No. 48 Date:2011-1-15
Lodi Auction
Artisan Master Lodi Wine & Art Auction というイベントの招待状が舞い込んだ。ローダイはセントラル・ヴァレーにある栽培地区のひとつで、一般的にフレンドリー価格の飲みやすいワインが産出されている。
安くて美味しいワインを探しにローダイに出かけてみたいなと思っていたので、この地区について知るいいチャンスと思って出かけた。
ローダイにとって初イベントで、ブラック・タイお勧めと招待状にあった。私はイブニングドレスなど持っていないし、似合わないから、「どうしようかなあ、わざわざこのイベントのために買っても、2度と着る機会がないだろうし、もったいないしなあ」といろいろ考えていた。とにかく黒いドレスにハイヒールで参加することに決定。相棒は「タキシードで行く」という。彼は今までに2度タキシードを着たけれど、私は彼のタキシード姿を見たことがない。それに通常はドレスコード音痴で、カジュアルな装いで平気でどこへでも出かけて行く。だから冗談だと思っていたら、なんと当日、タキシードを着込むではないか!
でもさすがは現地人(相棒のこと)、この日は当たり!地方都市、初のオークションなのだから地元の有志たちがフォーマルな服装でやってくるイベントなのだ。ワイナリーの紳士たちの70%はタキシード、女性は肩と背中丸出しのイブニングドレスで、樽からのサンプルを注いでいるのだった。イブニングドレスの女性たちの後姿(背中)を眺めながら、寒くないのかなあと、おばさん感覚丸出しの私。ひとつの発見。白人女性(参加者の90%が白人)は、かなりの太めの女性でもイブニングドレスがさまになっているということ。肌を出すのだから、がりがりで骨が突き出ているよりふくよかで体の線に凹凸があるほうが素敵なのだ。
ローダイは以下の7つのサブアペラシオンに分けられている。
Mokelumne River
Jahant
Clements
Cosumner River
Alta Mesa
Borden Ranch
Sloughhouse
会場で各地区のジンファンデルを樽から試飲した。明らかな個性の違いはなかったけれど、Mokelumne River が、今のところ、良質のワインを産出しているようだ。
オークションの規模はとっても小さくてすぐに終わった。サイレント・オークションの落札価格を見たとき、もしかしてこれは1ケースの価格?と思ったほどで、3ケースで200ドル前後という値段。買おうかなと思ったのだけれど、相棒に「3ケースもジンファンデルを買って、どうするの?誰が飲むの?」といわれて思いとどまった。このイベントで演奏したStevan Pasero Trioは素晴らしかった。残念ながら会場の参加者の中でこのバンドに関心を払っていたのは私と相棒と他に女性が一人ほどだった。ベサメムーチョを弾き始めたので、ハードロック派の私は「ああ、忍耐がいるなあ!」と思っていたら、誰も聴いてないのがわかったようで、突然この曲をアレンジして素晴らしいビートで演奏するではないか。思わず体でリズムを取るとギターリストはにっと笑って、こちらも素晴らしいベースと楽しそうに切れ味のいい演奏。ミュージシャンというのも大変だよね。
ローダイはジンファンデルで勝負ということのようだ。タリーの良く知られるジンファンデルのひとつはこの地区のDogtown Vineyardのブドウから造られている。
会場のテーブルの隣に座ったのがMichael &David Wineryオーナー/醸造責任者のフィリップご夫妻。栽培農家の5代目。このワイナリーの醸造家(アシスタント)も4代目でマイクとクラスメートとのこと。ローダイは家族が代々農業を受け継いでいる地区なのだ。マイクは「ブドウ栽培農家としての歴史は長いんですよ。ワイン生産の歴史はまだ浅いからこれからです」と話す。この地区の栽培技術はどんどん進んでいる。そして醸造技術が進むのはこれからなのだろう。この地区から、将来、いいワインが出てくるかもしれない。
Michael&David Winery
この地区の大手のワイナリー。栽培農家としてもフロンティアで、650エーカーのブドウ畑を所有。
IncognitoとDeadly Zinfandelで知られている。
二つのわいんとも、濃密でよく熟していて、カジュアルに楽しむワインとして造られている。
M2
樽からの試飲でM2のジンファンデルが印象に残った。軽やかで現代的なジンファンデルだ。新しい小さなワイナリーで、年間生産量は2000ケース。1999年からワインを生産、2006年にワイナリーを建てている。ジンファンデルはローダイから、シラーはシエラ・フットヒルズ、カベルネ・ソーヴィニヨンはナパ・ヴァレーのブドウを使っている。