Uruguay Wine
先日、サンフランシスコでアメリカ初のウルグアイのワインの試飲会があった。「えっ、ウルグアイでワインが造られてるの?」って思う方が多いと思う。私もその一人だったのだけれど、数年前にアルゼンチンへ行ったときにUCデイヴィス校で醸造学を学んで博士号を持つというウルグアイの男性が相棒と知り合いということで、彼が造ったワインを持ってやってきた。そのときに、飲んでその質の高さに納得したという思い出があるので、ウルグアイのワインに対して期待感があった。
ウルグアイはアルゼンチンのブエノスアイレスの北東にあ大西洋に面した人口300万ほどのスペイン語を話す小さな国だ。ブラジルやアルゼンチンの人たちがヴァケーションに行くということだった。民主主義の国で教育水準がとても高いという。
ワイン造りは18世紀から。スペイン人が移住してきてブドウを植えた。現在、約3500の栽培農家と270のワイナリーが存在する。ブドウ畑の手入れや摘み取りは手作業なので、2007年のイエールとコロンビア大学のEnvironmental Sustainability Indexというプログラムでフィンランドとノルウエーに次いで世界で環境がピュアーなブドウ畑だとされたという。
今はワイン造りのノウハウはネットでどこでも手に入るので、栽培、醸造がいろんな国で研究されている。ウルグアイも例外ではない。ワインは国内で消費されていてのだけれど、輸出を目指すようになったのが、1980年代。ポール・ホブやミシェル・ロランなどの有名なコンサルタントも入ってきている。
ウルグアイを代表するブドウ品種はタナ(Tannat)だ。この品種はフランスのマデランで栽培されていてタンニンが強いワインになるということで知られている。ところがウルグアイのタナは、それほどタンニンが強くなくて、きれいなフルーツが特徴なのだ。
話がちょっとそれてしまうけれど、10年前になるだろうか、マデランを訪れて、タナをたくさん試飲したことがある。軽やかなべりーのフルーツがとっても素敵なのに、その後にガツンとタンニンが攻撃してくるのだった。そのとき、夕食に自宅へ招いてくれた知人パトリックがタンニンをまろやかにする機具の開発をしているので、見てほしいとガレージの二階に案内された。たくさんのガラス管が立ち並んでいて、泡がぷくぷくと立ち上がっていたのを記憶している。
これが後に有名になったマイクロオキシジェネーション(注をご覧ください)なのだった。最近相棒が話してくれたのは、この機具を2機、手荷物でカリフォルニアへ持って帰ったきたのだという。「多分、それがアメリカ初上陸だっただろうね」と笑っていた。
今、マデランのタナは多分、フルーティな軽やかなワインになっているだろうな。
試飲の感想
白ワインはソーヴィヨン・ブラン、シャルドネ、ヴィオニエが試飲に出されていたけれど、数は少なかった。赤はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、ピノ・ノワール、タナが出されていた。
私はタナだけに集中して(白は2社ほど試飲)テイスティングをしてみた。タナ品種だけで造ったもの、ピノとブレンドしたもの、メルローとブレンドしたものと、ボルドー系品種を数品種ブレンドしたものと、いろいろ造っていて、それぞれニュアンスが違っていて興味深い。
白はBodegas Carrauのソーヴィニヨン・ブランが良かった。すごいワインというのではないけれど、きちんと造られていて、1本が7ドルか8ドルという値段なので、お買い得。
赤は半分以上が、これからかなという感じだったけれど、決して悪いワインではない。
質を代表するワイナリーは 私にとってはPizzorno 、Bodega Carrau の二つ。半分くらいのワイナリーは樽を使いすぎているのが残念。コンサルタントの影響かな?
Pizzornoのワインはサンフランシスコに入っているとのことで、小売価格を聞いたら、14ドル、高いのが20ドルだった。とっても安価。
あまり数は入っていないけれど、これからだと思う。見つけら買おうと張り切っている。
ワインはカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネ、ピノだけじゃないし、ワイン生産国もフランスだけじゃないよね。当たり前だけれど。
いろんな国のワインのレベルが高くなってきていて、それぞれの個性がうまく表現され出してきているので、楽しみが増えた。カリフォルニアもおちおちしていられないよね。
注:Microoxygenation
ワインに酸素を注入するのに使われる器械。1991年にPatric DuCoumauによって開発されたもの。1996年からヨーロピアン・コミッションによって現代のワイン生産に使用することが認められている。現在、ボルドーで多く使われており、アメリカ、チリ、フランを含めて、11カ国で使われている。