No. 43 Date:2009-12-24

ナパのカベルネ苦戦

カリフォルニアワインというとナパヴァレーという地名がぱっと頭に浮かぶ人が多いだろう。さらにカリフォルニアのカベルネというとまずナパのカベルネを連 想する。ナパはボルドーと肩を並べる高級カベルネを生産し高い評価を得て、カリフォルニアのワイン産地として世界的な位置を確保した先駆者だ。
今、高級レストランではナパの高級カベルネの売れ行きが芳しくないので、マージンを下げたり、前に安く仕入れた古いヴィンテージをワインリストに載せたりといった工夫をしているという。
そして不況に今も先駆者としての意識は薄れず、ワインの価格を落とさないワイナリーも少なくない。ナパの全てのワイナリーが価格を下げないということでは もちろんない。レストランの苦戦を理解して、いろんな形で価格を落としているワイナリーもある。逆に、この時期に価格を下げず、利益がない期間をしのぎ、 景気が戻ってまた売れるようになるのを待つだけの余裕のあるワイナリーもある。しかしワイン市場が同じ価格をサポートして消費者が買うようになるのかどう か疑問だという声も聞く。
新世界に高級ワインありとその存在を世界に知らしめた先駆者であるナパは、旧世界のボルドーなどのようにヴィンテージや経済状況によって価格を調節するシステムをカリフォルニアに取り入れるリーダーとなるべきだとある関係者は言う。
不景気にもかかわらずナパのワイン生産者は新しいラベルで超高額ワインをリリースしている。1本が100ドル以上の新しいワインが短期間に動くという時代は終わった。
景気が戻っても、価格の調整が必要な状況がワイン市場に定着しするのか、消費者が現在の価格のワインを買うのを控えて他の地区のものを買うようになるのか、それともナパの高級カベルネを再び買うようになるのか、時が教えてくれる。