Anderson Valley

美しく晴れわたった5月のある日、朝の10時30分にアンダーソン・ヴァレーに向かった。101号線を北に走ってCloverdaleの町で128号線に入る。曲がりくねった道を登っていく。昔はこの道を走ってメンドシーノへ行くのは、ちょっと私には覚悟がいった。曲がりくねった細い道で対向車が来たらどうしようかとはらはら。でこぼこ道でまだ舗装されていなかった。それが今はきれいに舗装されてきちんと2車線があって、曲がりくねっているけれど、以前のように急カーブで曲がるという箇所は少ない。ソノマからは1時間30分ほどなので、日帰りができる。

Yorkville を通過。赤土が目立つ畑は手入れが行き届いてきれい。週日なので、行きかう車がほとんどない。満タンの車でルンルン。と、突然ポルシェ911が後ろにぴたっとついた。スポーツカーなのだから、飛ばしたいよね。わかったってば。横に少しだけ移動して追い越させる。その後はまた、対向車なしで走る。

ビールのタンクが目印のAnderson Valley Brewing Companyが見えた。アンダーソン・ヴァレーの入り口だ。ブーンヴィル(Boonville)という小さな村(でもこのヴァレーでは一番大きそう)に入る。Anderson Valley Brewing Companyは地ビールの会社で、以前に立ち寄ったときは、人で混みあっていて、食べ物も出していたのを記憶しているので、ちょっとだけというので寄ってみた。がらんどう。だーれもいない。もう食べ物も出していないという。せっかくだからとPoleeko Pale を頼む。軽めで、フルーティ。ホップの苦味がきいている。悪くない。でもワインを探しにきたのだから、ビールの試飲はこれでまでにして、ブーンヴィルの町に入る。東側の山の頂上にもブドウ畑がある。ワイン産業のビジネスは順調と見た。ソノマより、ナパよりはずうっと涼しいから、ブドウ樹の芽はまだソノマやナパより短い。

ランチはどこかのワイナリーのピクニックテーブルで食べることにして、サンドイッチをテイクアウトでオーダー。このあたりでふと気がついた。みんななんともゆったりとしているのだ。ソノマはスローノマとニックネームがあるほどで、ゆっくりした土地と思っていたから、このもっとゆっくり度にちょっと戸惑ってしまった。まず、これになれること。

ワイナリーBreggo Cellarsのテイスティングルームへ向かう。小さなテイスティングルームに数人の訪問者がいて、カウンターで試飲していた。カウンターにはイスもあって、座って試飲。白も赤も素晴らしいワインだった。

次はゴールデンアイGoldeneye Wineryに立ち寄る。ナパのダックホーンが親会社だから、ワインの価格もサービスもナパ流。テラスからの景色も抜群。涼しい土地特有の透き通るような新緑が心を打つ。ここでランチ。

ロンダーは売られたと、ワイナリーのホスト役の男性が教えてくれた。もと眼科医だったご主人は、ワインビジネスに疲れたのだろうか。それとも伸び行くピノ産業に目をつけた大手の会社がノーといえないほどの金額を提示して買い取ったのかしら、、、。

Toulouse Vineyardsは名前を聞いたことがないけれど、行って見た。くっきりとした酸味が特徴のワインを造っている。サンフランシスコのクロニカル誌が評価しているワインだとか。

Roederer Estateのスパークリングワインで口の中をすっきりさせて、ソノマへ向かうことにした。ここのブリュットはソノマでも良く見かける。我が家でもパーティに愛用しているスパークリングワインだ。特別に今日開けたのでといって、2000年のL’Ermitage を注いでくれた。このワインはなかなかソノマではお目にかからない。レストランで時たま見かけても、高い。要するにるリザーブクラスのスパークリングワイン。エレガントで青リンゴの味がして、なかなかいい。ご機嫌で帰途に着く。

アンダーソン・ヴァレーのピノが注目されているけれど、ワイナリーは他の地区にあって、栽培農家と契約をして、その畑のブドウを使ったピノが少なくない。このヴァレーにワイナリーがあって、畑も所有してというケースは少なくて、例えばCopain のワイナリーはロシアン・リヴァー・ヴァレーにあって、生産しているピノは全てアンダーソン・ヴァレーの畑のものを使っている。

各ワイナリーのワインについては以下のとおりです。

 

Breggo Cellars

年間生産量は7000ケース。このワイナリーも最近売られてナパのCliff Ledeが所有。

◎2009年リースリングAnderson Valley $25

ドイツやオーストリアのリースリングに時々見られる石油(重油?)香がアクセント。味わいは密で過熟じゃないフルーツ味がいい。長いフィニッシュ。カリフォルニアのリースリングとしては、私が味わった中ではベストかも、、。

2010年ゲヴルツトラミーナー Ferrington Vineyard $25

リーチの香りを含むエキゾチックで豊かな香り。とてもよく出来ているカリフォルニアのギヴェルツトラミーナ。

2010年ピノ・グリ Wiley Vineyard $28

単一畑のピノ・グリ。ふくよかでとろみがある。太陽の光を十分に浴びたブドウから造られたカリフォルニアらしいピノ・グリ。

◎2009年 シャルドネ Savoy Vineyard $38

レモン、ミネラル、すっきりした味わい。新しいスタイルのカリフォルニアのシャルドネ。

2009年ピノ・ノワール Anderson Valley $38

Donnelly Creek VineyardとSavoy Vineyardをブレンドしたピノ・ノワール。スモモとセージの味と香り。味わいにコクがあるけれど、私には繊細さが欠けているように感じられた。

◎2009 年ピノ・ノワールFerrington Vineyard $55

ブルゴーニュ風の香りがちょっと。ザクロ、赤系フルーツ。口当たりはとってもしなやか。華やかで素敵なフィニッシュ。探しているピノに会えたかも、、。

◎2009年ピノ・ノワール Savoy Vineyard $55

香りはちょっと控えめ。きれいなラズベリーとスパイスの香りと味わい。バランスの取れた素敵なピノ。このピノも探していたピノのひとつかも。

2009年ピノ・ノワールDonnelly Creek Vineyard $55

構成がしっかりした密な味わい。スパイス、マッシュルームの味わいもある。上の二つに比べるとやや堅実派の印象のピノ。このピノが好きという方も多いと思う。

◎2008年シラーAlder Spring, ユカヤ $55

高地にある石ころだらけの畑。日中の温度と夜の温度に大きな差があるとか。

涼しい地区のシラー意sラーが持つブルーベリー、ラムケーキ、ほんの少しのタバコの香りがよりシラーらしさを加えている。口の中にフルーツの甘味と程よい酸味が広がり、長いフィニッシュ。

 

Goldeneye Winery

 

◎2009年ピノ・ノワール Anderson Valley $55

ラズベリー、プラムの香りと味わいがフィニッシュまで続く。シルキーな口当たり。プリティなピノ。

◎2009年ピノ・ノワール Confluence Vineyard $80

Confluence Vineyardはテイスティングルームのテラスから眺められる美しい畑。スパイス、チェリーのきれいな香りと味わい。アンダーソン・ヴァレーの中ではやや温かめの地区だなと思わせるふくよかさがある。長いフィニッシュ。

2009年ピノ・ノワール Gowan Creek Vineyard $80

黒系フルーツ、スパイス。コクのあるピノ。ピノにしてはふっくらしてる?

 

Toulouse Vineyards

2008年 ピノ・ノワールEstate $50

スパイス、少しのべりー香。酸味がくっきり。引き締まったタイプのピノで、カリフォルニアのピノとしては、酸がたっぷり。食中酒ってとこかな、、。

2009年ピノ・ノワール Estate  $50

スモモの香りと味わい。2008年よりフルーティでボディももう少し感じられるけれど、このワイナリーのスタイルは一貫している。後数年注目してみたい。

 

Roederer Estate

Brut Rose $28

フルーティですっきりした後味がいい。軽い料理と合わせてもいい。

◎2003 L’Emitage Brut $44

ローストしたアーモンド香がいい。フィニッシュもいい。グッドヴァリュー

◎2000年のL’Ermitage 1.5L(マグナム) $92 

エレガントで素晴らしい。