バイオダイナミックって何?その(3)
ワイン造りも違うの?
バイオダイナミックの基本ルールはセラーとは直接的につながっていないけれども、その延長線上にあるとしている。
ニコラス・ジョリ的理念に基づくワイン造りは以下のようになる。「ワインを美しく飾るのは人間だというが、栽培地を表現するワインは人間のサポートが必要なのだろうか?なんと原始的なとことをと言う人がいるかもしれない。真の美しさは同時に純粋だ。健全な栽培をしていると、秋の天候が理想的ではなかったとしても、葡萄は抵抗力があるし、ヴィンテージの質を確かなものにしてくれる。厚化粧で雨に当たると化粧がはげる(キビシー!)。バイオダイナミックを数年続けると、どのヴィンテージもワインに化粧をほどこす必要がなくなる」とロマンチックだ。
「ブドウが収穫された後は、セラーでの介入は尊敬と慎重さをもって行われなければならない。ブドウは言いようのないアロマ、味、そして色に、どのように変えるか知っている。アシスタントはいらない。私はワインを造るとは決して言わない。見つめて聞いている。まれに1つか2つの規律に欠ける樽に介入する」となる。また化学薬品の多用によって畑の酵母が破壊されたと嘆く。“サハラ砂漠の土のほうがフランスの多くの畑より微生物の活動が多い”と、Claude Bourguignon (土壌微生物学者)が宣言したという。アペラシオンはその土地のオリジナルのアロマが表現されるべきなのに、多くのワイナリーでは酵母を加えなければならいのはなぜかと疑問を呈している。世界中の醸造家が同じ醸造技術を使うことが出来る現在、似通ったワインが出来上がっている。アペラシオンが存在する理由が希薄になってしまった。リヴァースオスモシス(ワインの凝縮度を高めるために水分を取り除く)や円錐分離機を使うのは、人体から水分をほんの数パーセント取り除いても死につながることを思い起こさせる。生物の水分は、でたらめに含まれているのではない。ブドウは、もちろん、そんなに敏感ではないけれど熟成の過程を妨げるかもしれない。