アルザスタイプのワイン

カリフォルニアは、ひところ「シャルドネ、プリーズ!」というのがクール(かっこいい?ちょっと古いね)という女性が多かったけれど、今はクールだとはいわないだろう。まだシャルドネが良く売れてはいるけれど、ひところの勢いはない。今の若いワイン消費者(*ミレニアル世代? Millennial generation)はボルドー、ブルゴーニュの典型的なワインではなくて、いろんなタイプの(国も含めて)ワインに関心を示している。

そのひとつにブレンドしたワインがある。数年前のローヌワインのテイスティングだと白ワインだとヴィオニエがほとんどでローヌ系品種をブレンドした白ワインというのがほとんど見られなかった。先月の恒例のローヌワインの試飲会にいったら、WHITE BLENDという名前で手ごろな価格で質も悪くない白ワインのブレンドを提供しているワイナリーが目に付いた。

白のブレンドしたワインで、ローヌではなくて珍しいアルザスの白ワインのブレンドもカリフォルニアで生産されている。生産ワイナリーは多分数社しかないと思うけれど、

アルザスは基本的にはブレンドしたワインは生産しないとか。その例外としてEdelzwicker (エデルツヴィケール)とGentil(アメリカではザンティと発音するらしい)というブレンドしたワインがある。Edelzwicker はドイツ語から来たもので、高貴なブレンドという意味で、リースリング、ピノ・グリ、ゲヴェルツトラミーナ、マスカットが高貴なブドウで、ピノ・ブラン、シルヴァーナー、シャスラ(Chasselas, Auxerrois は高貴なブドウのカテゴリーには入っていなかった。だからEdelzwickerはいわゆる高貴な品種のみをブレンドしたものでなければならないと1970年まではされていたけれど、現在は自由にブレンドしてもいい。なので「あまり高貴ではないブレンド」なんて声もないではない。

Gentil は50%がリースリングとゲヴエルツトラミーナ、(マスカットも加えてもいい)でなければならないとされている。残りはピノ・ブラン、シルヴァーナー、シャスラを使うとなっている。各品種は別々に醸造されてAOCとして認定されたワインをブレンドしなければならない。そうすればアルザスのAOCと認定される。

アルザスのEdelzwicker とGentil はソフトな口当たりでやや甘味があるのが多く、カリフォルニアでは高いので2025ドルほど。

アメリカとオーストラリアで21世紀にはいって、少数の醸造家たちがアルザスの伝統的なブレンドにトライしてみようと生産を始めた。

カリフォルニアのアルザスタイプでいいなと思うのに出会った。

Robert Sinskey (ロバート・シンスキー)のAbrax(アブラクサス)と Navarro(ナヴァロ)の Edelzwickerの二つ。

Robert Sinskey 2012Abraxas

ピノ・ブラン(35%)、リースリング(35%)、ピノ・グリ(18%)、ゲヴェルツトラミーナ(14%)のブレンド。ブレンドの比率は年によって変わる。Abraxasという名前はギリシア神話から。ブドウはカーネロス地区の自社畑でオーガニックあるいはバイオダイナミック栽培で栽培されたものを使っている。

ライム、梨、リーチ、ミネラルのきれいな香りが特徴。きりっとした酸味の長いフィニッシュ。質の高い白ワイン。でも36ドルと値段も高い。「シャルドネじゃないのになぜ高いの?」とテイスティングルームの若い男性に聞いたら、「いい質問ですね。ブドウ栽培にお金がかかっているから、、、。それに質と価格はあまり関係ないです」と私のぶしつけな質問に答えてくれたけど、質問がドジだったよね。高くても売れるから、この価格なんだよね(反省)。

Navarro 2012Edelzwicker

ピノ・グリ(53%)、ゲヴェルツトラミーナ(36%)、リースリング(9%)、マスキャット(2%)のブレンド。

ほんの少しの炭酸ガスがフレッシュな印象を与える。やや甘口に造ってあるのだけれど、甘さにいやみがない。ほろりとした苦味と酸味とフルーツの甘味のバランスがいいからだろう。優しい感じの白ワイン。食前酒にぴったり。それからサワークリームとブルーチーズにオリーブオイルのドレッシングをかけた玉レタスのサラダに良くマッチした。17ドルとお買い得な価格なのも嬉しい。

    ミレニアル世代? Millennial generation

1982年から2001年の間に生まれたアメリカの若い世代を指す。ベビーブーマーが退職した後、アメリカを引き継ぐ世代とされている。この世代はその前の世代とちょっと違うらしい。一生のうちに68回、違う仕事につくだろう。高い教育を受けた母親を持つ数がどの世代よりも多く、コンピューターを含むハイテクを身近に感じながら育ち、多様な人種との共存も自然だとしているし、多様な環境に惹かれるといわれている。アメリカのワイン市場はこの世代の消費量に大きな期待を寄せている。

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