No. 23 Date:2006-06-29

パスポート・トゥ・カベルネ

オーストリアのウイーンから帰った翌週にカベルネ・ソサイエティのテイスティングがあった。酸味の利いた引き締まったワインをたくさん飲んだ後で、カリフォルニアのカベルネを飲むと、私の味覚はどういう反応をするのだろうかと、ちょっと不安だった。でもフルーティでバランスが良く、きちんと造られているカベルネは美味しく、いいワインを好きになるのは簡単なことなのだと再認識した。

2005年ヴィンテージは春に雨が降り続き、関係者は心配したものだ。5月にカビ予防の散布を含む畑の手入れで、あるワイナリーの関係者は今までになくお金がか かったと嘆いていたのを記憶している。降雨が開花時期にあたったことから花ぶるいを起こすことが心配されたけれど、ロシアン・リヴァー・ヴァレー等のピノ・ノワールは被害を受けて収穫量が減ったが、カベルネは影響を受けなかった。収穫量が少なかった2004年の跳ね返りで収穫量が逆に増え嬉しい驚きだった。9月に猛暑がやってきたものの、それ以外は温暖な天候が10月下旬まで続いたので、ブドウがゆっくり熟する時間が与えられた。色も風味も構成も十分だけれど、「フルーツ爆弾のヴィンテージ」と評価される年と比較すると全体的にエレガントなカベルネが多く出回りそうだ。
主に2003年のカベルネをテイスティングした。(緒事情で短時間しか試飲する時間がなかったので、テイスティングしたワイナリーは少なく、いいワインをたくさん落としているかもしれない)


ジャミーライプタイプで印象に残ったワイナリー
2003年 Allora Vineyards
2003年 Gemsrone


クラシックなエレガントタイプで印象に残ったワイナリー
2003年 Clark-Claudon Vineyards
2002年 Ladera VIneyards


個性的で良くできたワインとして印象に残ったのは

2003 Diamond Creek Vineyards(Gravel Meadow)
2002 MarstoneFamily


ワイン・スペクテーター誌がホットなワインと評価したというジェムストーンの2003年と 2004年(樽からのサンプル)はライプタイプの究極で、一瞬「これはジャムか!」と内心でつぶやいた。ここまでライプだとヨーロッパ帰りの舌(?)が簡 単に好きになれるゾーンを越えていた。