2019年12月9日にソノマ、ナパ、メンドシー地区の山火事危険シーズンが終了と公式に発表されて、ほっと一安心。

でも今冬は雨量が少なくて(12月は雨天が続いて降雨量は順調だったのですが、1月は雨天が続いても降雨量は少量、2月に入ってからは雨が降ってません)、今後雨量が少ないと干ばつになる恐れがあると気象庁は警告してます。3月に期待しているのですが、、。

確実に進んでいる地球温暖化はワイン産業に大きな影響を与えると危惧されています。

スポッツウッドのCEOであるベスは「気候の変化は”もし”でも”いつか”でもなくて、もう起きています」と話してます。地球温暖化現象は世界的に抽象的な話ではなくなっているのです。

世界規模でワイン産業は温暖化対策に取り組んでいます。

唯一の解決策というのはなくて、ブドウ栽培地区、ワイナリー、ブドウ畑の箇所によって異なる対応しなければなりません。

スペインのFamilia Torres ではフランスとの国境に近いPyrenees mountainの裾野の高地に土地を買い始めています。この地帯は気温が低くブドウ栽培には適していないとされていたのですが、気候変化のために栽培に適した土地となっているからです。

フランスでは昨年、INAO が醸造家に暑い夏によって収穫が早くなり、しかもアルコール度が高くなってる果汁のバランスを良くする新しいブドウ品種の実験をするように命じたとのこと。

カナダのOkanagan Valley にあるTantalus Vineyardでは高人気で利益が高いアイテムであるにもかかわらずアイスワインの生産を中止しました。

アイスワインを生産するブドウに必要な低気温の時期が遅くにやってくるようになって、しかも期間が短いので採算がとれないからです。

カナダのワイン法では、アイスワインはブドウ樹についている房が自然に凍結したものから生産しなければならない。そのブドウの気温がマイナス8℃以下でなければならず、それをすぐに圧搾しなければならないとされています。

オレゴン州のWillamette Valley Vineyard では過去数年にわたって標高152.4メーター以下だった畑を152.4メーターから243.8メーターの高地に植替用の土地を探し始めたとのこと。気温の変化によってオレゴンのブドウ収穫量が増えています。

スポッツウッドがあるナパヴァレーのセント・ヘレナ地区では2012年から2014年の4月から10月の生育期間に37℃の高気温になったのは6日ほどでした。しかし2015年には17日、2017年は21日とぐんと増えています。特に2017年は47.8℃という砂漠のような猛暑が数日ですが襲っています。

猛暑のためにブドウの中が65.5℃になってしまうと高級ワイン生産に重要なデリケートに熟する過程と成熟が損なわれてしまいます。

気温と降雨量のデーターが醸造家にとってとても重要です。

The Climate Serviceという会社は各地にウエザーステーションを設置して、そのデーターを集収して、将来の気候変化の予測するひな型を作成しています。過去の数字からナパ・ヴァレーの1980年代は30℃以上に上がった各年の平均日数は13日でした。同社のひな型によるとこの気候パターンが一定して続くとすると2040年までには65日に増えると最悪のケースを予測しています。

他の会社、Saturnaliaは、気候変化は地区、畑によって差が出ること、セント・ヘレナ地区周辺の気温上昇はミニマムだけれど、発芽の時期が早くなることと、冬の雨量が少なくなることを予測しています。

あるチャートでは、2039年には37℃以上になる日の予測が最悪で31日と予測しており、しかも37.8℃を越す日もあるという予測。

スポッツウッドでは気温の変化を調査している様々なチャートから予測されている地球温暖化をチェックして、その対応策を準備しています。

スポッツウッドの醸造責任者/ブドウ栽培責任者のワインカフ氏の対応策。

*ブドウ畑を強い太陽光線から守る。

 網を畝に被せて強い太陽光線を遮ってブドウの熟成速度を緩やかにする。

*干ばつ、洪水の被害を少なくできる下草を植える。

  干ばつの年には土の湿度を維持し、もし大量の雨が降った場合には下草を刈って水分を蒸  発させる。

*高気温に適した台木を実験的に植えている。

*ハイテクを利用してブドウ畑の湿度と風力、気温等を測定して、水を節約すると同時に与える適量の潅水をしてブドウ樹の状態を常にチェックする。

関連記事: https://www.winetalkcalifornia.com/winery-vinyard

*試験的に1ブロックに新品種を植えている

 高気温や猛暑に強い品種を実験的に植えている。

*ナパ以外の地区の土地を探している(ことわざにあるように最悪状態を避けるために一つのバスケットに全ての卵を入れておかない) 

デイヴィス校のブドウ栽培エキスパートであるS. Kaan Kurtural 氏は ナパのにあるオークヴィル・ステーション(16ヘクタールのリサーチ用ブドウ畑)の責任者を務めています。同氏はBecksoffer Vineyards に100の異なる台木とクロンの組み合わた3600のカベルネ・ソーヴィニヨンを植えて実験を進めています。今後8年間にわたってワインを造り、この組み合わせの中に高気温と干ばつに強いことを証明する組み合わせがあるかどうかを観察するという計画です。

ナパヴァレーにあるLarkmead Vineyard の醸造家Dan Petroski 氏は未来がどうなるか待っていることには関心がありません。

「もう気温の変化が起こっていて、考えていたより速度が速い。このワイナリーの将来、ワイナリーがどこへ向かっていくのか見極める責任があります」

1.2ヘクタールの畑に高気温に強いブドウ品種植えて実験する予定です。このワイナリーの高級カベルネの風味を損なわないようにブレンドできる品種(高気温によって減少してしまう酸味を従来通り維持できる品種)はどれかを知るためです。

消費者も対応しなければなりません。

「地球温暖化が進む中でワイン消費者は新しいタイプのワインが登場した時には受け入れることが必要」とワイン教育家は述べています。

究極的にはワイン愛飲家は新しい品種のワインを受け入れて楽しむというように味覚を変える訓練をするべき。今後、ワイン愛飲家は毎年同じワインを買うことができると期待できなることを知るべきとも述べています。

私も同感です。

例えば、今までと違ったブレンドによって出来上がったカベルネが、今まで慣れ親しんできたカベルネと若干異なる味わいであっても、美味しくて楽しむことができればいいと思うのです。ワインを楽しむ側として、ベストを尽くして気候の変化に対応している栽培家や醸造家の誠実なワイン生産の態度に応える時期がやって来たときには暖かく受け入れたいものです。

USA TODAYの記事を参考にしました。

スポッツウッド提供の写真を使いました。