No. 30 Date:2007-09-04

アメリカの消費量に寄せる期待

大手の調査会社の発表によると、南半球が2007年度四半期にアメリカに輸出したワインはフランス、スペイン、イタリアをトータルした量よりも多いという。特にアルゼンチンとニュージーランドからの輸出量が急激に伸びている。  
アメリカでホットなワインになると予測されているスペインは厳しい飲酒運転の規制がより厳しくなったために、レストランでのワイン消費量が激減したという。そのためにアメリカへのスペインワインの輸出量を増やそうとスペインは販売戦略を活発化している。
今後3年でアメリカは世界のワイン最大マーケットになると予想されているけれど、アメリカはスペインの期待に応えられるのだろうか?

フランスのワイン業界貧富拡大

7月に江別の実家に滞在していたときに、プロヴァンスのワイン生産者がワインを捨てているニュースがNHKで放映された。CIA(ナパにあるワイン&料理専門学校)でボルドーのワインクラスを取ったときに、この話は聞いていたので驚かなかった。  
デイリーワインを造る生産者は危機に立っている。フランスのワインだからという理由だけでワインを買う消費者は減っている。同じ値段で、もっと飲みやすくてフルーティなワインが他の国で生産されるようになったからだ。  
フランス国内では若者はワインを飲まなくなっているという。古くからある飲み物はクールじゃないのだ。アメリカの若者がビールを飲むのはもうスタイリッシュじゃないとワインを飲むようになってきているのとは逆だ。  
フランス・ワインは政府が補助金を出しているので、安く輸出されていた。それでも勝てなくなってきている。 
そこでいろんな対策案が出されている。一つはEC内の国のワインをブレンドしてはどうかというものだ。例えばスペインとオーストリアのワインをブレンドす るとか。ラベルにはヨーロッパワインと記載するのだろうか。ヨーロッパワインというラベルを見て、すごく安いからというので日本のワイン好きは買うのかな あ。  
2つ目はシャピタリゼーション(発酵時にアルコール度を高めるために糖分を加える)を禁止するというもの。そしてシャピタリゼーションをしなければならな いようなブドウを栽培している畑は他の農作物栽培に切り替えるという。また現在は禁止されているけれど、安価なワインの熟成にオークチップを使ってもいい とする。これはいいかもね。(禁止されているとはいうものの使っているところもあるようで、友人の会社はヨーロッパにお得意さんがたくさんいるよといって いた)  
これはあくまでもデイリーワインを生産する地区の話で、ボルドーの第1級などのシャトーは儲けに儲けている。アメリカも日本も貧富の差が拡大しているけれど、これがフランスのワイン業界でも起きている現象なのだ。ため息。