ソノマの暮らしブログ

ソノマ市民はリベラル

6月中旬から7月初旬にかけて日本へ行ってきました。

東京と大阪で仕事をして、その後、札幌で1週間ほど過ごしました。とっても楽しかったです。

日本はいい国だと、しみじみと感じます。なんといっても平穏ですね。

でも一つだけ心に引っかかる出来事がありました。

京都駅でのことです。朝の通勤ラッシュで混み合っていました。構内の通路に男性が倒れてました。服装も清潔そうだし、髪もきちんとしているので、ホームレスじゃないことはすぐにわかりました。少し顔色が悪く、目をつぶってました。信じられないことに、だあっと歩いている人たちは、徹底的に無視して通り過ぎていきます。通勤時間に遅れるのはいやだし、変なことには巻き込まれたくないということなのでしょうか。

一瞬、電話と思ったのですが、私の電話は国際電話なので通じないことに気がついて、人ごみをかき分けてお店の人に知らせようと思いました。でも夫が「日本ではこういうのが普通だよね。前にも見たことがある」とつぶやいて、彼も無視する人たちの一軍になって歩き続ける様子なのです。それにつられて私も通り過ぎてしまいました。時間がなかったわけでもないに、止まらず過ぎてしまったことを、今も後悔しています。

昔、札幌のすすきので同じような場面がありました。人ごみの中で、通路に倒れている人を面白がって踏みつけて通り過ぎた若者もいました。私は近くの交番に知らせに走りました。と同時に近くのお店の男性がさあっと出てきてくれたのを記憶しています。

倒れている男性が、もし自分の身内で、だれも助けてくれなかったら、どう思うのでしょうか。

私は止まらずに通り過ぎてしまったけれど、誰か、立ち止まって電話してくれたと信じています。

で、ソノマの話です。

ここ10年ほど、ソノマ市はワインカントリーのメッカのとなって、年中ツーリストが絶えません。ホテルを建てる、新しいレストランを開く等々、投資家にとって魅力がある土地になっています。

そんな投資家のカップルが、過去3年間にソノマ・ヴァレーにある26の物件を買いあさっています。総額10,788,950,000円

例えば彼らが買い取った物件の一つに、ソノマに入る道路116号線にCornerstone というところがあります。広大な土地にテイスティングルームやアンティ-クのお店やら、カフェレストラン、そして有名な雑誌、サンセットマガジンのテストキッチン、素晴らしく手入れの行き届いた庭園(見たこともない花びらの豪華な藤棚が見事)があります。

ある日、ソノマの市民はカップルの妻がゲイ反対意見をソーシャル・メディアにバンバン書きまくっていることを地元の新聞の記事で知りました。

オバマケアと呼ばれる健康保険システム(貧しくても健康保険に加盟できるというアメリカ史始まって以来の保険制度です)や同性結婚に反対の意見を書きまくり、さらにビジネスパートナーはカリフォルニア州で規定している、「教科書にゲイの権利の保障を記載すること、ゲイであることに(性的指向)対する差別を学校では禁止する」という規定を廃止するように州に働きかけていることも暴露されたのです。

同カップルは料理学校と隣接しているイベント用のレストラン(歴史的由緒のある建物)も買収しています。ここのイグゼキュティヴ・シェフは同カップルの意見に反対するとしてレインボー・フラッグ(虹色の旗)を掲げました。レインボー・フラッグはゲイ・プライド・フラッグとかLGBTQフラッグとしても知られていますが、平和のシンボルとしても使われています。サンフランシスコで作られたものですが、今は世界的に使われています。

   

ジェネラルマネージャーも「彼らの意見には100%反対だ」と、所有者に伝えたと発表。雇用者の意見に堂々と反対するところが、リベラルな町、ソノマを明確に表しています。

ソノマの市長は「この町にはこのような分裂は必要ない。全市民が一つのコミュニティに属している。一緒に良い街づくりをしている。彼達のソーシャル・メディアに載せている意見は我々の価値観とは違う。」とコメント。

ここに述べた二つの物件の売却者は「ビジネス関係、人物については、全て調べたが、彼らの政治的背景や宗教についてはチェックしなかった。過去20年間、私の会社は多様性と平等をモットーとするリーダーとして、同性結婚の従業員も平等に社会保険に加入させている」と戸惑った様子。

地元の人権擁護団体のメンバーから、同カップルが所有するレストラン等をボイコットするという声も出たけれど、ボイコットによって、そこで働く人達にも影響することを考えて、ソノマ・ヴァレーの住民のためにというのでポスターを作りました。

内容は:

私達は歓迎します。

全ての人種、

全ての宗教、

全ての国、

全ての性的指向、

全てのジェンダー(社会的文化的観点から見た性別、性差)

全ての能力。

私たちは一緒に立ち向かいます。      あなたはここでは安全です。

このポスターが商店やカフェなどに貼られています。

私にはゲイの友人がいます。彼はゲイになりたくてなったのではありません。ゲイとして生まれてきたのです。自分が他の子と違う、ということを中学生くらいに気がついて悩みました。そしてゲイであると認めて暮らし始めたのは、30歳だったそうです。それまでは無理して女性とデートしたけれど、なんとも不自然な気持ちだったと話してました。今は、明るく恋人とソノマで暮らしています。

各人が異なる意見を持つことは当然です。同性結婚に反対する人、賛成する人。それを公然と主張しても問題にならない州(特に中西部など)もあるかと思います。でもカリフォルニアは全ての人の人権を認めることという価値観が、大多数はを占めています。

ソノマに住んで良かった。

リベラルなソノマ市民に乾杯!

アメリカは実に複雑な国です。人種、宗教、文化の違いに焦点を当てるのではなく、共通点を見出して仲良く暮らすというのが基本です。

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