あちこち走り回って雑用を処理して、美容院にたどり着きました。まだきりきりしている私にアンドリアが「深呼吸をして、スローダウン。ここでリラックスしてください」とにっこり。
目をつぶって、ようやくほっとしていました。と、突然、隣の席からべらべらとしゃべる男性の声がして、あたりの静かな雰囲気が一変。どうしたのかと思ったら、おじいさんとおばあさん、妻と夫である声の主、それに3歳くらいの女の子の一団が5歳(くらいに見えた)の男の子のヘアカットに家族でやってきたのでした。静かにこの男の子のヘアカットを見入っているのなら、ほほえましいのですが、他愛もないことをこの男性が小さくはない声でたえまなく話すのです。イヤでも聞こえてくる彼の言葉から、男の子の誕生日であること、ヘアカットの後にランチに行くことがわかりました。
アンドレアがアシスタントの女性に音楽のヴォリュームをちょっと上げてといいました。
家族のむつまじさはすてきだけれど、静かに髪を切ってもらっている他のお客さんにとっては、うーんというところ。
美容室は公共の場だから、他の人が味わっている平穏さを壊すのは、ルール違反だよなあ、いろんな家族がいるものだなあ、父親か母親が一人ついていて、あとの家族はカフェかどこかで待っているってことにはならないのかしら、、、、と、ぼんやり考えていました。鏡に映っている私の顔にふと目がいきました。リラックスした顔じゃなくて、なにやら真剣に考え込んでいる風に見える表情に苦笑。