ソノマの暮らしブログ

北カリフォルニアの鍼治療

アメリカの鍼治療と題したいところですが、50州の状況を把握することは無理なので、北カリフォルニアとしました。数回ほど訪れたアメリカ中西部で食べ物や文化感覚がカリフォルニアとは違うなあと感じたので、鍼治療の状況についても違ってると思います。カリフォルニアでも南と北では文化や慣習のニュアンスが違うので、私が住んでいるソノマを含む北カリフォルニアの鍼治療状況ということで書きます。

鍼というと東洋の伝統的な治療方法で、アメリカでは「鍼を刺す治療?」といって敬遠するだろうなあと思いながら、数人の女友達に「鍼治療したことある?」と聞いたら、「もちろん!ストレス解消に鍼医さんによく行くわよ」という返事。

鍼は筋肉痛とか関節炎の腫れを取るのに効くと思っていたので「ストレス解消に鍼?」とちょっと驚きました、その後、ストレスで固まっていた私に、友人が誕生日にもらったというストレス解消の鍼治療用のクーポをくれました。早速行ってみました。鍼医はアメリカ人の女性で中国で針を学んだとのことでした。治療後、本当にストレスが解消されました。

鍼治療をするのはカリフォルニアに住んでいる日本人か中国人の鍼医だと思っていたので、白人女性の鍼医というのは意外でした。それまで日本人の鍼医さんに友人と一緒に腰痛と腱鞘炎の治療に通ったことはありますが、アメリカ人の鍼医にかかったことはありませんでした。

北カリフォルニアでは鍼治療は思っていた以上に普及しているようです。

最近、私が所属するカイザーの病院に慢性疼痛管理プログラムとして鍼治療科が加えられました。サイトをチェックしてみたら、鍼治療についての説明、鍼治療のビデオ、よくある質問の回答などが記載されてました。

とても混んでいて、なかなか予約できないと聞きました。

眼科疾患の鍼治療

2年ほど前に夫が眼科疾患の鍼治療について調べていた時に、隣町、ペタルマに黄斑変性の治療をする鍼医がいることをサイトで知りました。

ある日、眼中に浮いている黒いものが(飛蚊症)突然増えてギョッとしました。

もしかして日本では飛蚊症の鍼治療が行われているのかなと思って調べたら、飛蚊症の鍼治療をしている鍼治療院がありました。

それで夫が教えてくれた隣町に開院している鍼治療院さんに行ってみたのです。

鍼医の名前はデイヴィッド・ラッセル。40歳になったばかりの鍼医さんです。鍼医、薬草治療(ハーバリスト)のライセンスを持っています。また認定スポーツ医学マッサージ療法士でもあり、鍼治療整形外科委員会のプログラムの修了証書(ごくわずかの鍼医が持っている)も持っているという本格的な鍼医です。またサンタ・クルーズにある専門学校で伝統的な漢方薬を学んで修士号を取得、さらに大学院学生として中国の浙江カレッジ伝統的漢方薬医学治療病院で学んだので、漢方薬も処方してくれます。

目の鍼治療を始めたきっかけは、彼のお父さんが黄斑変性になってしまったので治したいということからだそうです。

中西部に住む黄斑変性を含む眼科鍼治療をしている博士号を持つ著名な鍼医、ローセンファーブ医師を訪ねて学びました。同医師は伝統的な漢方薬、自然療法、新しい最先端の治療法を組み合わせた総合的な治療法の分野をリードし、眼の衰弱に苦しむ人々の視力の維持と改善をしています

ローゼンファーブ博士は、豊富なトレーニングと臨床経験を活かして、最近、ジョン・ホプキンス大学の研究者とチームを組み、鍼治療による網膜色素変性症の治療効率に関する初めての臨床研究のための鍼治療プロトコルを設計しました。

フローターは完全に消えてはいませんが色が薄くなりました。

「ドライアイに効く治療法をロサンゼルスで学んできたんだけど、試してみる?」と言われて、ぜひということで鍼治療をしてもらいました。

アメリカ空軍の医師が作りあげた治療法だそうです。タイとかベトナムに行ってリサーチもしたとのこと。

かなり強いドライアイで、目がしょぼしょぼして霞んで見えてしまうので、ひっきりなしにアイドロップを使っていたのですが、鍼治療後、目が潤って、視力が改善されたので感激しました。

私は強度の近視で黄斑膜がひどく薄くなっているので、突然カーテンをひいたように暗くなったらすぐ電話するようにと眼科医に言われています。

そんな薄い黄斑膜に水が溜まっている(シスト)ことが検査で見つかりました。

若い中国系アメリカ人の眼科医、ドクター・イーは心配して、月1回ずつ検査をしてくれてました。シストが大きくなって、視力を失ってしまうことを心配して網膜の専門医に相談してくれたのですが、手術はできないと言われたそうです。

私もどうしたらいいのかと心配になって、鍼医のデイヴィドに聞いてみようと思い立ちました。

「治るよ。患者さんで消えた人がいます」という答えでした。

早速治療を受けました。1週間に一度、2週間続けて鍼治療をした後に、ドクター・イーの検査を受けた時はシストのサイズに変わりがありませんでした。それで、もう一度治療してみましょうということで、また検査の前に2週間鍼治療をして検査したら、なくなってはいないけれど小さくなっていました。ドクター・イーは嬉しそうでした。

「鍼治療したのです」と言っても「鍼治療については聞いたことはあるけれど、科学的に証明されるまでは何も言えない」という答えでした。

その後の検査ではシストは消えてはいませんが、大きくなっていないので、「検査は毎月ではなくて6ヶ月ごとにしましょう」というドクターの判断で今に至っています。

今は大きくならないように1ヶ月に一度、鍼治療を受けてます。

ドライアイは残念ながら3週間ほどで症状が元に戻るので、毎月治療を受けに通っています。デイヴィッドによるとドライアイの鍼治療で、人によっては3カ月とか、6カ月も効用がある患者さんもいるとのことです。私も鍼治療を続けていると3カ月くらい持つようになるといいなあと夢見ています。

私はコレステロールとか血圧を抑える薬とかは必要なくて、年の割には健康なのですが、目については色々障害があって、デイヴィッドいわく「私の目はアキレス腱」です。

治療費はかかりますが、効く間は通うつもりです。

アメリカで眼疾患に鍼治療に頼るなんて、人生は面白いですね。

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