サンフランシスコで友人のユカさんとクリスが経営するCassava Bakery + Cafeは朝食とランチを出すお店。でもクリスはサンフランシスの一流レストランのアシスタントシェフだった方なので、金曜日の夜にコースでディナーを出しています。

友人たちと出かけました。その夜のメニューを持って帰るのを忘れてしまったので、料理については書けませんが、仲間たちと持込をしたワインの中で、印象に残ったワインについて書きます。

2007年ピノ・ノワールRochioli River Block

2007年は暖かい年だったし、かなり熟した状態で(ピノでさえも)摘むのが主流で、そういうスタイルのピノに高い点(パーカーポイントは91-93)が付いていた時期だった。このピノも、香りと一口口に含んだときに「あっ、熟してるブドウから造ったピノ」とすぐ感じられた。友人の一人はプルーンの香りと言った。でも黒チェリーの味が口中を満たして美味しい。すごく熟したフルーツの味があるのと同時に、フィニッシュにきちんと酸が感じられたのでほっとした。だれていない。ちょうどいろんなエレメントがこなれてきている段階で、熟成香はまだなくて、もう少し持ちそう。私はこういう風にがっしりしたピノは探していないけれど、格のあるいいワインだとは思った。

1994年カベルネ・ソーヴィニヨンCorison Napa Valley マグナム

キャシー・コリソンが造るワインは長く熟成することで知られている。このカベルネも素晴らしい熟成具合だった。スパイスとまだ残っているフルーツの味わいが上品に、そしてきちんと溶け合っている。料理にとってもよくマッチする。「いつも食べ物を考えながらワインを造る」と彼女は言っていた。キャシーは過熟、アルコール度の高いワインが大流行で、パーカーやスペクテーター誌がそういうワインに高い点をつけている全盛期にも、アルコール度が14%を超えるワインは決して造らなかった。だからナパのワインとしては地味で、ひところ経営的にも苦しかったと私は思う。

その彼女のワイン造りの哲学とスタイルが、今、再認識されて彼女の評価が上がっている。2011年にサンフランシスコのクロニカル紙がキャシー・コリソンをワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選んでいる。この新聞のワイン評価は常にアンチ・高アルコールだったけど。

このワインのアルコール度は12.5%。いまどき信じられない。でも未熟なブドウから造ったワインの味という印象は全然なくて、この夜の一番人気のワインだった。美味しいワインか、そうでないかは、アルコール度にあまり関係ないんだよね。