Wine & Food Pairing

Date:2006-10-26

ソノマ・ヴァレーで見つけた! ワインと食べ物のペアリング

隣 の町、サンタ・ローザに行くときに12号線のケンウッド村にあるMAYOというワイナリーのテイスティングルームの看板に「フッド&ワインのテイ スティングをしています」と書いあるのが、いつも目に入っていた。いつか時間があるときに行ってみようと見るたびに思っていて、なかなか行く機会がなかっ た。 たまたま娘が帰ってきていて珍しく何も予定を入れてないようだったから一緒に行ってみた。 ケンウッド・ヴァレーはシャトー・セントジーン、カンディ、ケンウッド・ワイナリー、ランド・マーク、セント・フランシス、ブラックストーンというワイナ リーがある。ナパ・ヴァレーとの境界線になるマヤカマス・マウンテンをバックグランドに丘陵地もブドウ畑で埋まっている美しいヴァレーだ。

Mayo Family Winery
マヨ・ワイナリーはこの村にテイスティングルームを開いているだけで、ワイナリーはこの地区にはないし、ジンファンデルが手ごろな値段で美味しいというのを除いて、あんまり期待していなかった。 ところが嬉しい驚きで、食べ物とワインの組み合わせが本格的なのだ。
料 理はどこかから買ってきて出すのではなくて、ビリー・オリバーというシェフがここで作っている。このシェフはここへ来る前はクロ・ペガスのシェフだったと いう。1品が1口、2口ほどの量だけど、6つのワインに合わせて6皿が出る。今までだと例えば魚介類、パスタ、鶏肉料理といったタイプの料理に合いますよ という提案だったのが、もう一歩進めて、具体的な料理を出して舌で感じてもらおうというもの。カジュアルに楽しくワインと食べ物の組み合わせを体験でき る。それでいて気取りがなくわかりやすい。
コンセプトはワインと食べ物のコントラスト(対比)とコンプリメント(補足しあう?)だった。 コントラストはワインと食べ物のエレメントが対比的なもので、ワインの良さを引き立てる。 コ ンプリメントはワインと食べ物が似た味わいと口当たりをもっていて、ワインと食べ物がお互いに引き立てあう相乗効果をもっている。このプログラムの担当 者、ブライアンがワインと料理の説明をしてくれる。カウンターに立ってではなくて、テーブルを囲んで椅子に座って落ち着いてワインと料理の組み合わせを楽 しめるのが嬉しい。

1. 2005年ソーヴィニヨン・ブラン($25)と小粒のホタテの組合わせ
(コ ントラスト) 樽 で熟成していないソーヴィニヨン・ブランなのだけどソーヴィニヨン・ブランの特色であるグラッシーな香りは感じられない。スクアッシュとハーブのアイオリ (ソース)が効果的に使われていて、ワインだけだとシャープすぎた酸がフレッシュでフルーティなワインに変化。ワインを美味しく感じさせる上手な組み合わ せ。
この組み合わせが今日のベストだった。

2. 005年シャルドネ($40)とロブスターとクレソンのサラダ
(コ ンプリメント) 香りは控えめ。辛口。リッチな口当たりのロブスターとマヨネーズとパインナッツがバタリー(マロラクティック発酵から生まれた風味)な味わいとよくマッチ している。リッチな風味同士が相乗効果を出していて、シャルドネだけで飲むよりリッチなワインと感じる。

3. 2005年ピノ・ノワール($35)とアーモンドをまぶしたゴートチーズとイチジクとイタリアハム
(コンプリメント) ベリーの香りが少し。凝縮度は少なく、酸味が少しシャープだけど優しいピノ・ノワール。
イタリアハムの塩味、ゴートチーズの酸味、イチジクの甘味、バルサミコ酢をピノ・ノワールが持っている味のエレメントとマッチさせている。

4. 2004年シラー($35)とブドウジュースで茹でた豚のひき肉のルーラードとハックルベリーのジャム
(コ ンプリメント) ちょっ とオークが強すぎるけれど、口当たりがソフトで程よい酸味の長いフィニッシュ。シラーブドウの葉のペストソースの上に乗せられ、ルーラードの上にはジャ ム。 シラーの土っぽい味わいを弱め、プラムの味わいを強調する組合わせという説明だった。
私にはワインの味は良くならなかったけれど、食べ物がもっと美味 しく感じられた。

5. 2004年カベルネ・ソーヴィニヨン($65)とシャントレ・マッシュルームのタマリにチリソースのアクセント
(コントラスト) カシスと少しの生ハーブ。カベルネ・ソーヴィニヨン100%。シャープな酸味の長いフィニッシュ。
マッシュルームの土っぽさとチリのスパイシーさがワインのフルーティさを引き立てて、ワインのフルーツの甘味が、ワインだけで飲んだときよりもずっと美味しく感じられた。

6. 2004年カベルネ・フラン($35)とコーヒーでマリネしたラムのパイにフェネルとローズマリーソース、ザクロとピーカンナッツのコンポート添え
(コ ンプリメント&コントラスト) 香 りは控えめ。カベルネ・フラン100%。黒系フルーツに少しの生ハーブ香と潮っぽい味。ちょっとオーク味が強めだけれど楽しく飲めるカベルネ・フラン。ラ ムの野性っぽい味とフェネルとローズマリーの青味とワインのコントラストがワインのフルーティさを、ザクロのコンポートがワインのベリー味を強調という説 明。
私にはぱりぱりのパイ皮がタンニンをまろやかにしていると感じた。

7. 2005年ゲヴュルトラミーナー、レイト・ハーベスト($30)ハーフサイズとリンゴとスイートポテトのパイ
(コ ントラスト) ゲ ヴュルツトラミナーのきれいな香り。私に甘いデザートだったけど、レイトハーベストの甘さに合わせているのだろうと思った。そうでないとせっかくのデザー トワインがすっぱく感じられてしまうから。でも説明によるとスイートポテトはそれほど甘くなく、リンゴは酸が感じられる。フルーツウをつないでいるフィリ ングはシトラスの風味とナツメグで、軽やかで甘くフルーティなデザートとそれほど甘くないパイのコントラストなのだという。私はデザートはデザートワイン だけで楽しむのがいいと思っている。

マヨ・ワイナリーの醸造責任者はミッシェル・ヘンリー・バーソウドだ。彼はアローウッドの醸造家だった人で、彼の両親は我が家の近所に住んでい る。両親のブドウ畑のブドウからBerthoud というラベルでワインを出している。 マヨのワインはワインだけだとそれほど印象が強くないのだが、料理と一緒に楽しむと飽きずに飲み続けられる。シェフの腕に感謝。 ワインと料理で一人25ドル。予約をしたほうがいい。707-833-5504 

最近、料理とワインのぺリングができるテイスティングルームをソノマ・カウンテイの北にある町、ヒールズバーグにも開いた。

St. Francis Wnery
翌 日、同じケンウッド村にあるセント・フランシス・ワイナリーのワインと食べ物のペアリングに行ってみた。こちらはテイスティングルームとは別の天井の高い 広々としたクラシックの曲が流れる部屋に案内され、カウンターに料理とワインが並べられて、立って試飲と試食をする。

1. 2004年シャルドネ ベヘラー・ルザーヴ、ソノマ・ヴァレー($26)とスライスしたドライバナナにニンジンとシラントロのピュレーをのせた物。
バタリーでトロピカルフルーツの味わいと香りがあって、口当たりはオイリー。多くのアメリカ人が好むスタイルのシャルドネ。ワインの甘味が抑制されて大人の味になるので、シャルドネを飽きずに飲み続けることができた。

2. 2002年アンサム メリタージュ、ソノマ・ヴァレー($55)とイチジクのコンポートとゴルゴンゾラチーズをのせたカナッペ
マ ルベックが56%、プティ・ヴェルドが7%、カベルネ・フランが7%、カベルネ・ソーヴィニヨンが6%のボルドーブレンド。 一番多く使われている品種がマルベックというところがユニーク。 黒系フルーツ、カシス、ジャミー、土っぽい、少しの生ハーブの個性的な香り。いい感じの骨格。ジャミーなフルーツの甘味をスパイスと程よい酸味でバランス を とっている。酸がまだ少しシャープ。イチジクの甘味とチーズの塩味がワインの味の要素とよくマッチして、食べ物もワインも両方を美味しくしている。相乗効 果抜群の組み合わせ。

3. シラー、ナン・キャニヨン、ソノマ・ヴァレー($35)と野生のイノシシのひき肉入りのエンパナダ
ジャミー、野生の肉、スパイス、チェリー、シラー香。 香りから想像した甘さがなく意外。酸がシャープ。涼しい地区のシラー。ボディは少し薄め。フィニッシュにコショウ。エンパナダがワインのフィニッシュを美味しくしている。

4. 2003年ジンファンデル、パガニ・ヴィンヤード リザーヴ、ソノマ・ヴァレー($45)
アメリカンオークの新樽の香り、ブラックべりー、コショー、リコリス。ぎんぎんのアメリカンオークと過熟ブドウがミックスしたこのタイプのジンファンデルがたまらないという人もいると思う。一つの個性になっているからだ。


私たちが最後のお客だったので、料理は出てこなかった。でもワインだけで十分に楽しめる。 ワインと料理で一人20ドル。予約番号は800-543-7713

ワイナリー巡りをして、ワインだけをテイスティングするのとはちょっと違った楽しみ方ができる。
きちんと料理してある食べ物とワインのマッチングを気軽に試すことができるのが嬉しい。
ナパのような誇大な宣伝や豪華さ(料金も高い)広告に引かれてツーリストが集まってくるところではないので、特に平日だとゆっ くりしている。こういう体験がソノマ・ヴァレーでできるのでちょっと感激。ソノマ・カウンティの新しいトレンドになってきているようだ。