スクリーミング・イーグルのマーケティング戦略

先日、Screaming Eagle のワインについてなかなか面白いブログに出くわした。

このワイナリーのマーケティングは神秘性を保つことだというのだ。

なるほどと思った次第。ワイナリーが有名になったらきっかけはもう、すでにご存知の方も多いだろう。

ナパの不動産業を営んでいた女性ジーン・フィリップが1986年に買った57エーカー(23ha)のうちの1エーカーから造った1992年ヴィンテージのカベルネにパーカーが99点をつけた、生産量がたったの225ケース。少量生産と高得点。みんなが欲しがった。

2006年にクロエンケとバンクスが買収。クロエンケはフットボールチーム、バスケットボールチーム、アイスホッケーチーム等々を持つ大金持ち。バンクスは後にこのワイナリーの所有者から離れた。

といった情報はウイキペディアに書かれているもので、他の情報はあまりない。

この神秘性を維持するマーケティングが成功を導いているのだという。

カリフォルニアのカルトワインというカテゴリー(?)が生まれたのも、この頃だ。カルト(私の友人はオカルトと思ってたけれど)ワインの仲間に入るには、通説としての条件があって、その一つの条件が生産量が少ないこととパーカーの点数が高いことだ。このカテゴリーに所属して、神秘性を保つことによって,,,商売繁盛。

一般の人が知ることができない情報をライターはあげている。

まず57エーカーの畑のブドウを収穫すると数千ケースのワインの生産が可能。実際には何ケース生産しているのか、わからない。

新しい醸造責任者のニック・ギスラソンが造るワインは先任醸造責任者とどこが違うのか。前代醸造責任者のアンディ・エリクソンは、まだ時々ワイナリーにやってくるらしいし、ミシェル・ローランはまだコンサルタントであるらしい。

なぜソーヴィニヨン・ブランが一本が3000ドルするのかわからない。もともと少数のメーリングリストのメンバーとレストランのためということであったらしい。生産数が極端に少ないからこの価格なのだろうとライターは推測。

逆にカベルネの方は、もう、それほど入手困難という状態ではない。2012年は2000ドルちょっと出せばアメリカでは購入可能だ。

パーカーのソーヴィニヨン・ブランに対するコメントは「素晴らしくスペシャルということはない。この畑の近くにある畑から造られたもので、もっとリッチで、もっと複雑味があって、単純にベターな、そしてずっと価格が安いソーヴィニヨン・ブランが1ダースほど考えられる」というもの。

スクリーミング・イーグルのワインはこの価格だけの価値があるのだろうか?と彼は問うている。

使い方によるのだという。

ディナーに上等のステーキと一緒に楽しむ?それはないでしょう。この値段よりずうっと安くて楽しめるワインがたくさんある。

ボスにプロモーションとして贈る。

政治家が政策支持の投票を求めて贈る。

ハリウッドの有名スターを招待してきてもらうために出す。

といった場合には、もしかしてその価値があるかもしれないと皮肉っている。

もし飲むことが出来たなら、超高額、圧倒的に飲んだことがない人が多いワインを飲むことができたという喜びと感動で、何倍もすばらしい、美味しい!って感じてしまうだろうな、って思うのは私だけ?

私は新しいオーナーになってからのものは飲んだことがないから、なんとも言えないけれど、良いワインであることは確かだと思う。

ワインを楽しむ形は、いろいろある。こういう世界があってもいいよね。