No 52 プティ・シラー


  

プティ・シラー

Petite Sirah

メジャー品種ではない赤ワイン。昔からひそやかにこのワインを愛するファンが存在する。現在60を超えるワイナリーがプティ・シラーを生産している。プティ・シラーという品種名がワインの名前となって出されたのはカリフォルニアが最初。原産地はフランスのローヌ・ヴァレーで品種名はドゥリフ(Durif) として知られていた。現在プティ・シラー(Petite Sirah) と呼ばれている品種はドリフと同じとされている。

1997年にUCデイヴィス校がDNAフィンガープリンティングと呼ばれる遺伝子の特色を見極めていく技術によって、プティ・シラーとドゥリフは同一品種であること、そしてシラーとローヌのブドウ品種であるPeloursinの交配種であるという結論を出した。

1870年代にフランスの植物学者であったフランソワ・ドゥリフがうどん粉病に強い品種を作るために交配し自分の名前をつけたもの。しかしドゥリフは個性のある質の高いワインにはなってくれず、帳消しになった。しかもブドウの粒が密着しているために房が腐食しやすいという弱点もあった。現在、この品種の生まれた土地、南フランスでは、ほとんど栽培されていない。空気が乾燥しているカリフォルニアでよく育ってくれることから、カリフォルニアで栽培され始めた。

プティという名前はブドウの粒が小さいことからネーミングされたものだけれど、ブドウ樹そのものは決して小さくない。そしていろんな土壌に適応する。樹勢が強く葉も大きくて収穫量も多い。長寿なので樹齢の高い古いブドウ樹が、カリフォルニアではまだ見つかる。ブドウの粒が密着していることから雨が降る土地や湿度の高い地区では腐食しやすい。しかしカリフォルニアでは、そういう問題が無いことから、長年にわたって栽培されてきている。。

この品種は長い間ブレンドに使われていた。色が濃いこと、タンニンが強いことが特色。また口の中での味わいが密なことも、他の品種にブレンドされる理由のひとつ。特にジンファンデルに複雑味を加え構成をよくするため、そしてややもするとジャミーになりすぎるのを抑えるためによくブレンドされている。

単一品種で造られたプティ・シラーはブドウが小粒なため果汁が少ないので果汁と皮との接触率が高いことからタンニンが多く、酸味も強い。だから長く熟成できる。20年は持つといわれている。フィニッシュがやや短めなのも特色。

若いワインは黒いベリー系フルーツの味わいがある。痩せた土地で栽培され、房を落として房の数を少なくしたときには、そして十分に熟していると黒コショウの味と香りがするものもある。

スペルはPetite Sirahの他にPetit Sirah, Petite Syrah, Petit Syrah とラベルに書くワイナリーもあって、混乱気味。