Pinot Days San Francisco
今年のピノ・ディのテイスティングはサンフランシスコのメトレオンという娯楽《映画館とか》施設の大きな会館の見晴らしの良い心地良い会場で開かれた。参加ワイナリーはざっと数えて95か96社ほど。
全部を試飲することは私には無理なので、またしてもいつものように試飲を始めるときに挫折感に襲われる。
味覚がまだ自分で確かなだなと思える時点までしか試飲しないことにしている。じゃないと一生懸命造っているワイナリーに対して失礼だから。
2時以降は一般消費者がチケットを買って試飲にやってくる。この方たちは支払ったチケット分を飲みたいと思うのが当たり前だから、吐き出すことはあまりしないでしっかり飲み込むんでいるはず。私ならそうすると思うよ。するとかなり酔ってくる。ご機嫌で会場を去る。このお客さんたちの記憶に残って買ってもらえるのが目的だから、ワイナリーの人たちは一生懸命に注いいるけれど、どのくらいワイナリーを記憶してくれるのかしら、、、なんて思ってしまう。でも熱心なピノファンの会話が耳に入った、メジャーワイナリーをしっかり抑えているよなあと感心。こういう参加者もいるのだから、ちょんちょんかしらね。
こういう形のテイスティングイベントはいろいろある。初期のころはそれはそれはメジャーなワイナリーが多く参加して感動!というイベントも、成功したワイナリーは当然ながら参加を控えるから、回を重ねるごとに名前を聞いたことが無いワイナリーの参加がだんだんと増えてくる。そういうワイナリーの中から素晴らしいワインを生産するワイナリーとの出会いを求めて参加する。
2012年は理想的な気候パターンに恵まれて、しかも生産量も多かった年だ。そのせいもあるけれど、ピノの質は相対的に向上していて、質が悪いなというワインはない。ただどのピノも似たり寄ったりの印象のものが多かった。可もなく不可もなくという感じ。
ピノ生産のノウハウはネットで手に入る。他の生産者のピノをテイスティングしてなるほど良質のピノとはこういう感じなのだという基準みたいのが見えてきて、それに似たピノを生産するワイナリーも多いはず。その結果、似た印象のピノが多く生産されてるんじゃないのかしらと、私は思う。
でもそれは買い手にとっては当たりはずれが少なくて、リスクが少ないから良いことなのだと思う。ただ価格が上がっているという印象を受けた。40ドル50ドルは普通100ドルを越すピノもある。
更なるレベルアップとして育った土地(地区や畑)の個性を表現したピノが出てくることを期待したい。
私は華麗なピノとの出会いを期待していたのだけれど、残念ながらとても少なかった。ただひところのようにこれってシラー?(もちろんこのタイプが好みの方がいても一向にかまわないけれど)っていうピノなくなっていた。2012年はそういうタイプを造ろうと思えば可能なだけブドウが熟したと思うけれど、多くのワイナリーがそのトレンドからは離れつつあるようだ。シラーみたいなピノは、ピノらしさの表現はさておいて良く熟した美味しい赤ワインというスタイルだよね。それが最近はピノらしさが出たワインを造り始めているんだと思う。せっかくピノという単一品種でワインを造るのだから、ピノらしさが出たワイン(他の品種にもいえるけれど)を造ってほしいと私は思う。
印象に残ったピノ(ワイナリー)
ワイナリー別に価格とか畑名とかを書いたテイスティング用の小冊子がなくて、メモを取るのに苦労したので、ワインの味についてはあまり書けませんでした。ノートを持参してメモをしなかったのを後悔してます。
August West
Dutton-Goldfield
Gary Farrell :single vineyardがお勧め。 静かで落ち着いたピノ
Landmark:Grand Detourがよかった。老舗らしい安定感のあるピノ
Merriman: オレゴンのワイナリー。 Cmmins Roadがグッドヴァリュー。
Papapietro Perry:ラズベリー系の華麗なフルーツの華麗なタイプ、人によっては複雑味に欠けると感じるかも。
Scherrer:Sonoma Countyのピノが印象に残った。
Wayfarer Pahlmeyer:今年の秋にリリースの予定らしい。記憶だと 2つのクローンをブレンドしたのが良かった(多分98ドルのほう)。もう一つは(100ドル以上したと思う)バランスにかけているという印象。