エンリケの家族はJaliscoという町の名士。家族の名前が付いた道路があった。お父さんがテキーラの原料であるアガヴェの栽培農家で広大な土地を持っていた。でもブドウと同じで(もしかしてもっと極端かも)高く売れる年、突然に供給過多で叩き売りの年とアップダウンがあって土地はあっても借金も多かった。それを息子のエンリケが売りに出ていたテキーラの蒸留所を買い取ってテキーラの生産も始めた。
広大な敷地にはたくさんの樽が並ぶ貯蔵庫があり、向かいの丘にはエンリケが所有する広大なアガヴェの畑が見える。
面白いのはこの地区では戦う闘牛ならぬ闘鶏?が盛んだということで、闘鶏用の鶏を600羽飼っている。
週日はグアダラハラに住んで子供はカトリックの学校へ通い、週末は農場で過ごす。
多くの従業員(60人と聞いたけれど、これはテキーラ生産に関係する人も入れてだと思う)が家族ぐるみで働いている。子供たちはとてもお行儀が良くて、本当に無心で愛らしいので、私のほほはほころびっぱなし。
聖餐式の前の日に、私たちも農場へ移動。鶏の大合唱の挨拶を受けた。この聖餐式の儀式はエンリケの家族だけのための農場の丘に立っている教会で牧師さんを招いて行われ、その後は200人を招いてのパーティが午後の3時から朝の2時まで。マリアッチのバンドも入って、テキーラ、ビールのがんがん飲んで歌える人は歌ってと楽しいパーティ。
エンリケはお金持ちだけれど、パーティ、教会のお花から料理まで全て従業員と家族で実行。ケータリングは頼まない。子供の教育のためだという。
奥様のマリアエレナは儀式用のドレスに着替える寸前まで、前日からお料理、お花、テーブルと駆け回っていた。
エンリケが総指揮をとり、相棒と友人も野菜を切るのやテーブルとイスをならべるのやら、テーブルクロスをかけるのやら手伝っていた。私はスペイン語が話せないので、役に立たないからもっぱら写真撮り。
料理担当の従業員カップルが3つの大型の銅製の鍋でラードで鶏肉、豚肉、羊肉を4時間煮込んでいた。
トルティヤの中にひき肉を入れて2本の爪楊枝で止めて800個のタコスを作っていた。その作業をエンリケの二人の子供と料理担当のカップルの子供たちが当然のことのように手伝っていた。それをラードで揚げる。そばで写真を撮っていたら、揚げたてを食べさせてくれた。
これを翌日パーティのときに再び揚げて、出すのだ。
素晴らしい経験。メキシコの人たちは家族が大切。一体となって協力し合って暮らしている。祖父母が生きていたころ、家族って、こんな感じだったなあと、懐しかった。