No. 33   Date:2008-2-27

高いワインほど美味しく感じる?
科学者が面白い実験をした。カリフォルニア・インスティチュート・オブ・テクノロジーの経済学者が行った実験だ。20人のボランティアに5つの異なる価格のカベルネ・ソーヴィニヨンを飲んでもらって、美味しいと思った順位をつけてもらい、同時に脳の反応をモニターでチェック。ボランティアは味の濃さについての評価もするように依頼されていた。
実験の中で、同じワインが2度出されていることはボランティアは知らされていない。5ドルと45ドル(このワインの価格は実は5ドルで同じもの)。もう1組は10ドルと90ドル(このワインの実際の価格は90ドルで同じもの)5番目のワインは35ドル(これは実際に35ドルのワイン)と知らされた。
どのワインが好きか順位をつけるようにといわれたボランティアは、90ドルのワインが一番好きで、5ドルのワインが最下位というランクをつけた。そのときの脳の活動具合をスキャンしたら、価格によって脳の喜びを感じる部分が違う反応をしたという。Medial orbital prefrontal cortex(眼の後ろにあるそうだ)が90ドルのワインを飲んだときに一番活発で、5ドルのワインを飲んだときは最小の動きしか示さなかったという。味についての評価には価格はインパクトを与えなかった。5ドルと45ドルは、それから10ドルと90ドルは同じ甘さだったと答えている。
消費者は、例えばワインの場合、ワインの本質的な品質、味以外に、買うという喜びを得るときに価格に頼っているとしている。例えば、脳は高価なワインほど味がいいという認識に頼っているのだ。でも、もし私が90ドルと知らされて、たとえそのワインの質はそれほどではなかったとしても、そのワインをただで飲めるとしたら、やっぱり私の脳も嬉しさで大きな反応を示したと思うな。
この実験から、マーケット戦略として味を変えずに、価格を上げるという戦略が成功するのは、脳の働きによるものと結論付けている。
2週間後に、同じボランティアは価格を知らされずに好みの順にランク付けをするように依頼された。前の実験のときに5ドルと45ドルと知らされたれたワインが一番好きで10ドルと90ドルと言われたワインを2番目とした。
このリサーチに関与していない他の経済学者は「水の味はそれほど違わないことは明らかでも、高い値段で売られているイタリアの水を買い求める。消費者は価格に関心を払い、価格が受け取り方に影響を与えている」とコメントしている。
ワインのテイスティングをするときに、ブランド名(そしてこのブランドは高価なワインとして知られている)で試飲すると、ワインの評価に影響することは他の調査でも証明済みだけれど、高いワインと知って飲むと、飲んでいるときに喜びの程度も高くなるんだなと、変なところで納得。