Reserve
ワイン用語の中に、一見、法律的根拠があると思ってしまう用語がいくつかある。そのひとつがReserve。
某ワインライターは、Reserveの由来は、ワイナリーのオーナーが使うためにリザーブ(キープ)しておいたワインをリザーブと言っていたと話す。リザーブのワイン(キープしておいたワイン)は売るものではなかった。話によると、1945年のシャトー・ムトン・ロトシルド・リザーブ・デュ・シャトーは非販売品として造られた。このワインはバロン・フィリップ・デ・ロトシルドが訪問客にプレゼントとしてあげていたもの。その一部はロンドンのオークション・ハウス・クリスティやマンソン&ウッズに出てきたという。中にはラベルが貼られていなくて、ネックタグだけのものもあったとか。
リザーブとラベルに書いてあるワインは、レギュラーよりベターなワインだと仮定してしまう。確かにリザーブはレギュラーより値段が高いし、そう思うのは自然だろうね。
カリフォルニアワインで、質も良いし、価格も高いリザーブワインとして生産されているワインに、BV Private Reserve, Mondavi Reserve, Beringer Rserveなどがある。またプレミアム・ワイナリーで、レギュラーのシャルドネとリザーブのシャルドネを造っているところが多くある。このカテゴリーに入るリザーブワインは限定醸造、価格も高め、ワインの味はより凝縮されている。そして新樽使用率が高く、樽熟成の期間もレギュラーのワインより長い。
私が体験したのは特にシャルドネに多いのだけれど、リザーブのシャルドネは風味も豊かだけれど、新樽使用率が100%、樽熟成も長いので、樽の香りと風味が私にとっては強すぎるなあと思うものが結構多い。レギュラーのワインのほうがシャルドネのブドウ品種のニュアンスが良く出ていて、いいと思うケースが多々あった。今、オークの影響が少ないワインへとトレンドが向かっているので、以前ほど、明らかにリザーブ=オークというシャルドネは少なくなってきている。
カリフォルニアではリザーブという言葉を使うことについて法的な制限がない。1983年に当時のGlen Ellen、現在は Benzigerのオーナーであったブルーノ・ベンジガーが、品質のいいシャルドネがバルクで多く出回っているのを買って、瓶詰めして Proprietor’s Reserveとして安価で出した。これが大当たりで一世を風靡したものだ。このことがリザーブという用語のもつイメージの2極化をもたらした。そのため政府としてこの用語の規制が困難になってしまった。このブームにあやかって Kedall-Jackson もVintner’s Reserveを出している。Vintner’s Reserveは現在も生産されていて年間生産量は230万ケースという。
例えばイタリアのキアンティ・リザーヴなどは政府によって作り方等が規制されているけれど、アメリカは今のところ、その規制がない。
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