No. 32 Date:2007-12-22
空気も吸えない?
10月にシカゴの新聞が、「適量のワインを飲むことでさえ乳癌と大腸癌にかかる率が高くなるという証拠がたくさんある」という記事を掲載した。日本でも多分、この記事が転載されただろう。
こういったセンセーショナルな目を引く記事を新聞社が掲載したいのは理解できる。でもこの記事を書いた記者は、どの程度の範囲の調査結果を基にしてのレポートなのだろうか。
例えばワインを適量飲むことによるプラス面を、意識的に無視している。一人の科学者がこの記事に反論して、「このレポートは目が見えない人が象に触れて感 想を述べるという話を連想させる。触った箇所の印象を述べるだけで、象の全体については触れていない」という声を寄せたという。しかしそういう反論は新聞 社が読者に知らせる義務はないわけで、抹殺されることが多い。
アルコール飲料の飲みすぎは体に良くないのは公然の事実。それに少量でも飲めない人もいるわけで、それは個人個人が選択するもの。だれもたくさんワインを飲めと奨励しているわけではない。特にワイン業界はコマーシャルを流す時間帯等、自主規制をしている。 この記事を読んで、適量が健康に良いという(もちろん個人差があるけれど)ことを抜いて、ワインを飲むことを恐れる人が出るかもしれない。 センセーショナルな箇所だけを強調したレポートは掲載されると話題になるけれど、書き手はもう少し全体像を見て書く必要があるし、読み手は、そういった記事に惑わされることがない批判精神を持つべきだなあと実感させられた。 あれは体に悪い、
これは癌になるという記事をすべて信じていたら、そのことが心配で胃潰瘍になってしまうし、そのうち空気は汚染されているかもしれないと心配になって空気も吸えなくなるんじゃないかしら?
与えられた時間を充実させて、楽しく幸せに暮らすことしかないなと2007年の終わりを控えて達観。