WoP 24 Seminar 1
えっ、カリフォルニアのグラン・クリュ?
サンタ・バーバラで開催される恒例のWorld of Pinot Noirのセミナーのタイトルの一つです。どんなワイナリー(ブドウ畑)がリストアップされてるのかなと興味津々でセミナーに参加しました。

カリフォルニアの「グラン・ クリュ」と評価されるブドウ畑のワインメーカーが参加してのセミナーでした。毎回お馴染みのマスター ・ソムリエでサンフランシスコ ワイン スクールの創設者であるデビッド・ グランシー氏が指揮するセミナーです。内容は濃くてもジョークを交えてリラックスした雰囲気でセミナーをしてくれるが嬉しいです。

グラン・クリュは、フランスのブルゴーニュとアルザスで生産されるワインの原産地呼称統制 (AOC) の中で、最も高く評価されているワインの格付けです。ブルゴーニュのグラン・クリュという称号は、最も有名なワイン生産地の厳選されたブドウ畑でテロワールと高品質を持っている畑を指しています。毎年安定した評判を維持していることでも知られてます。ブルゴーニュには合計 33 のグラン・ クリュのブドウ畑がありますが、 総生産量は非常に少ないです。

カリフォルニアには、いうまでもなくグラン・クリュのシステムはありません。

あるライターは「エリートブドウ畑」と称しています。エリートブドウ畑には、モノポール (ワイナリーがブドウ畑を所有し、所有ワイナリーのみがその畑からワインを生産している)ケースと、エリートブドウ畑として複数のワイナリーにブドウを販売して、ブドウを買ったワイナリーがワインを生産しているケースがあります。

ブルゴーニュのラベルは、原産地の地区名が目立つように記載されていて、生産者の名前はラベルの下部に配置されており、あまり強調されていません。 例外もあって、(例とえばフェイヴリーのラベル)ラベルが生産者を強調している場合もありますが。 アメリカのラベルは、ワインが生産されたワイナリーの名前が優先されていて、畑や生産地区名はそれほど大きな活字で表記されていません。 アメリカのラベルには品種名、つまりピノ・ノワールと記載されていますが、ブルゴーニュの赤ラベルでは品種名はほとんど記載されていません。

セミナーではサンタ・ マリア・ バレーからロシアン・ リヴァー ・バレー、アンダーソン ・バレーに至るピノ・ ノワールの10のブドウ畑とピノ・ノワール生産ワイナリーが紹介されました。ピノ・ノワールの生産地区として知られるAVA から一つずつ選ばれたピノ・ノワールを南から北へと試飲していったので、各AVAのワインの特色をある程度ですが、知ることができたのが興味深かったです。

WoP Seminar 2

セミナーの途中で参加者の女性が各ワイナリーから参加している醸造家たちは、どういう経過で今の仕事に着いたかを知りたいとリクエストしたことから、各醸造家が今の仕事に至った過去を10人が話したので、畑の特色とか歴史といったことに着いての説明は簡単に話して時間切れとなりました。

WoP 24 Glasses

◆Sta. Rita Hills AVA
サンタ・ リタ・ ヒルズ AVA は、サンタバーバラ・カウンティにあります。大きなサンタ ・イネス・ バレー AVA のサブAVAです。ワイン産地は霧と太平洋からの海岸風にさらされています。海岸沿いの東西に走る渓谷を太平洋からの冷たい海風が通り抜けることから冷涼な気候が作り出されています。 岩の多い土壌と冷涼な気候がピノ ノワール ブドウの栽培に適しています。

Sanford & Benedict Winery
サンフォード & ベネディクト・ ヴィンヤードは、歴史的重要性と、生産される果実の品質で有名です。 1971 年に初めて植えられたブドウ畑には、サンタ・ バーバラ・カウンティで最も古いピノ ノワールのブドウ樹が植えられています。
このブドウ畑は、100万年以上前に、この山の上半分が剥落した結果、砕けた頁岩とカルシウムが豊富な粘土ローム土壌に恵まれています

2019 Pinot Noir Sanford Vineyard, Block 6
サンフォード & ベネディクト・ ヴィンヤードの 2019 ピノ ノワールは、しっかりと熟しているのだけど、冷涼な地区なので過熟味がなく、十分な酸があり、構成とバランスがいい。スパイシーなレッドベリーのフレーバー、滑らかな質感と豊かな余韻。

◆Santa Maria Valley AVA
サンタ・ マリア バレーは、太平洋に向かって漏斗状に開く渓谷です。 ブドウは、およそ標高 90 m の谷底と、標高 243mまでの斜面やなだらかな丘の中腹で栽培されています。

太平洋から濃い朝霧が流れ込み、それが消えるまでに何時間もかかり、午後は冷たい風にかわります。 この海洋周辺の気候が生育期を延長し、糖分と酸のバランスの良いブドウが生まれるのに貢献しています。サンタバーバラ・カウンティのほとんどの地域と同様、サンタ・マリア・バレーの年間降水量は非常に少なくて、潅水が不可欠です。

Bien Nacido Vineyards Estate
1973 年にスティーブン・ミラーとボブ・ ミラー兄弟によって設立され、最初のブドウ畑 (121ha) にピノ ・ノワールとシャルドネ が植えられました。多くのワイナリーがこのブドウ畑から単一ブドウ園名入りのワインを造っています。カリフォルニアで冷涼な気候のシャルドネ、ピノ・ノワール、シラーの最も切望される産地の一つになっています。
2021 Pinot Noir Bien Nacido Vineyards Estate
エステート・ ピノ・ノワールはビエン・ナシドの丘の中腹にある数多くのブロックのブドウを使っています。紅茶、マンダリンの皮、ポプリの香り。 口に含むと、新鮮なチェリー、綿菓子、エキゾチックなスパイス、ふくよかな口当たり、良く熟した果実の甘み。長いフィニッシュ。

◆SLO Coast AVA (San Luis Obispo Coast AVA)
2022年3月に認定された新しいAVAです。サン・ ルイス・ オビスポ・ コースト AVA には約 1619haのブドウ畑があり、その中にはエドナ・ バレー AVA (1982 年設立) とアロヨ・ グランデ・ バレー AVA (1990 年設立) が含まれています。 土壌は若く、多様性があり、複雑です。 痩せていて浅く、水はけがよく、その下には固い岩盤があり、ブドウの木に適度なストレスを与え、濃い色と果実風味を生み出します。

太平洋に近いので、長く涼しい生育期のおかげで、自然の酸味、構造、バランスを維持しながら、豊かな風味を持つブドウが育ちます。海洋性気候は極端な高気温を防ぎ、生育期期間の温度変化を制限するため、暖かい内陸地域に比べて生育期が場合によっては数週間も長くなります。

Talley Vineyards Rosemary’s Vineyard
タリー・ ヴィンヤーズは、SLO コースト地域内に位置するアロヨ・ グランデ ・バレーにあります。 アロヨ・ グランデ ・バレーの先駆的なピノ ノワール生産者として知られており、1982 年に最初のブドウ畑にブドウ樹を植えて1986 年にワインを造りました。

ローズマリーズ・ ヴィンヤードはタリー・ヴィンヤーズが栽培する畑の中で最も涼しい場所にあります。涼しい気候と浅層ローム土壌の独特の組み合わせにより、ローズマリーのピノ ノワールは他の自社畑よりも皮が厚いベリーが育つ傾向にあり、ブドウはゆっくりと熟し、さわやかな酸味を維持します。ローズマリーズ ・ヴィンヤード の 初ヴィンテージは1993 年。

2021 Pinot Noir Talley Vineyards Rosemary’s Vineyard
やや濃い目の色、赤いベリー、スパイス、穏やかな土の香り、優しい口当たり、エレガントでシルキー、長いフィニッシュが印象的。

◆Santa Lucia Highland AVA
サンタ・ ルシア・ ハイランドは、カリフォルニアの中央海岸、モントレー湾の南にあるサンタ ルシア山脈の東向きの段丘にあります。 1992 年にサンタ・ ルシア ・ハイランド AVAとして承認されました。 約2307ha ブドウ畑があり、主にピノ ・ノワールとシャルドネが栽培されています。

スペインの宣教師と征服者が1790 年代に最初のヴィニフェラ ・ブドウをここに植えましたが、その後 2 世紀の間、ブドウ栽培よりも野菜栽培に重点を置いていました。 少数の先駆的な農家グループが、この地域のワイン生産の可能性を発見したのは 1970 年代でした。 その後 20 年にわたり、他の地域のワイン生産者が地元の牧場や農家に加わり、ピソニ家が 1980 年代初頭にワイン生産の波を確立し、モルガン家などの数家族がワイン生産の可能性を発展させ、今日に至っています。

Pisoni Family Vineyard Estate
ピゾーニ・ エステートは、ピゾーニ家によって設立されました。この土地の個性は、ゲイリー ・ピゾーニが 1982 年にブドウの栽培を始めたときに初めて認識されました。

2021 Pinot Noir Pisoni Family Vineyard Estate
カシス、濃いめのラズベリー、スパイシーなオーク、砕石の香り。フルボディ。豊かななタンニン。コクのあるフィニッシュが口に広がる。

◆Santa Cruz Mountains AVA
ブドウ畑やワイナリーは、太陽が降り注ぐ渓谷や山の中、霧の深い海岸線など、変化に富んだ地形のいたるところに存在します。 多くのブドウ畑やワイナリーが人里離れた曲がりくねった道沿いにあり、複雑さと豊かな風味が特徴のワインで知られ、高い評価を受けています。
1981 年にアメリカのブドウ栽培地域として認定されたサンタ・ クルーズ ・マウンテンズ AVA は、山の地形が独特です。 一部のブドウ畑は標高914m以上にあります。

Mount Eden Vineyards Estate
1945 年にサンタ クルーズ山脈の険しい山頂に伝説的な醸造家マーティン・ レイによって開発が始まりました。少量のピノ ・ノワール、シャルドネ、カベルネ ・ソーヴィニヨンに焦点を当てた、カリフォルニアの元祖「ブティック」ワイナリーの 1 つとして知られています。サンフランシスコから約129㎞ 南にあり、シリコン バレーを見下ろす標高 600 mにある歴史ある小さなワイナリーです。不毛なフランシスコ頁岩に植えられたブドウ畑は太平洋から 39㎞離れており、霧の上の涼しくも晴れた気候に恵まれています。低収量のブドウ畑から、半世紀以上にわたって世界クラスのワインを生産してきました。

シャルドネとピノ・ノワールは、フランスのワインメーカー、ポール・マッソンによってカリフォルニアに持ち込まれたクローン・セレクションから繁殖し、北米で最も長いシャルドネとピノ・ノワールの歴史を持つと考えられています。

2019 Pinot Noir Mount Eden Vineyards Estate
複雑で赤い果実の深い香り。森の地面の腐敗したわずかな香りが個性的。滑らかな口当たり。酸味がアクセントの長いフィニッシュ。

◆ Carneros AVA
カーネロス AVA は、ナパ バレーとソノマの一部にまたがるアメリカのブドウ栽培地域です。 カーネロスは、霧とサン パブロ湾から吹き込む風のおかげで気温が比較的低いことで知られています。 ナパ・ヴァレーとソノマ・ヴァレーの両方にまたがるという点で、アメリカのアペラシオンの中でもユニークです。 このAVAのナパの部分が「ロス ・カルネロス」と呼ばれてます。

カーネロスは一連の低くなだらかな丘で構成されています。 土壌は粘土質の土壌に砂質ロームが混じっています。 湾の涼しさの影響と定期的な霧と海風の影響で、比較的涼しい気候のためピノ・ ノワールとシャルドネの栽培に適しています。最近、粘土質の土壌を好み、この地区の温暖な地域から優れたメルローが生産されることで注目を集めています。

カーネロスはナパ・バレーよりも涼しいかもしれませんが、ソノマ・コーストより暖かいため、ピノ・ノワールは比較的熟して、まろやかでリッチで、チェリー・フルーツの風味を持つ傾向があります。

カーネロス AVA は 1983 年にアメリカのブドウ栽培地域として正式に認められました。地理的特徴ではなく気候の特徴によって純粋に定義された最初の AVA となりました。

Hyde Vineyards Estate
カーネロスの中心部に位置するハイド・ ヴィンヤーズは、朝の霧と午後の涼しい風により、日中は暖かく、夜は涼しいため、長い生育期間の恩恵を受けています。 長年にわたる広範な研究と実験を通じて、なだらかな丘陵に合わせて列の方向を慎重に調整しながら、ユニークな品種のクローンを植えてきました。ユニークなテロワールを基に 10 種類以上の異なる品種が植えられています。

2019 Pinot Noir Larry Hyde, Hyde Vineyards Estate,
チェリー、ラズベリー、ドライフラワーの香り。 タンニンは柔らかく、ジューシーな赤い果実の味わい。フルーツの甘みが他に比べると強く感じられた。フィニッシュは十分の酸味があり複雑さを加えている。

◆Petaluma Gap AVA
ペタルマ ・ギャップは、2018 年 に認定されたAVA です。 このAVA 全体がノース・ コースト AVA 内にあり、一部はソノマ ・コースト AVA 内にあります。栽培面積は1,619 ヘクタール、 80 のブドウ畑と 9 つのワイナリーがあります。ペタルマ ・ギャップの特徴は地形と気候です。「ギャップ」は文字通り、海岸沿いの丘の間の隙間から、冷たい風と霧が太平洋から東にペタルマ市を通ってサンパブロ湾に流れ込みます。その地形がソノマ ・コースト AVA とは異なるものにしています。持続的な午後の風によりブドウのサイズが小さく、皮が厚く、ハングタイム(房が樹に付いてる時間?)が長いため、果実内のフレーバー化合物が集中し、より低い糖度で収穫されたブドウでも、ブドウ品種の個性と特徴を決定づける独特のフレーバーと果実味が特徴です。栽培面積の約 75% がピノ・ノワールで、シャルドネが 13%、シラーが 12% 。

Three Sticks Wines, Gap’s Crown Vineyard
Gap’s Crown Vineyardはソノマ ・マウンテンの西面に位置し、ペタルマ・ギャップAVAの中でも評価の高いブドウ畑の 1 つです。 気候、土壌、標高の組み合わせが反映された自然のままのピノ・ ノワールが生みだされます。 このブドウ畑は 2012 年にスリー ・スティックス ・ファミリーの一員となりました。

2021 Pinot Noir Three Sticks Wines, Gap’s Crown Vineyard
ブルーベリー、ブラック・チェリーの香り、ブラック・チェリーのコンポート、ココアパウダーなどの濃縮された風味。 酸と豊かなタンニンのフィニッシュ。これまで試飲してきたピノ・ノワールに比べて、やや粗い印象。機会があったらもう一度再確認のために飲んでみたいです。

◆Russian River Valley AVA
ロシアン・ リヴァー・ バレーは 1983 年に AVA として認定されています。 AVA の一部は太平洋から 16 キロメートル未満に位置しており、ペタルマ・ ギャップを通って海から入り込み、日中に燃え尽きる冷たい朝霧が特徴です。 霧による冷却の影響により、日中の気温の変動が大きく、夜間の気温は日中の最高気温から約 20℃も低下する日もあります 。 AVA の中央部と西部は冷涼な地域で、ピノ ・ノワールとシャルドネが広範囲に植えられています。

US 101号線 の近くに位置し、ロシアン ・リバー・ バレー AVA のサブ AVAであるチョーク・ ヒル AVA を含む 東部は、海から遠いので、やや暖かく、冷たい霧は少なく、風も穏やかです。ロシアン・ リヴァー・ バレー AVA の中で最も温暖な地域であり、ジンファンデル、 メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブランが栽培されています。

Merry Edwards Winery, Meredith Estate
1996 年、メリーはセバストポル市境の南西にある放棄された9.7haのリンゴ園を購入し、 2年後、ピノ・ノワールに植え替えました。 メレディス・ エステートのブドウ畑は、地元ではセバストポル・ ヒルズとして知られる地域にあります。 ロシアン・ リバー・ バレーの南端は涼しく、夏は通常、正午まで霧が地域を覆っています。

2021 Pinot Noir Merry Edwards Winery, Meredith Estate
色が濃く、黒砂糖、トーストしたナッツ、ビングチェリー、杉の香り。味わいが口の中に広がり、パワフル。 シルキーなタンニン、ブラックチェリー、ダークチョコレート、土の香りが続くフィニッシュ。他の畑よりも低い糖度で摘んだと醸造家。冷涼な地区とはいっても、かなりマイルドなのか、造り手の意図なのか、他とは異なるスタイルのピノ・ノワール。

◆Sonoma Coast AVA
ソノマ コースト AVA は、米国カリフォルニア州ソノマ・カウンティにあるブドウ栽培地域で、その大部分が太平洋の海岸線に沿っていて 2,000 km2以上の広大な面積があります。 2011年12月にAVAとして承認されました。このアペラシオンは、ソノマ・ カウンティの他の地区に比べて涼しい気候と降水量が多いことで知られています。 この地区は非常に広範囲にわたる微気候を持っているため、米国財務省アルコール・タバコ税・貿易局に対してフォート・ロス・シービューAVA (Fort Ross-Seaview AVA )のサブAVAの設立を請願し承認されています。

2012 年に設立されたフォート・ ロスー ・シービュー AVA は、ソノマ コースト AVA の中心部に位置しています。 太平洋に最も近いアペラシオンの 1 つ、狭い渓谷と山岳地形によって特徴付けられています。ブドウ樹が霧の線を越える海抜約 274m-366mの急な尾根に植えられています。 ここでのブドウ栽培には困難がありますが、海岸沿いの条件と多様な土壌は、優れたシャルドネとピノ・ノワールを生み出します。

Red Car Wine Estate
レッド・ カー ・ワイン・エステート・ ヴィンヤードは、標高 305mを超える高地にあり、フォート・ ロス - シービュー AVA の北西の角にある尾根の頂上、霧の層の上に位置しています。海に近いため気温が下がり、開花期には雨や霧の影響を受けやすく、収量が非常に低く抑えられます。険しい人里離れたブドウ畑から、約 5 km 離れた太平洋を一望できます。数百万年前に巨大なプレート活動によって形成された深く風化した砂岩土壌があり、水はけがよく、自然にブドウの樹勢が制限されています。

2021 Pinot Noir, Red Car Wine Estate
カリフォルニアの海岸線の端にある AVA から生まれるピノ・ノワールは独特のエレガントなワインとして知られています。 ラズベリー、ブラックベリー、チェリー、ベーキングスパイスと土のヒント。 味わいはジューシーでシルキー。まろやかな酸とこなれたタンニンの長いフィニッシュ。もう少しワインの核がほしい。

◆Anderson Valley AVA
アンダーソン バレー AVA は、メンドシノ・カウンティのアンダーソン・ バレーを中心としたアメリカブドウ栽培地域です。 主にピノ・ノワールとスパークリング・ワインの生産で知られています。 太平洋から 16 ~ 24 km の距離にある AVA は、日中の気温の変動が 22 ~ 28 °C と大きいです。 位置によっては暖かく、このヴァレーの全体が涼しいということではありません。
Walt Wines, Savoy Vineyard

カリフォルニアのピノ・ ノワール ブームの初期、 1991 年にリチャード・ サヴォイによって植えられたこのブドウ畑は、アンダーソン・ バレーがカリフォルニア有数のピノ・ ノワール産地の 1 つとして名声を高める上で重要な役割を果たしました。 サヴォイ・ヴィンヤードから生まれるワインの特徴は、「フィネス」であると、28年間にわたってサヴォイ・ヴィンヤードのワインを生産してきたリトライの創設者テッド・レモン氏は語っています。

ところがカリフォルニアの貴重なピノ・ノワールのブドウ畑のひとつが所有者を変えることになりました。2023年6月にソノマのドナム・エステートがサボイ・ヴィンヤードを買収しました。リトライ、ラディオ・コトー、ピー、ウィリアムズ・セリエムといったカルト・ピノ生産者がこの畑のブドウから秀逸なピノ・ノワールを造っていました。

2017 Pinot Noir Walt Wines, Savoy Vineyard
熟したチェリーとブラック・プラム。軽やかで赤系フルーツ、ピノ・ノワールらしいベリーのフィニッシュ。ヴィンテージが2017年のせいもあって、口当たりがソフト。

2017年はクレイグ・ホールがWalt Winesを所有していました。ホール・ワインやウォルト・ワインを含む家族経営のブランドのコレクションのオーナーです。

短時間でのセミナーでしたが南から北へとワインを試飲出来て興味深かったです。南のワインのほうが冷涼な地区のピノ・ノワールをイメージさせてくれました。涼しいと思っていたペタルマ・ギャップとかアンダーソン・ヴァレーのピノ・ノワールはやや温暖な地区のブドウから造られたピノ・ノワールでした。ロシアン・リヴァー・ヴァレーとカーネロスは昔は涼しい地区とされていましたが、今はやや温暖な地区とされています。

どのような基準で、以上のブドウ畑をカリフォルニアのグラン・クリュとして選んだのか聞くことができませんでした。でもどのワインも良いワインでした。
「カリフォルニアにグラン・クリュのシステム(法律)ができると思いますか?」という講師の質問に、「法律が作られることは、まずないだろう」という大半の人の答えでした。

各AVAを辿っての試飲は、私にとって良い復習となりました。