Martin Tasting old town

ドイツのニュルンベルグに住むワイン商マーティン(会社の名前はK&U)が、7月23、24(土、日)に2019年以来、恒例の大試飲会を開催。
K&Uは今年で40周年を迎えました。
試飲会はレイが参加するようになってから、今年で33回目です。
若きワイン商マーティンとレイが出会ったのは33年前。以来、レイは毎年、この試飲会にやってきてカリフォルニアワインのブースでワインを注いできました。
 
高温度、高湿度にもかかわらず、2000人がやってきました。初日のオープン時に、にわか雨が、それもかなり激しく降ってきたのですが、傘をさしてない人も平然として並んでました。この辺りの気候パターンでは珍しくないのでしょう。
ちなみにこの試飲会会場は大きな倉庫です。隣にアンティークの車が展示されてるのも興味深いです。
入り口の受付でワイン購買用紙をもらって、試飲した後にオーダーを入れます。会場でオーダーした場合は10%引きとのこと。
個人が開く試飲会としてはドイツで一番大きいそうです。

K&Uはネット販売でお客さんは個人だけというビジネス形態です。オンラインで注文が入って、ワインを送るか、お客さんが会社に受け取りに来ます。彼のワインのセレクションを見てレストランがマーティンに連絡してくるということも珍しくありません。ワインセレクションは中価格帯が多いのが特徴です。
マーティンの顧客だったクリストフがマーティンの会社に入って、サイトを充実させて、コンピュータでのオンラインのシステムを見事に組み立てたのも、ビジネス成功の大きな理由の一つです。

Martin tasting christof

マーティンが輸入している200社のワイナリーのうち、今年は招待された74社が参加。レイはカリフォルニアのブースを担当。K&Uはレイがアルゼンチンで造っている「アデランテADERANTE(マルベック)を輸入しているので、レイはADERANTEも注いでいました。
マーティンはオーボン・クリマのジムとも長い付き合いで、ジムが亡くなる数日前にズームで話したそうです。カリフォルニアのブースにやってきてお客さんと話すときにはジムが最初に作ったというキャップをかぶっていました。
K&Uが扱っているワインは中価格帯のワインが大半なのですが、カリフォルニアのワインはやや高めです。今年の試飲会で注がれたカリフォルニアワインのセレクションは、Laurel Glen, Cathy Corison, Philip Togny, Au Bon Climatでした。それに加えて、アルゼンチンからAdelanteを試飲会に出してました。AdelanteはK&Uのビジネスの中心である中価格帯に16ユーロとぴったりで、売り切れました。他にも高額なカリフォルニアワインを輸入していますが、例えばスポッツウッドは出されていません。クリストフによると割り当て数はすでに顧客が付いていているので、試飲会には出せないとのことでした。
 
Martin tasting whole view

参加地区
輸入しているワイナリーが200社ですから、ヨーロッパのワイン生産地区をほぼカバーしています。今回参加しているワイナリーの中でも、勉強不足の私は聞いたこともない地区のワイナリーが参加してました。
例えばフランス。定番のボルドー(Bordeaux),シャンパーニュ( Champagne),ブルゴーニュ( Burgundy),ラングドック(Languedoc), ロワール(Loir), プロヴァンス(Provence), サヴォア(Savoir), 南ローヌ(South Rhone), フランス南西部(Southwest France)に加えて, ビュジェ(Bugey,サヴォアの西)、セベンヌ( Cevennes,南フランスの山脈地帯)、コルシカ島( Corsica)にあるワイナリーが参加してました。各地区から一つのワイナリーという地区もありましたが、同地区に数社が参加している地区も多かったです。
イタリアも例外にもれず定番生産地区、ベネト(Veneto), エミリアロマーニャ(Emilia Romagna), ロンバルディア (Lombardia),ピエモンテ( Piemont), トスカーナ( Toscana), カンパーニア(Campania)の他に、アプリア(Apulia イタリア語ではPugliaともいう。アドリア海沿岸に沿った地区で南東に位置していてワイン生産と食用ぶどうの産地)、フランチャコルタ( Franciacorta), 南チロル(South-Tirol)といった地区のワイナリーが参加してました。
スペインは6地区、勉強不足の私が知っている地区、リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)、トロ(Toro)に加えて、バスク(Basque)、バホ・アラゴン(Bajo Aragon)、ナバラ(Navarra 原産地呼称地域),ペネデス(Penedes原産地呼称地域)といった地区が含まれてました。
ドイツは地元ですから、6地区から22社が参加。今年はハンガリーのワイナリーも初参加。

ほとんどのワインは現地を訪れて試飲して彼とスタッフが納得するワインを輸入しています。イタリア語とフランンス語、英語がベラベラなので、言葉の壁がなく現地訪問が楽にできますね。

参加者は若者からワインを飲み慣れた熟年層まで幅広い年齢層が参加してました。参加者のワインへの向かい方がとてもオープンです。Adelanteのブースにも多くのお客さんが来て熱心に質問してました。

試飲会の翌日に一緒に食事する時間がないので、せめてコーヒーだけでもというので、クリストフがオススメのカフェで美味しいカプチーノ(ドイツのコーヒーのレベルがすごく上がってる)を飲んだのですが、その時に、なんと勢いで2500ユーロもオーダーしてしまったお客さんがいて、驚いてクリストフに電話してきたと笑ってました。

Nartin tasting Martin

マーティンは60歳になりました。長女が会社に入ってくれて、後継者ができて嬉しそうです。
お城の塀の下にある古い町のレストランで参加ワイナリーが一堂に集まって慰労会。
「エミ、僕の会社は大きくなったよ」と私の隣に陣取ったマーティン。
「僕はワインを買うようにとはセミナーとかでは一切言わないんだ。文化と歴史の話を熱く語ることにしてる。すると自然にみんな納得してワインを買うんだよ」
今や、彼の容貌はワイン商というよりプロフェッサーみたいです。会場のあちこちで彼を囲んで話す人たちが多くて、マーティンは忙しそうでした。

ぺーファーから酵母の話、教会で飲むワインの話と情熱いっぱいに話が続きます。
彼の饒舌が続く中で「プロテスタントとカトリックが聖餐に使うワインは違う」と力説。
「どう違うの?」
「カトリックは熟したボディのあるワインを使うし、プロテスタントは酸がきいた引き締まったタイプのワインを使うんだ。なぜって?カトリックはうまい食べ物とワインで人生を楽しもうよ、プロテスタントはハードワークと辛抱が大切と教えてるからさ」
本当かなあ?
今回会って気がついたのはお腹がぽこんと出っ張ってることです(笑)

彼が輸入しているワインはワイナリーを訪問して試飲して決めるので、
「僕は今お腹がポッコリ出ちゃってる。ワイナリーで出してくれる料理を食べないわけにいかないからね。僕は2つの体重があるんだ。ワイナリー訪問時期の体重と家にいる時の体重とね。家にいる時は散歩もするし、自分で料理して食べるから体重がもとに戻るんだよ」とのこと。
カリフォルニアワインも悪くない。
暑さと湿度で(例年より暑いそうです)汗がにじみ出る会場では、酸味のあるスッキリしたワインを飲みたいと思うのがよく理解できました。それで二日目、私なりにいろんなワインを(ペースは落ちてましたが)試飲して、最後に、カリフォルニアワインを飲んだら、どんな風に感じるかなと思って、試飲してみました。
意外なことに、「重いな」とか「果実風味がありすぎるな」という感じがしませんでした。 重いと感じさせるワインは扱っていないということなのでしょう。特にADELANTEは温度を適度に下げて注いでいることも加わって、こってりさがないタイプのワインだと感じました。

次回に私もまた行けるとしたら、今まで聞いたこともなかった地区のワインを試飲してみようと、今から楽しみにしてます。マーティンとはカリフォルニアとドイツで何度も会って、ワインについてもよく話し合ってたのでよく知ってると思ってたのですが、今更ながら、彼の凄さを感じた次第。ドイツのあちこちで講演を頼まれたり書いたりしているというのも納得です。
「ヨーロッパのワイン商はベルギーのマークも加えて、みんないろんな地区のワインを探して扱ってるよ。でもマーティンが扱っているワインはそれを超えてるかもしれない。カタログを見て、今更、気がついたの?」とレイに笑われました。

様々な国の醸造家と交流するのは2019年ぶりです。お互いにアクセントのある英語でお国事情や食べ物のことなんかをあれこれ話しできて嬉しかったです。

Martin tasting Ray booth

レイはこの試飲会にこの先何年参加できるのかわかりませんが、体力の続く限り参加するでしょう。
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