2013年マーケットウオッチ

今年のワイン業界で印象に残ったことを数件あげてみました。

ヨーロッパからの買収:

ナパ・ヴェレーのカベルネ生産ワイナリーとして、個人的にはトップだと内心思っていたAraujo Estate WinesがフランスのArtemis Groupに売却されたのは、ちょっとショックだった。Artemis GroupChateau Latourを所有、その他ワインに関係のない有名ブランド Gucci, Bottega Veneta, Yves Saint Laurent, Puma, Sergio Rossi も所有。

Araujo Estate Wines は生産量が7500ケースの小型ワイナリーで、カベルネ・ソーヴィニヨン(一本が200ドル)とソーヴィニヨン・ブラン(140ドルで1000ケースほど生産)をしていた。歴史的由緒ある素晴らしいワインを産出するEisele Vineyard (33エーカー)も売られてしまった。

多分、ノーと言えないすごい金額でオッファーが来たのだろうね。よく言えば、世界のトップワイナリーを所有する会社がこのワイナリーを買いたいというのは、ナパが世界のトップクラスという名声を得たからなんだということなんだろうね。

カリフォルニア内での買収:

Francis Ford Coppola Duckhorn Wine Company がワイン生産施設を買収したこと。

Francis Ford Coppolaはソノマ・カウンティのずうっと北に、まるでデズニーランドかと思われるワイナリーを持っている。大きなプールにレストラン、映画に使ったコスチュームと車を展示したミュージアムといった具合だ。ここの設備で可能な生産量では十分じゃないのだろう。すぐ近くにあるGeyser Peak Winery を買収。ブランド名ではなくて、大量のワイン生産が可能な設備をもつ建物(ワイナリー)を買い取ったもの。

Duckhorn Wine Companyはメンドシーノのホップランドという小さな町にあるRack $ Riddle というワイナリーだった建物を買収している。Decoyブランドの売り上げが急激に伸びたので、生産量を大幅に増やすのが目的とか。買収したワイナリーの設備だと50万から1000マンケースの生産が可能だという。

ワイン消費者として興味のあること。

Robert Parker が出版していたThe Wine Advocateをアジアの投資家に売ったことから、片腕だったAntonio Galloniが辞職。独立して2013年3月から新しく自分のサイトVinousを立ち上げた。35カ国が購読申し込があったとか。ビデオで挨拶とか、新しい試みをしてる。

立ち上げて5週間後にパーカーが訴訟を起こしたけれど、4月に取り下げている。訴訟の理由は、まだパーカーの元で働いているときに、パーカーの名前を使って自分のビジネスのためにワイナリーを訪問していたこと、50-100点システムはパーカが開発したシステムなのに、無断で使っているといったことがあげられていたらしい。パーカーは元弁護士だから訴訟はお手の物だよね。和解したんだろうね。

パーカーのようにワインの帝王にはなることは無いと私は思うけれど、十分な数の読者は得られるだろうね。