ソノマの暮らしブログ

アメリカのコロナの政治化

8月20日現在、アメリカではデルタ株が猛威をふるっています。特にコロナ予防接種を受けていない人たちの間で多くの人が感染して、「ワクチン接種をしていない人たちのパンデミック」と表されています。

感染率が高い州では、病院のICUベッドが足りなくなっています。アラバマ州ではICUベッドは満杯と報告されています。

民主党が優勢の州(ブルー・ステート)、例えばカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州、ニューヨーク州などはワクチン接種率が高いです。カリフォルニア州では54%の人が2回目の接種を終えています。ソノマ・カウンティは一度目の接種を終えた人を加えると80%が接種済みです。ワクチン接種率はオレゴン州は56.8%と発表されています。オレゴン州やカリフォルニア州でも感染者は増えているのですが、ワクチン接種率が高いため、入院患者や死亡者は接種率の低い州に比べて、少ないです。

カリフォルニア州ではデルタ株の感染が広がり始めたのを受けて、室内、人が混み合っている場所(コンサート、スポーツ球場など外でのイベント会場)ではワクチン接種をしていない人はもちろん、接種済みの人のマスク着用を義務付けています。

ホテル、レストラン、バーなどではワクチン接種済みの証明書、あるいは数日前のテストでネガティヴだったという証明書を示さなければ室内に入れないという方針を取り始めています。

共和党が優勢の州(レッド・ステート)、例えば南カロライナ州、アリゾナ州、ミシシッピー州、ルイジアナ州、テキサス州、アイオワ州、フロリダ州などでは、デルタ株の感染者が急増しているのにも関わらず、マスク着用義務はない、スポーツ観戦者は自由に入場と、全く逆の方針を打ち出しています。

アメリカでは新学期が始まったのですが、州によって生徒たちのマスク着用の義務付け方針が違うのが、日本人の私には信じられません。

例えばカリフォルニア州では学校の職員、教員、生徒全員のマスク着用が義務付けられています。

学校に勤務する人、教員はワクチン接種を済ませていること、何らかの理由でワクチン接種をしないことを選んだ人は、毎週テスト(72時間前)を受けて感染していないことを証明することが義務付けされています。

ワシントン州はもっと厳しくて、私立、公立学校は職員、教員全員のワクチン接種を義務付けていて、テストでネガティヴ証明書を提出する方法は認められないとしています。

テキサス州、フロリダ州、アリゾナ州では、子供と教員職員にマスク着用を義務付けるのは禁止という政策を取って、ニュースで大きく取り上げられています。

12歳以下の子供は、今のところワクチン接種が許可になっていないので、全員がマスクをして子供を感染から守ろうというのは当たり前のことだと思うのですが、そうではない人たちが存在するのです。

学校によっては州の政策に反対して、マスク直用を義務付けました。ところがフロリダ州、アリゾナ州、テキサス州の知事は、マスク着用を義務付けする学校の教員の給料を減らす、学校に支払う給付金を停止すると脅かしています。

昨日、バイデン大統領はマスク着用を義務付けた学校はヒーローだと褒め称えて、給料の減額分は州政府が出すと宣言しました。

フロリダ州と同じ政策でマスク着用義務付けを禁止しているテキサス州の知事本人がデルタ株に感染しました。「ワクチン接種のおかげで、症状は軽いので、大丈夫」とニッコリ微笑んだイメージをテレビで流していました。マスク着用について同知事の意見は変わるのでしょうか?

マスク着用義務に反対している州は全て共和党優勢の州(レッド・ステート)です。政治家の政治的見解が州民の生死に関わるのですから、恐ろしいです。例えばミシシッピ州のワクチン接種率36.2%(全米で2番目にワクチン接種率が低い)、ルイジアナ州は38.3%とワクチン接種率が低いのは、州の政策によるものです。当然、多くのワクチン接種をしてない人たちのデルタ株感染が急増して危惧されています。

ワクチンが感染予防に大きな効力があることが証明されているのにもかかわらず、ワクチン接種を抑制したり、感染予防に役立つマスク着用義務付けに反対する政治家の意図はなんなのでしょうか?

例えば、フロリダ州の知事は共和党の次期大統領候補になることを狙っているので、トランプ支持派の意向を考慮して、コロナ対策を打ち出しています。トランプを支持する人たちのワクチン接種率は低いです。ワクチン接種を拒否することで、トランプへの忠誠心を示しているのでしょう。

コロナウイルスは共和党であるか民主党であるかなんかは一切関係なく、すきを見てはガンガン感染者を増やしていきます。

人の命を守るという基本的な考えで、バイデン大統領はコロナウイルスを抑制しようと政策を打ち出すのですが、バイデン大統領が民主党だからというので、共和党は大統領が提案する政策に反対します。コロナがアメリカにもたらす大打撃を両党が協力して少なくしようという政治家が共和党にはいません。もしいたとしても、決して公の場では公言しません。

政治家としての野心のために、人が重病になる、死ぬということは考慮に入れていないことが明らかで、悲しいことです。こういう政治家が、アメリカの将来を担うことになったら、空恐ろしいです。

「政府がマスク着用を義務付けるということは、自由が損なわれる」というのがマスク着用義務化反対の理由です。

トランプ前大統領がコロナウイルス対策を政治化させてしまいました。それがいまだに続いているのです。彼の政策はアメリカの政治を右と左に分極化させてしまいました。アンケートではアメリカ人の69%がマスク着用義務化を支持しています。その内訳をみると民主党支持者の92%がマスク義務化に賛成、共和党は44%と低いのです。

政治の分極化が学校でのマスク着用義務化にも表れていて、マスク着用義務化に反対する両親が、教員がしているマスクを無理やりはぎとるという事件が数州で起こっています。

「民主主義は自由を保障しているけれど、責任が伴う」と学校で教えられました。

マスクをしないで子供を含む他の人にコロナ感染を広げてしまうという自由もあるんですかね?多少不自由でもマスクをして子供たちや家族、知人、友人への感染を防ぐという責任があると思うのですが。

6月の時点で、バイデン大統領の方針では大半の大人がワクチン接種を終えて、集団免疫が生じると期待していました。

アメリカではワクチン接種をしたら、宝くじをあげるとか、ビール、ピッツァをあげるとか、ワクチン接種の効果を科学的に信じる連邦政府も州政府もいろいろと努力をしたのですが、それでもワクチンの接種をしない人が多くて、集団免疫に到達しませんでした。

ワクチン接種を敬遠している人の中には、接種による副作用が出て仕事を休まなければならないことを心配したり、ワクチン接種会場までの交通機関がないという人たちもいると思いす。接種会場までの交通費を出す、ウーバーをタダで利用することができると、政府では接種を強く奨励したのですが、それでも接種をしない人が多いのです。

「自分は健康だから大丈夫」と確信している人も少なくないのでしょう。でも接種をしていない健康な30代から50代の人の多くが感染して、重症であったり亡くなっています。

怪しげな右翼系のテレビ局とかフェイスブックのコロナに関する誤った情報を信じてしまった人たち(フェイスブックは誤報を流すサイトのいくつかを閉鎖しましたが)、そして、共和党の政治家の中にも平然と誤報をマスコミに伝えるという現象が、ワクチン接種の妨げになっています。

そんな状況の中で、デルタ変種株が出現して、どっと感染者が増えてしまいました。

現時点ではアメリカ全体では51%の人が2度目のワクチン接種を終えています。

一日も早くにワクチンの接種をしたいと待っている人たち、ワクチンを買えない貧しい国の人たちが世界中にいます。

上げ膳据え膳でワクチン接種を奨励しても、拒否をする人がいるアメリカ、不可思議な国です。

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