毎日、毎日、これでもか!という感じでトランプ大統領のアメリカの評価を低める結論や根拠のない発言が続いて、周りの友人たちは多少ウツ気味の今日この頃です。
もうじきやってくる中間選挙で、どんな結果が出るのか、毎日、予測番組が報道されています。
そんな気持ちが沈みがちなある日、バレーやオペラのブログを書く友人からオペラに行かないかと誘われました。
シーズンチケットを持ってるほどのオペラファン女友だちが二人います。
「オペラのどこがいいの?」
「歌を聴きにいくの」
なるほど。良い機会なのでオペラ鑑賞に行ってみることにしました。
オペラって、裕福層の比較的高年齢の方たちが行くものと思ってました。多分、チケットも高いのでしょう。年齢的にオペラファンの年齢に近くなってるので、年相応に?オペラの価値を見い出せるかどうか、まずは行ってみようと思いました。
若い頃、裁判官とか偉い書記官などがワインの話をしているのを耳にして、ワインはお金持ちの高齢者が飲むものと思っていたのと、同じ感覚です。もっとも最近は違和感少なくワインを楽しむ若者が増えてますが。
今回のオペラは「トスカ」サンフランシスコのオペラ座です。
プッチーニの作品で、有名なオペラだそうで、題名は聞いたことがありました。
ストーリーは簡単。
フローリア・トスカという美しい歌姫と恋仲にある画家のカヴァドラッシが、警視総監スカルピアと政治思想的に対立して追われている友人のアンジェロッティを助けたことから、カヴァドラッシは処刑されて、トスカは身を投げてしまうという話です。サイドストーリーとして警視総監のスカルピアは美しいトスカを手に入れようと策略をくわだてます。3人とも死んでしまうというドラマチックなストーリー。
第一幕では恋仲の二人のやりとりの台詞が歌われます。ミュージカルは台詞と歌とダンスが混じっているけれど、オペラは例外を除いて台詞は全て歌われます。歌とともに踊るということはなかったです。すごいヴォリュームで歌っているので、踊るっていうのは無理かも。
「平板な歌とソプラノの甲高い声をずうっと聞かされるのかなあ。きついな」と内心思ってました。
第2幕は警視総監スカルピアがトスカに迫る場面で、トスカ(ソプラノ)が自分の運命を嘆く歌が歌われた時、「あっ、いい歌だなあ。綺麗に切なく歌ってるなあ」ど素人の私が感激しました。
曲の題名はVissi d’ art, vissi d’ amore 「歌に生き、愛に生き」でした。私が知らなかっただけで、ソプラノが歌う非常に有名な曲だそうです。
第3幕は死刑場です。
死刑を目前にしたカヴァドラッシ(テノール)が、トスカのことを思い出し嘆き哀しむ歌で、曲名はE lucevan le stele 「星は光りぬ」。聞いていて、悲しみが伝わって来る素晴らしい曲でした。ここでも「わあ、いい歌だなあ」とジーンときました。こちらもとても有名で難しい曲の一つだそうです。
イタリア語で歌われてましたが、舞台の上部に電光掲示できるパネルがあって、映画の字幕を読む感じで歌を聴きながら読んでたので、内容がチンプンカンプンで想像しながら舞台を見てる(聴いてる)ということがなくて、ホッとしました。
そして歌詞がとっても詩的であることに気がつきました。
登場人物の心の内を表現する音楽をオーケストラが奏でるのも、なんとなく理解できました。
この2曲を聴いて、女友達が曲を聴きに行くと言ってたのがわかったような気がします。
ライターの友人との会話が愉快でした。
彼女の友人の一人がオペラのエキストラとして舞台を歩いたそうです。歌ってる歌手の横を通ったら、ものすごいボリュームで耳ががーんとなって、一生、耳が聞こえなくなったかもしれないと思ったそうです。
歌手はマイクを使いません。大きな会場の隅々まで聞こえるように、歌うのですから、かなりの音?だと思います。その訓練たるや、並大抵ではないことだろうなあと想像します。
「ラブシーンで顔を近づけて歌うと、相手に つばきが飛んでくるだろうね」と私。
「ラブシーンは囁くわけだから、会場には聞こえるボリュームだけど、それほどでもないかも」とクスリと笑って友人が答えました。
ベストのオペラを鑑賞できる劇場の一つにメトロポリタン劇場というのがあって、そこでの上演を記録した映画があります。オペラファンの女友だちに隣の町で上映されてるから行かないかと誘われたことがあります。その頃は「えーっ、オペラ」っていう感じで敬遠しましが、ブロガーの友人はお友達と行ったそうです。
休憩時間に、ブロガーの友人は「もう帰るから」とさっさと帰ってしまったそうです。その気持ちもわからないでもないなあと、ここでも笑ってしまいました。
ひところのオペラ歌手って、かなり太めだったのを写真とかで見てたので、美しい歌姫が、かなり太めだったら、興醒めだなと思ってたのですが、友人曰く、最近はそれほど太った歌手はいないそうです。そして歌うだけではなくて演技にも力を入れ始めてるとのことでした。
サンフランシスコのオペラの出演者たちはあまり太ってませんでした。
プレスルームに友人と行った時、プレス担当の男性に「ワインについて書きてるけれど、オペラは初めてです」と自己紹介したら、画家カヴァドラッシを演じるブライアン・ジェッジという歌手はソムリエの資格も持ってると教えてくれて、インタビューするなら手配をしますよとおっしゃってくれました。サンフランシスコ在住なら、改めてインタビューの日にちを予約してお会いしたいなと思ったのですが、残念ながらニューヨーク在住だとのことで、今回はインタビューを諦めました。
「来シーズンに戻ってくるからその時にね」と言ってくれました。
オペラ歌手とソムリエ、面白いウンタビューになりそうだけれど、果たして来シーズンまでオペラに対するうっとり感を持続してるかどうか、、、。
また機会があったら、行ってみようかなという気持ちで帰途につきました。