Sonoma Coast AVA (ソノマ・コースト)

最近、ソノマ・コーストのピノ・ノワールが注目されている。きれいな酸味が特徴のエレガントなタイプのピノが多く造られている。

でもソノマ・コーストってどこ?

ソノマ・コーストはどちらかというと、ノース・ソノマという地区名のほうがぴったりするくらい広大で縦にのびている。この地区の南の境界線はマリンカウンティ、ここから北に向かって海岸沿いをメンドシーノ・カウンティの境界線までとなっている。

カーネロス地区、ソノマ・ヴァレー、ソノマ・マウンテン、ロシアン・リヴァー・ヴァレーと一部重なっている。

広大な栽培地区の共通点は気温だけという声も聞く。だれが、どうしてこんなに広い土地をAVAとして申請したのか。ソノマ・クトラーがワインのラベルに「エステート」と記載するためだった。ワイナリーとブドウ畑(自社畑かワイナリーがコントロールしている畑)が同じ栽培地区になければ「エステート」とトラベルに記載できない。

このワイナリーのシャルドネが一世を風靡した時期があるので、ご存知の方も多いと思う。ソノマ・カウンティのいろいろな地区にブドウ畑を所有しているから、エステートと記載するためにソノマ・コーストというAVAが必要だったのだ。その当時このワイナリーの社長だったブライス・ジョンズがこのAVAの申請をしたもの。現在はブラウン・フォーマンに売却。

今のところ、他の地区と重ならないソノマ・コーストにあるワイナリーは、Annapolis Winery, Wild Hog Vineyards, Flowers Vineyards, Keller Estateの4社のみ。ブドウ畑は増えてきているけれど、ワイナリーはない。Keller Estateはこの地区の南、ペタルマの近くにあることからも、この地区の長さがわかると思う。

今のところソノマ・コーストの老舗ワイナリーWild Hog Vineyards と、もうひとつの老舗ワイナリー Annapolis Wineryの周辺にブドウ畑が集中しているようだ。どちらも太平洋から8km以内にある。ソノマ・コーストという名前から言っても、コースト(海岸沿い)にあるべきだろう。これより内陸に入っているソノマ・コーストAVAの箇所は、コーストという名前と矛盾する。

Wild Hog Vineyardsは1977年からブドウを栽培、1990年にワイナリーを建てている。この周辺にFlowers Vineyardsがあり、Marcassinマーカシン(ヘレン・ターリー所有の畑)Three Sisters(マーティネリ所有) Hirsch等のブドウ畑がある。

ソノマ・コーストの北部にあるAnnapolis Wineryは1978年からブドウを栽培。海岸から4.8km、標高305m。この周辺にPeayペイやHartford Cour(ケンダル・ジャクソン所), Brice Jones, Artesa, Campbell, Thomas Brownのブドウ畑が存在する。

降雨量は406.4cmから152.4cmと比較的多いので、ブドウが生育を始める初期は土壌は水分を含んでいる。しかしほとんどのブドウ畑が高地にあるので水分は下へ流れてしまうことと、畑が霧の上になるので、成育期間中は太陽がたっぷりと当たるために、土中の水分が少なくなるので灌水が必要。太陽は燦燦とブドウに降り注ぐけれど、太平洋に近いために気温は高くならないので、涼しい地区の栽培に適しているピノ・ノワールとシャルドネにいいものが育つ。ブドウはゆっくりと成熟し、深い味わいをもつワインが生まれる。また畑によっては涼しい地区のシラーの栽培に適している。

現在、有志が集まって、ソノマ・コーストの細分化を話し合っている。この地区は4つに分けることができるという声も聞いた。

近い将来、新しいAVAが申請される日が遠くないかもしれない。