2011年ワイナリーの売却買収
世界が不況の中で、カリフォルニアのワイナリーの買収,売却が多く起こったのが特徴的。
売り手の動機
続く不況の中で将来への継続計画がないワイナリーの場合、近い将来、経済状態がよくなるという見通しが持てず疲労がたまってきた。その例としてSeghesio Family VineyardsがCrimson Wine Groupに8600万ドルで売ったケースがあげられる。
大手のワイン社、Diageoや Constellationは核ではないワイナリーを手放している。Diageoの場合、Canoe Ridge, Sagelands, Edna Valley, Moon Mountain を売却。Brown-Foemanが Fetzerを売却。
買い手の動機
売り手市場から買い手市場へと転換。これ以上マーケットが悪化するということはないだろうという予測から、躊躇することなくワイナリー買収の結論を出したといえる。
大手のワイン社が不況の中で(チリのワイナリーがConcha y Toro がFetzerを買い取ったのを例外として)、買い控えている中でVintage Wine Estate、 Boisset Family Estate、 Foley Family Wines、 Huneeus Vintnerssといったワイン社は、買い手市場だとばかりに、ワイナリーを買収し、ブランドやワイナリーのポートフォリオを築き上げた。
Vintage Wine EstateはCartlidge & Brown Winery とConsentino Wineryを買収。
The Vincraft Groupはプレミアムワイナリーとして知られる Gary Farrel Wineryを買収。
また2011年はインターナショナル飲料関係の会社と海外の投資家がアメリカワイン産業に対する投資が多くなった年でもある。
Goldin Financial Holdings(中国の投資家)が Sloam Estate買い取った。中国の投資家が1億ドルという額でアメリカのワイナリーを買収したのは、これが初ケースということで話題になった。
また日本のLion Nathanがソノマ・カウンティの MacRostie,を、フランスのBoisset Family Estateはソノマの歴史的なワイナリー、 Buena Vista Wineryを買収。
アルゼンチンの裕福な投資家がシエラ・ネヴァダフットヒルズのジンファンデル生産ワイナリーRenwood Winery 買収している。
2012年半ばまで、経営不振のワイナリーを探して買う、あるいは強いブランドを戦略的に買うという傾向が続くと予測している。
(Zepponi & Company の記事の抜粋です)
ちなみにJean-Charles Boisset(Boisset Family Estateの社長)とGina Gallo(Julio Galloの孫)が2009年に結婚。5月に双子の女の子が誕生。このカップルが2008年に亡くなったロバート・モンダヴィ氏の豪邸(スタグスリープ地区の小高い丘の上にある)を買収。2500万ドルで売りに出されていたのを、いくらで買い取ったかは不明。Boissetはブルゴーニューを拠点にしたフランスでも大型のワイン社。Galloはカリフォルニアの大型のワイナリー。