Josh memorial tanks
11月6日に「ジョシュ・ジェンセンを偲ぶ会」がカレラワイナリーで行われました。カリフォルニアでは(アメリカの他の州ではどうなのかわかりませんが)葬儀はすぐに行われますが、偲ぶ会は数か月後に多くの方を招いて行われるようです。ジョシュは6月に亡くなりました。

当日、何度も訪れたカレラ・ワイナリーへ向かって、人里離れた曲がりくねった道を登っていく車の中で、「こんな山の中によくも一人でワイナリーを作ったもんだ}と改めて感じました。

Josh memorial hill

長女のシルヴィーがワイナリー設立の初めのころは、ワイナリーがある丘の下にあったトレーラーで育ったと話してました。おまけにカレラのブドウ畑(標高670-762M)は、さらに車で20分ほど登ったガヴィラン山のほぼ頂上なのです。

「もし失敗してたら、なんという愚か者と言われてただろうね。成功したので天才と言われてる」とジョシュが笑ってたのを思い出しました。

会場であるワイナリーの前庭に、大きなテントの中にテーブルと椅子が設置されてました。幸いにも温暖な天気だっだので、私はテントに入らずに外に設置されているベンチで広大な景色を眺めながらランチを楽しみました。

Josh memorial office

この会には1000人ほどの人が出席してました。ワイナリー関係の人よりもむしろ子供時代からの友人など、彼が親しくしていた人たちが多く出席していました。ジョシュらしい質素で、カジュアルで温かい会でした。

現在、ダックホーンがカレラ・ワイナリーを所有していますが、カレラ・ワイナリーの醸造責任者マイク・ウォーラー(Mike Waller)が仕切って偲ぶ会が開かれました。

息子のダガンがスピーチを始めたので、その場所へ行ったのですが、一瞬、ジョシュが立ってるか思いました。背が高くて長い脚がハッとするほど似ているのです。もうこの世にはいないジョシュを思って、悲しかったです。

長女のシルヴィーは1855年に書かれたアメリカの詩人、ウオルト・ウイットマンの詩集から、ジョシュにぴったりの詩を朗読しました。あまりにもジョシュにぴったり当てはまる詩で、涙ぐんで読むシルヴィーに涙ぐむ出席者もいました。出席者の中から小学生の頃からの友達のスピーチ、20年以上前に一緒に日本へ行った4ワイナリー(毎年、年に数回集まってます)の仲良しグループを代表して、スポッツウッドのベスが愉快な思い出を皆さんの前で話しました。

マイクがこの会のためにオープンしたワインがすごかったです。全て3リットルかマグナムです。ざっと挙げてみます。

Jensen: 1983, 2000,2006
Mills: 1989, 1992, 1998
Zinfandel: 1975
Reed: 1981, 1986, 1887
Selleck: 1992, 2000, 2004, 2014

Josh memorial old bottlles

ワインを飲みながら眼下に広がる広大な景色を眺めていたら、ふとジョシュがそばにいるように感じました。

スポッツウッドのベスは「セレモニーで話してる時に、そっと誰かが背中を支えてくれてる感じがして、思わず振り返ったわ。ジョシュが来てくれたんだと思う」と話してました。
「父親の魂はここにある」と息子のダガンも言ってましたが、カレラ・ワイナリーに半生をかけたのですから、ジョシュの魂がここにあるのは自然ですよね。

会が終わって、出席された方たちが、去り始めたころに、醸造責任者のマイクとなんと30年ぶりに偲ぶ会に出席するためにカレラを訪れた、初代の醸造責任者スティーヴ・ドナー(Steve Doner)と、長い間、畑とセラーで働いている男性(名前忘れてしまいました)がワインライブラリーに行くから来ないかと誘ってくださったので、ご一緒させてもらいました。

スティーヴ・ドナー(Steve Doner)が造った初ヴィンテージは1978年ですが、すでに醸造熟成過程で必要最低限しか手をかけないミニマリストとして、カレラのワインのスタイルをジョシュとともに作り上げました。以後14年間、カレラでワイン造りをしていましたが、1992年からオレゴンのCristom Vineyardsで醸造責任者を務めて、最近退職したとのことです。

スティーヴが造った1982年のッシェニン・ブラン、1979年のセレック、1982年のマタロをオープンしようぜというので、私もお相伴にあずかりました。スティーヴとマイクは、最近では珍しいワインの仕込み作業で手が紫色に染まってガサガサなのを勲章にしてるタイプの昔ながらの醸造家で懐かしかったです。それにユーモアが加わって楽しいひと時でした。

Josh memorial old bottlles

メモを取らずに気の向くままにワインを楽しんだので、各ワインについての記憶があまりないのですが、硬さがほぐれてしなやかな2006年のJensenとまろやかな2000年の Selleckが美味しかったです。

カレラ・ワイナリーと言えばジョシュ・ジェンセンという鮮明なイメージがありますが、これからも彼の魂が入ったカレラ・ワイナリーがジョシュの伝説とともに維持されることを祈るばかりです。幸いにもジョシュにとても近かった醸造責任者のマイクが、ジョシュのワインの伝統を守るという固い決意を持っているので、ダックホーンがマイケルを意思をしっかりとサポートしてくれることを祈っています。