ソノマの暮らしブログ

カリフォルニア州ソノマに住んで25年。第二の故郷と決めた美しいワインカントリーで、ワインを追いかけて暮らしています。

センチメンタル・ジャーニー その2



東京で1日だけセミナーとワインメーカーディナーをして、京都へ向かいました。今回の旅の予定を立てているときに、京都での宿泊はホテルがいいかそれとも旅館にしようかと話し合ったら、みんなが旅館がいいというのです。それも古いほうがいいと。私は天井が低くて暗くて湿っぽいお部屋、お手洗いも共同という旅館は苦手なので、やんわりと反対したのですが、多数派に押されて、旅館に泊まることになりました。知人が教えてくださった祇園にある本当に伝統的な旅館力彌に泊まりました。

「京都片泊まりの宿「旅館力彌(りきや)」は、石畳の続く「ねねの道」の道沿いにあります。道の東側には秀吉の正室、北政所(ねね)ゆかりの寺、高台寺が建ち、二階南の客室からは八坂の塔が見えるという、最高の立地条件に建っています。

ノール・ワイナリーの若者は、古い旅館はロマンチックだと感じて、旅館と強く主張したのだろうけれど、実際に、歴史的な旅館に泊まった感想は「これからはホテルがいい」と本音。

祇園の高台寺のすぐそばで、料亭がひっそりと並んでいて、京都の雰囲気を堪能できる美しい地区でした。それに坂本龍馬のお墓もすぐそこにあったので、ロケーションは最高。由緒ある古い旅館に泊まるということも私にとってはいい体験でした。

1日はグループで宇治、平等院、月桂冠を訪れました。あいにくの台風到来で、傘の骨は折れるし、多くの店が早めに閉店とついてなかったです。

翌日は、まさにセンチメンタルジャーニー。スポッツウッドのベスとジョンは16年前、子供もいなくて、超元気だったころ、ノールのダグ&リンとジャシュと相棒とで京都へ行き、(私は娘の学校があるので、京都はパスしてカリフォルニアへ帰りました)雪が降る中を歩いたり、古い旅館に泊まって、隣の銭湯へ行ったりしたそうで、その旅館をもう一度見たいというので、旅館探しに出かけました。その旅館も銭湯もまだあったそうで、全員ご機嫌。

私は一人で京都を堪能したかったので、独立行動。京都駅の近くにある庭園、崇拝する親鸞聖人が祭られている東本願寺、私のヒーローの一人、坂本龍馬が暗殺されかかった寺田屋、そしてお墓に行きました。

ちょうど歎異抄を読み終えていたこともあって、実在した人物が祭られているお寺にいるという実感が、なんだか不思議でした。坂本竜馬はドラマなどで、良く知られる人物ですが、歴史上、大きな役割を果たした人物のお墓は思ったよりも質素でした。日本の歴史、京都の歴史の長さを当たり前なんだけれど、新たに感じた京都。(続く)


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センチメンタル・ジャーニー その1

16年前、日本では無名だったカレラ、スポッツウッド、ローレル・グレン、ノールのワイナリーが一緒に日本を訪れました。カレラはいまや、押しも押されぬ有名ワイナリー、スポッツウッドはなかなか手に入らない高級カベルネ生産ワイナリー、ローレル・グレンは地味ながらファンを持つワイナリーになり、そして売却されて、相棒は醸造責任者を辞退、ノールはカリフォルニアの典型的なジンファンデルとちょっと一味違う持ち味をわかってくれる人たちが存在するワイナリーにと、それぞれがその存在感を示すワイナリーへと成長しました。

数ワイナリーが一緒に旅をすると、ライバル意識とか、いろいろあって、表面上は仲良く旅を終えてもそれっきりというのがほとんど。ところがこのグループは最初からすっかり意気投合して、毎年、持ち回りで1年に一度は会って会食を続けてきました。

今回はなんと16年ぶりに「同じグループで日本を再訪問しようよ」という合言葉を実現させて、忙しいスケジュールを調節しあってついに日本最訪問。今回のメンバーは当時11歳だった娘は仕事が忙しくて来られず、代わりにスポッツウッドの12歳と10歳の息子、そしてノールは創立者ではなくて、長男、それに相棒と私、カレラのジャシュ。ユニークな旅となりました。

まずは松島に全員が集合。1年と数ヶ月がたった地震と津波の被災地を全員で訪れました。相棒は半年ほど前にすでに一人で訪問、その当時、回収が遅れていた死体の臭いが記憶に残っているといってました。その当時よりは復興作業が進んでいるけれども、なぜかしら、そのまま放置されている地区もあるというのでその土地も含めて訪れました。津波に飲み込まれて、大きな家の形骸だけが残っている広い住宅地、テレビで世界中に放映された病院と山済みの車、、。体が震えてきました。

訪れても、私たちに出来ることがあるのか、、、。でも訪れてよかったと思っています。


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美容室も公共の場?

あちこち走り回って雑用を処理して、美容院にたどり着きました。まだきりきりしている私にアンドリアが「深呼吸をして、スローダウン。ここでリラックスしてください」とにっこり。

目をつぶって、ようやくほっとしていました。と、突然、隣の席からべらべらとしゃべる男性の声がして、あたりの静かな雰囲気が一変。どうしたのかと思ったら、おじいさんとおばあさん、妻と夫である声の主、それに3歳くらいの女の子の一団が5歳(くらいに見えた)の男の子のヘアカットに家族でやってきたのでした。静かにこの男の子のヘアカットを見入っているのなら、ほほえましいのですが、他愛もないことをこの男性が小さくはない声でたえまなく話すのです。イヤでも聞こえてくる彼の言葉から、男の子の誕生日であること、ヘアカットの後にランチに行くことがわかりました。

アンドレアがアシスタントの女性に音楽のヴォリュームをちょっと上げてといいました。

家族のむつまじさはすてきだけれど、静かに髪を切ってもらっている他のお客さんにとっては、うーんというところ。

美容室は公共の場だから、他の人が味わっている平穏さを壊すのは、ルール違反だよなあ、いろんな家族がいるものだなあ、父親か母親が一人ついていて、あとの家族はカフェかどこかで待っているってことにはならないのかしら、、、、と、ぼんやり考えていました。鏡に映っている私の顔にふと目がいきました。リラックスした顔じゃなくて、なにやら真剣に考え込んでいる風に見える表情に苦笑。

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