バイオダイナミックて何?その(2)

どんなふうにして栽培するの?

バイオダイナミックのユニークな点は、独特の2つ調合(調合501と調合500と呼ばれている)とハーブ・ティーを作ることだ。

調合501:シリカ(珪酸)はクオーツクリスタルの粉末。光合成をより効率的にするとされている。牛の角にシリカを詰め込んで夏に埋めて、秋に掘り起こす。それを太陽を浴びる場所に置いておく。朝露が葉の上から消えてしまう前に、早朝、地球が、土が息を吐き出し呼吸し、植物が太陽に会う前に散布しなければならない。かき混ぜてから1時間以内に散布。

調合500:秋分の日に牛の角に糞を詰めて、土に埋める。これは春に掘り起こし、水で割って散布する。根の成長を促すためだ。「糞を角に詰めて埋めるの?それを掘り起こしたりするのは素手なのかしら?」というくだらない質問に「エミ、見せてやりたかったよ、すごくきれいだよ。チョコレートのような香りがしてさ」と情熱的に答えてくれたマイク。

ブドウ樹のためのハーブティー:カミツレ、ノコギリソウ、イラクサ、オーク、タンポポからティー(お茶?)を作って、土や葉に振り掛ける。それぞれの草によってその役割が異なる。

ニコラス・ジョリは季節の作業を次のように説明している。

秋は腐食の季節:特に植物は秋に敏感だ。この時期は土の手入れが重要。春に芽生え成長した植物は腐食する。堆肥作りもこの時期にする。手当たり次第にあれこれ集めて積み上げておけばいいというものではなくて、ブドウ樹にとって必要なものを厳選して堆肥を作る。例えば馬の糞にするか、それとも牛の糞を使うのか。馬は太陽と密接な関係がある。(本当かいな?)牛と馬では2つの異なるタイプのエネルギーを有している。馬の糞は涼しい地区に、暖かい地区には向かない。どの動物の糞を使うかはそのブドウ畑を熟知して選ぶことが必要だ。

各ブドウ畑に適した堆肥を作る大切なポイントは、どの動物の糞にするか、どの植物にするかを注意深く選ぶ。糞も雑草も殺虫剤や除草剤等の科学物質が使われていない物を使わなければならない。抗生物質を与えられて育った動物の糞は使ってはならない。

春、再建の季節:すべてを腐食させなければならない季節とは反対に、芽、花、果実が生まれるために統合される季節。それをサポートするための調合が秋に行われている。軟骨が取り除かれた牛の角に糞が詰められ、秋分の日に土に埋められ、冬の間に熟している。調合500と呼ばれるのがこれだ。糞と牛の角、そして冬眠。牛の消化器官をとおして消化された植物はブドウの生長に大きな力を与える。メスの牛の角がいい。角の質、糞の質、どこへ埋めるか、すべてが重要だ。それを翌年の春分の日に掘り出すのだ。色も香りもすっかり変わっている。角ひとつ分は1ヘクタールに十分だ。角から取り出された糞は水で活性化させる。時計方向にかき混ぜて渦を作り出し、突然反対方向にかき混ぜる。それをろ過して散布する。これは夕方に行われる。気温は7℃より高くなければならない。ブドウ樹の状況によって水分を増やして薄めてもいい。活性化された状態の時間は短いので1時間内に散布を終了する。

初春に、重要な仕事が待っている。開花の前にしなければならない。光合成のためだ。調合501の活用はシンプルだ。1エーカーに付き小さじ4分の1で十分。501は水で1時間かけて活性化される。早朝に散布されなければならない。9時より遅くなってはならない。日の出の時刻に、石英と樹液上昇の共同作用の効果がピークに達するからだ。500と同様、活性化は1時間内がベスト。

ざっと紹介してもこんなふうだ。地球の自然のリズムに従って(マイクによるとカレンダーがあるのだそうだ)難解なルールを守って、まだまだある作業を行うには、「信じる!」という強い意思が必要だ。栽培技術というより宗教(カルト?)に近いかな?