用反対派はアメリカの人種差別の歴史に繋がっている面もあります。人種差別、政治過激派、例えばKKK(白人至上主義者、主なターゲットは黒人)が被るフード(トップがとんがって目だけが見える白いフード)は顔を隠すために被られています。
30年前にカリフォルニアに住み始めたころのことです。テレビでKKKがいまだに存在しているというニュースを見て、とんでもない国に来てしまったと震えあがったのを覚えています。南部に存在しているグループでカリフォルニアには存在しない(多分)ということを知りませんでした。
バラクラヴァ帽やスキーマスクは顔を隠します。コロナウイルスの前は銀行とか空港でマスク着用が禁止されたり、着用をしないようにという方針を出していたところもありました。
店頭や、店内でマスクをしてない人にマスクをするようにと声をかけたら、殴打されて怪我人が出たりする始末。
連邦政府がマスク着用義務を方針として打ち出さない限り、個人レベルでマスク着用を徹底するのは限界があります。
アメリカ在住30年を越す今、驚くことが少なくなってしまいました。
アメリカは本当になんでもありなんで、それに慣れっこになって、当たり前と思って判断基準が軸が変わってしまうことが心配です。
私が住んでいる、ブルー・ステート、カリフォルニアでは大多数の人がマスクをしています。
もちろん、私も外出時には(滅多に外出しませんが)必ずマスクをします。
ひと頃、マスクが市場から消えていたので、娘が古いミシンでマスクを作り始めました。
「日本の優秀なシンガーではなくて、なんでフランス製?」と絡まった糸をほぐしながら娘がぶつぶつ。
「えっ、フランス製なの?」
20年ほど前に、安くてモダン(に見えた)なミシンを買ったのだけれど、機能が悪くて放置。
家族に加えて、友人や行きつけのコーヒーショップのスタッフとホールフッドの親しい従業員にマスクを作って渡しています。ホールフッドの駐車場で中年の女性に「素敵なマスクですね。私にも作ってくださいますか?お支払いします」と声をかけらて、2つ作って渡したそうです。
二重の布の間にフィルターを入れることができます。ドリップコーヒー用のフィルターか掃除機のフィルターを入れるといいとのことです。私は使わなくなった掃除機用のフィルター(たくさん残っている)を挿入してます。
働いている人は長くマスクをしていなければならないので、耳の後ろが痛くなるということで、ゴムは優しく少し緩めにして、きつさの調整はひもを付けて結ぶことができるようにデザインしてあります。
マスク着用は長期間になりそうなので、使い捨てではなくて、洗濯して使えるマスクを重宝しています。
めったにしないお出かけの時に、作ってくれた3個のマスクから服装の色に合わせて選びます。コロナ状況下での、ささやかな楽しみ?
電話やメッセージの友人とのやりとりで最後に入れる言葉は「Stay safe]
「安全でね」っていう感じでしょうか。
マスク着用の必要がなくなって「Stay safe] と最後に言わなくてもいい日が来るまで、コロナと賢く共存して暮らします。
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© Wine Talk California / カフマン恵美子