Robert Biale Vineyard (ロバート・ビアレ・ヴィンヤード)
4月初旬、明るい太陽が春だよって伝えてる。気持ちは浮き浮き、でも風はすごく冷たい。そんなある日、ジンファンデルで良く知られるRobert Biale Vineyardを訪問。
ワイナリーの横のオーガニックのブドウ畑は下草が元気よくすくすく伸びて、瑞々しい緑色。もう、春。裸木に薄緑の芽がひっそりと出ていたと思ったら、あっという間に、新緑。そして早熟品種は、しっかりと芽吹いている。
Robert Biale Vineyardは個性のあるブドウ畑から少量の高品質のジンファンデルを生産するワイナリーとして、知られている。
53号にプティ・シラーについて書いたけれどRobert Biale Vineyardのプティ・シラーも素晴らしい。とてもバランスの取れた品質の高いプティ・シラーを生産している。
ナパ・ヴァレーというとカベルネ・ランドと思っていたけれど、そしてそれは本当だけれど、ナパ・ヴアレーでは質の良いプティ・シラーが造られているという新しい(私にとって)発見。このワイナリーのプティ・シラーはその代表格。
ひところパーカーとかワインスペクテーター誌が好むスタイル(アルコール度と凝縮度の高い)のジンファンデルを造っていた。1グラスを「うーん、美味しい!いいね!」といって飲むのに、ぴったりのジンファンデルが多かったと記憶している。
でも今回の試飲から、ひところよりトーンダウンしたバランスの取れたジンファンデルとプティ・シラーを生産していることが伺えた。だけれどRobert Biale Vineyardのスタイルは決して失っていなくて、よく熟した黒系のフルーツ、芳醇な口当たり、ほどよく酸のきいた長いフィニッシュの品質の高いワインを造り続けている。
ビアレ家はもともとブドウ栽培農家で、他のワイナリーにジンファンデルのブドウを売っていた。1991年に父親のAldo(アルド)と息子のロバート(Robert)でワイナリーを設立。自社畑だけではなくて、ナパやソノマの歴史あるブドウ畑のブドウからジンファンデルを生産。13のブドウ畑からジンファンデルを造っている。全部の畑の名前を覚えて、ワインを買うというのも、かなりの記憶力(私の場合)がいるから、買う側としてはしんどいかなと思うけれど、造り手としてはいい畑に出会うと、そしてその個性を生かしたワインを造ろうと思うと、少量ずつ1ダースを越える畑名入りのジンファンデルを造ることになるのだろうね。ここのスタイルを代表するBlack chickenジンファンデルをまず飲んでみるといいかもしれない。
2008年からSteve Hall が醸造責任者。タンクからの試飲の印象だけれど、エレガントなワインに仕上がっていた。彼のワインセンスなのだろう。
醸造方法はピノ・ノワールと同じように小型の開放式発酵タンクで発酵、果帽はパンチダウン、フランスとハンガリーのオークを使っている。アメリカンオークは使わない。私が知っているワイナリーではRobert Biale Vineyardとドライクリーク・ヴァレーにあるNalleが、同じ醸造法でジンファンデルを造っている。ジンファンデルの醸造方法としてはユニーク。
初めて聞いたのは、毎年ではないけれど、構成とタンニンの質がいまいちという年には、除梗した後の梗を発酵タンクに入れてブドウ果粒と一緒に発酵させるというもの。この梗は品種はジンファンデルだったり、プティ・シラーだったりする。エクステンデド・マゼライオンも行う。
100%がジンファンデルというのは少なくて、古い畑のブドウを使っているので、フィールドブレンドが多い。
樽からの試飲:
Aldo’s Vineyard
どってりした重さはなくてしなやかさを持ちながら、ビッグなワイン。
1937年に植えられたもので、このワイナリーの旗印ワイン。オーナーのアルドの名前がつけられた畑。
Monte Roso Vineyard
ソノマ・ヴァレーの歴史的なブドウ畑。ジンファンデルらしいきれいなベリー風味がたっぷりで、それにコショウの味と香りが加味されて、素晴らしい。
Old Crane Ranch
セント・ヘレナに畑がある。1880年代に植えられている。畑は平地にあって、温暖な地区なので、ナパらしい華やかで口当たりがソフトなエレガントなジンファンデル。
ジンファンデルというと、ベリーベリー(very berry)とこの辺りの人が言う、ベリー風味たっぷりのジンファンデル、あるいは、噛みしめるようなアメリカンオークの味がベリー風味とミックスされたタイプのジンファンデルが、好みというか、「これがジンファンデルだ」というイメージがある人には、戸惑いがあるかも、、、。
でもワインとしては、よく出来ている。これもひとつのワインの造り方。
ボトルからの試飲:
2010年Aldo’s Vineyard $75
フレッシュな果肉を想わせる。角がなくて、丸くて深みがある。フィニッシュも長い。私がイメージしているジンファンデルらしいジンファンデル。アルコール度は15.5%と低くはないけれど、アルコール度の高さがバランスを崩していない。2010年は難しい年だったけれど、優秀な醸造家はいいワインを造るという良い例。でも1本が75ドルっていうのは、高いかも。