No. 31 Date:2007-10-28
過剰ワインの販促
フランスの一人当たりのワイン消費量が低くなってきているという。そこでワイン の売り上げを増やそうと、フランスのワイン社はボックスワインを造った。そのブランド名がタンデム(Tandem)。フランスのタンデムは8.5オンス入 りのボックスワインで押すと口の中にピュッと入るシステムなのだそうだ。 一方、カリフォルニアの著名な醸造家グレッグ・ラフォレッテはタンデムというラベルで、ソノマ・カウンティのロシアン・リヴァー・ヴァレーのブドウを使っ て品質の高いピノ・ノワールを出している、ラベルのスペルは一緒だ。フーン!
ボルドーの第1級ではない栽培地のワインが大量に余っている話は前にも書いたけれども、そのワインを何とかして売りさばこうといろんなアイデアが出てい る。缶入りのワイン、ハーフサイズのプラスチックのボトルは、すでに市場に出ているのでスーパーなどで目にした方もいるかと思う。
そんなアイデアのひとつに愉快なのがある。ボルドーのワイン社が2万5,000ケース売ったというワインの話だ。Soif de Coeur というネーミングで、訳があまりロマンチックじゃないけれど、「ロマンスの乾き」というネーミングのワインだ。
このボトルには特別のラベルが付いている。ブルーは男性用、ピンクは女性用だという。そのラベルを剥がすとインターネットの出会い系サイトにアクセスできるコードが書いてあるのだそうだ。このワインはベルギーのスーパーの600店舗でテストとして売り出されたという。
ベルギーの友達に、真相を確かめたら、そのワインの話は本当だけど、ベルギーじゃなくて、フランスのスーパーだよという返事。夫が「マーク(友人の名前) は恥ずかしいから嘘を言ってるのさ、ベルギーでカリフォルニアワインが売れてることさえ恥ずかしいんだから。何でもフランスじゃないといけないんだよ」と 冷やかす。
過剰ワインを何とかして売りさばこうとしている苦肉の策なのは明らか。こうなるとワインはまず色を見て、それからグラスを揺らして香りをかいで、静かに口に含んでぷくぷくして、ゆっくりと飲み込んでその余韻を味わうというワインとは別世界のものだ。
でも売れたということは「出会い系サイト?いいじゃない」といって買う人もたくさんいるということなのだろう。ワインだって、いってみればたかが飲み物、こういう人がいてもいいのかもね。
気の毒なのはソノマ・カウンティのタンデムだ。同じ名前のワインがアメリカに入るのを防がなきゃならない。頭の痛い話だ。