No. 41 Date:2009-08-08
甘いワインは嫌い?
アメリカへ来た年にクリスティーナという女性とカレッジへ行くのにカープールをすることになった。とっても面倒見のいい女性で、いろいろアメリカのカルチャーを教えてくれた。
その年初めての感謝祭に招いてくれたときのこと。デザートを食べるときが来た。アップルパイ、パンプキンパイがテーブルに並んだ。彼女が「私は甘いものが嫌いなのよ」という。私は甘いものが好きだと自分では思っていた。
パイを各自取り分けてお皿に入れたときに、彼女はごっそりとお皿に盛るのだ。甘いものが好きなはずの私は小さなスライスを小皿に取り分けて、さあ、食べる ぞ!と張り切っていた。クリスティーナは甘さが足りないと不満そうに言う。私には十分に甘かった。このとき甘いものが好きと嫌いとでも、こんなにニュアン スに差があることを知った。
そして数日前、行きつけのカジュアルなワインバーでのこと。オーナーからロゼを勧められた女性は「甘いワインは嫌いなの」ときっぱりといった。彼女が飲ん でいたのはアルゼンチンのスパークリングワイン。酸味がしっかりしているけれどフルーツはないタイプ。ロゼを少し試飲して「甘い!」と顔をしかめた。この 人は色で判断して、ピンクのワインは甘いという既成観念に影響されて甘さを決めているのだろうか。それともフルーツ味のない酸味だけのスパークリングワイ ンの後だから甘いと感じたのだろうか。
ワインについて甘いというときに、フルーツの甘さと砂糖(アメリカではコーンシロップも含めて)の甘さをごちゃまぜにしているかもしれないと思う。フルーツの甘さも果糖だから糖分ではあるけれど、甘さのニュアンスが違う。
例えば名の良く知れた辛口のシャルドネを飲んだとき、多くの人が無口になるという話をテイスティングルームの人が言っていた。そしてデザートワインを出すと感激する(これは日本人も含めて)のだと嘆いていた。
甘いワインは嫌いといっても、どのワインを甘いとしているのか、意識として甘いワインが嫌いといっても、本当は甘いワインが好きなのかもしれない。
食べ物、飲み物はワインも含めて個人差があって当たり前。このロゼは甘くないと私が思ったり,仮定しても、どのワインを甘いと感じるか、本当に人によって違うんだよね。という当たり前の話。