コロナウイルス外出禁止令が緩和されたので、ワイナリーに行ってきました。カリフォルニアは2週間前にレストランやワイナリーのテイスティングルームのオープンが許可になりました。
とはいっても、外出禁止令が緩和されて、2週間たったら、カリフォルニアのコロナウイルス感染者が急増。
アメリカ全体の感染者も劇的に増えて、世界第一。偉大なアメリカを目指すトランプ大統領の宣言も虚しく、感染者数で世界一、ブラジルやロシアと競っています。何とも言えない気持ちです。
ソノマも例外ではなく今までにないくらいに感染者が急増して、このまま増え続けると、レストランやワイナリーのテイスティングルームが再閉鎖される可能性があると報道されています(溜息)。
小さなワイナリー、特にテイスティングルームが主な収入のワイナリーは大変だと思います。
私は3カ月以上、ほぼ家に閉じこもっていました。外出禁止令が緩和になったけれど、コロナウイルスが絶滅したわけではないので、弱者(65歳以上で喘息気味)のカテゴリーに入る私は、今まで通りに外出を控えることと強く言われています。
それでも少し気持ちが前向きになって、地元のワイナリーのテイスティングルームを訪れてみようかという気持ちが膨らんできました。
ソノマもナパもほぼ全てのワイナリーは予約が必要です。以前のようにぶらりとテイスティングに立ち寄るということは、今は、できません。
オープンに際していろんな規則があるので、どんなふうに規則に従ってるのかなと興味もありました。
行ってみたのは我が家から車で20分ほどのところにある、きれいなワイナリー「シャトー・セント・ジーン」。決めた理由は景色や庭がきれいなこと、広い芝生とアメリカ杉に囲まれた庭にピクニックエリアがあるので、感染度が低いだろうということからです。
室内は感染率が高いといわれているので、室内でテイスティングをするワイナリーはまだ敬遠中。
シャトー・セント・ジーンのサイトをチェックしたら、テイスティング(1時間が限定、一人$40と$60と$230のコース)とピクニック(1時間半が限定、一人$40)のチョイスがありました。
テイスティングはテラスか室内で、ピクニックは広々とした庭でとなっていました。テラスは隣の席が2メートル離れていても、ちょっと不安なのでスキップ。ピクニックならピクニックテーブルの間隔が2メートル以上離れているはずだし、風が吹くとウイルスも飛んでいくだろうと思ってピクニックを選びました。
予約したのは土曜日の午後1時。週末なので混んでいたら、すぐに出ればいいというバックアップの案も考えました。
週末にこのワイナリーを訪れるのは、サンフランシスコなどソノマ以外に住んでる人たちが主です。
ソノマの町も同じことが言えます。週末になると、多くの感染者が出ている地区からたくさんの人がソノマを訪れるのです。それも多くの人がマスク着用なしです。ソノマの中心地であるプラザのビジネスはツーリストです。でも3カ月も家にこもって感染率を抑えてきたソノマの住民としては複雑な気持ちです。
レストランもワイナリーのテイスティングルームもオープンするためにはいろいろと厳しい規則があります。
メニューの再利用はだめ、サーバーはマスクをしていること、場所によっては手袋も必要、テーブルの間隔は2メートル以上離れていること、お客さんが出た後は徹底的に消毒すること等々、受け入れ態勢を整えるのに大変だったと思います。
レストランの場合、2メートル離れてテーブルをセッティングするということは、おそらくテーブル数が半分になるだろうと思います。それでもビジネスが成り立つのかしらと、心配です。
お客さんのほうも席に案内されて、料理が届けられるまでマスクをしていることが義務付けられています。
予約時間の5分ほど前にワイナリーに着きました。駐車場にかなりの車が駐車されているのを見て、混んでるかもと不安。混んでいたらすぐに帰ればいいと心の中で繰り返しました。
門の前にデスクがあってマスクをした受付係が座ってました。予約の内容を説明して名前を言ったら、ゲストリストをチェックして、大きなテイスティングルームに行って到着を告げるようにということでした。
シャトー・セント・ジーンは以前に数回訪れたことがあるので、懐かしさを感じながら、中庭を通ってテイスティングルームへ向かいました。それにしても、いつも本当に庭の手入れが行き届いてきれいです。入口から2メートルごとに印がついているので、印の上に立って順番を待ちました。それほど待つことなく私の番が番になりました。ここでも全員がマスク着用。
「マイクがあなたのテーブルの担当です。今迎えにやってきますから少しお待ちください」
マスクをした50代くらいのちょっとぷっくりしたフレンドリーな男性がピクニックバスケットとワインを抱えてやってきました。サイトで予約するときに25ドルのスパークリングワインのロゼをオーダーしておきました。
イメージとしては広いブドウ畑を見渡す芝生にパラソルが置いてある場所でのピクニックだったのですが、マイクが案内してくれたのはアメリカ杉の根元のピクニックテーブルでした。あたりを見回したら、5メートルは離れていると思われるピクニックテーブルが3か所にあって、一か所だけ4人のグループの楽しそうな笑い声が聞こえます。隣のテーブルはあいてました。ブドウ畑は木の間から見えるだけで、ちょっとがっかりしたのですが、気温が上がってきたので日陰でよかったです。心地良い風が吹いています。
バスケットを開けてみました。チキンサンドイッチを作る材料として、フォッカシオ、グリルしたチキンのスライス、サンドイッチ用にカットしてあるレタスにスライスしたトマト、マヨネーズ、マスタード、エッグサラダ、グリーンサラダ、ポテトチップス、青リンゴ、チョコレートチップクッキー、ボトルウオーター、ハンドサニタイザー、再利用可能なワイングラス(カップ?)が入ってました。
早速ロゼで乾杯。ほろりと甘くて娘とのピクニックにはピッタリ。
久しぶりのワイナリー、そして本格的な外出。解放感と幸せ気分。このワイナリーは手ごろな価格で値ごろ感のあるワインを多く生産しているワイナリーなのですが、旗印のワインとしてはシンク・セパージュが知られています。解放感で気が大きくなっていたらしく、シンク・セパージュとシラーを衝動買い(苦笑)。
反省したのはオーダーを取りに来てくれたマイクと話をしてる時にマスクをしてなかったこと。バックにしまってあるマスクをバックを開けて取り出そうかなと一瞬思ったのですが、その時間が長くて、逆に彼が私たちに接する時間が長引いてしまうかもという考えが頭をかすめて、結局マスク着用なしでワインを受け取りました。すぐにマスク着用できる位置にマスクを置いておくべきでした。
お客さんにサービスするをする人たちは無症状感染者の人たちもいるので、命がけですよね。
変える支度をしたらちょうど1時間半がたっていました。
シャトー・セント・ジーン歴史と説明
ソノマ・ヴァレーのケンウッドという地区にあるシャトー・セント・ジーンの歴史は1916年にミシガン州の鉱山で富を得た人物が300エーカーという広大な土地を買ってシャトーを思わせる瀟洒なサマーハウス(現在リザーヴワインのテイスティングルームとして使われている)を建てたところから始まります。1970年に食用ブドウ栽培家が買収して本格的にワイン用ブドウを栽培、1973年にワイナリーを建てています。
1980年代の日本のバブル経済時期にサントリーが買収して、地元では大きな話題になりました。時期は覚えていませんが、売却しています。
現在は新たなテイスティングルームを建てて、数多くの品種のワインを生産する中規模の中でも生産量が多いワイナリーとして成功しています。私は主に中価格帯で値ごろ感のあるワインを生産するワイナリーととらえていますが、Cinq Cepage はこのワイナリーの高級ワインの代表するワインとして知られています。文字通りボルドー品種の5品種をブレンドしたものです。
帰途、門へ向かって歩く中庭で、ガクアジサイが目に留まりました。私はアジサイが大好きです。我が家にも少しだけアジサイを植えてますが、ワイナリーのは白いガクアジサイで、それに葉が白と緑。どこで手に入れなのかしらと、ちょっぴりジェラシイ(笑)。
本当に癒されました。
コロナウイルス感染を心配しないで、楽しいひと時を過ごせるようになるのは、いつになるのでしょうね。ワクチンが開発されるまで待つことになるのでしょう。