2010年&2011年

カリフォルニアというと毎日太陽が燦燦と降り注いで、ブドウはすくすくと育って、よく熟したブドウが収穫されて、ソフトでフルーティなワインが造られるというイメージだよね。今年は、そのイメージにぴったり。

でも2010年と2011年はちょっと違う。この2年はとっても涼しい年だった。

 

2010年

カリフォルニアらしくない夏で涼しく、6月になっても、雨がしとしとと降り続いた。醸造家たちは、夏の初めに、収穫が3週間は遅れるだろうと予想。それに備えて、ブドウの房を切り落としたり(摘房)、房に日が当たりやすくするために葉を取り除いたり(摘葉)という作業を例年より頻繁に実行。そうしたところが8月末に猛暑が襲い、最高気温がナパでは43℃までになったところもあったという。これではブドウもたまらないよね。焼けたり干からびてレーズンみたいになってしまったブドウも出しまった。

2011年

「暑いね!」と言い合う夏らしい夏は来ないで秋になってしまった。

おまけに4月に霜が降りて、特にセントラル・コーストでは収穫量が減ってしまった。ソノマとナパでは10月に雨が降り、ブドウにカビが付く畑も出た。10月中旬に日が照ったのが、せめてもの救い。品種によるけれども、11月にブドウを摘んだところもあった。猛暑もやってこなかったけれど、夏もやってこなかった。「まるでヨーロッパにいるみたい」と弱弱しいジョーク。

雨の前に摘んだところとそうでないワイナリーがあった。もう少し糖度が上がって熟してからブドウを収穫したいと待つことにしたワイナリーの中には、雨が降ってしまって、その畑のワインを造るのを断念したという悲劇も発生。高級ワイナリーでは質を落としたワインを出すことはその評判に傷が好くからだ。

 

この2つのヴィンテージはカリフォルニアワインらしさが欠けるワインになってしまうかもしれないと心配するワイナリーもあった。

今、2010年、2011年の白が出ている。口に含んだときにカリフォルニアワインが持つ密の細かいフルーツの味がやや薄目という白もあるけれど、相対的にエレガントで酸味のきれいなワインが造られている。

フルーティで芳醇なフォルニアワインが好みの人の中には今までとタイプが違うと感じて、戸惑う人もいるかもしれない。

逆に、バランスの取れた、ワインのニュアンスが表現されたカリフォルニアのワインを飲んでみたかった人は、なるほどと納得するかもね。

これはあくまでも一般的ということで、雨の前に摘んだところ、地区、品種によっても違うことを知っていてほしい。

良質ワインを造り続けているワイナリーは、自然の神が与えてくれた天候の元で育んだブドウから、その年のベストのワインを造っている。

好みの違いはあるかもしれないけれど、ヴィンテージの違いを味わうっていうのも、またワインの面白さだと私は思っている。

今年は文句の言いようがない良い年。どんなワインが出てくるのか楽しみ。