No.57-1 2つの小さなワイナリー


2つの小さなワイナリー

久しぶりにWomen for Winesense という女性で組織されている団体のナパ・ソノマ支部のイベントに出席。場所はナパ市内にあるBack Room Winesというワインショップ。この組織を創立した女性二人、Julie Johnson とMichaela Rodenoが所有する2つの小さなワイナリーのテイスティングだった。

Women for Winesenseという組織は女性がもっとワインについての発言権を持つべきというので、始められたもの。21年を過ぎて全米に支部を持つ組織に発展、方向性が多少変化するのは当然。ワイン業界で働く女性もずいぶんと多くなって、現在はワイン教育、業界内でのネットワークが活動の主な内容になっている。

ジュリーとミシェルに久しぶりに再会。お互いに、昔の面影が残っていて、懐かしい!ってハグ。ジュリーはFrog’s LeapのJohn Williamsと一緒にワイナリーを設立。後に離婚、今は再婚されてJulie Johnson。 Tres Saboresというワイナリー兼農園を所有しワインを造り続けている。St. SuperyのCEOだったミシェルは今は自分の小さなワイナリーVilla Ragazziを家族で経営。

Tres Sabores

ジュリーのワイナリーはルサフォードのセントヘレナに近いところの西側にある。ブドウのほかにオリーブ、メイヤー・レモン、ザクロなどを栽培。自社畑にはジンファンデル、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・シラー、プティ・ヴェルドを栽培。ワイン造りだけではなくて、ブドウと果樹の栽培も、楽しんでいる様子。ブドウはオーガニック栽培として認定されている。

ざくろを漬け込んだバルサミックのドレッシング(Pomegranate Infused Golden Balsamic Vinegar)も作っている。このテイスティングにサラダを持参して振舞ってくれた。ざくろの香りがふっとする素敵なドレッシングだった。

2011 Rose Napa Vally $18

ロゼ、すっきりした酸がいい。

2010 Chardonnay $20

樽がきき過ぎていなくて、こちらも酸味がきれい。

2009 Por Que No? $20

英語では Why not try itという意味で、日本語だと「試してみない理由はない」って感じかな。ジンファンデル(40%)カベルネ・ソーヴィニヨン(29%)、プティ・シラー(29%)プティ・ヴェルド(2%)というユニークなブレンド。なかなかいい。価格も手ごろ。ハンバーガー、ピッツア、トマトベースのソースを使ったパスタで楽しめそう。

2009 Petite Sirah $42

プティ・シラーは素晴らしい。価格も42ドルと決して安くはないけれど、価格分の中身はあるなと感じた。ナパ・ヴァレーは高品質のプティ・シラーが造られている。またひとつ素晴らしいプティシラーにナパで出会った。

Villa Ragazzi

Michaela Rodenoの家族で経営。たった一つのワイン、サンジョヴェーゼを造っている。この小さなワイナリーのブドウ畑はちょっとした歴史があって興味深い。1985年にナパ・ヴァレーでは初のサンジョヴェーゼを石ころの多い丘陵地に植えている。でも1998年にフィロキセラの害のために植え替えをした。10年後にようやくワイン生産に必要なだけのブドウが収穫できた。そして2009年のサンジョヴェーゼを2011年の秋にリリース。

もし本当にいいものを造ろうとしたら、良質なブドウが栽培可能な丘陵地、しかもナパ・ヴァレーに買って、どの品種を植えるか、どんな風にワインを造るかといったことは、この土地と栽培醸造を熟知しているコンサルタントに依頼するのが堅実。彼女の場合は多くの優秀なコンサルタントの友人がいるのだろうけれども、こういう小さな夢でも資金がないと難しいよね。でも家族で素敵なワインを造るっていうのは、いいね。今は息子さんがこのワインを造っている。

2009 Sangiovese Rodeno Vineyards, Napa Velley $36

赤系のベリー、スパイスがアクセント。上品でフルーティで、フィニッシュの美味しい酸が印象的。空気に触れるとだんだんとふくよかさが出てくる。料理に合う楽しいワイン。生産量は75ケース。チーズ、グリルしたソーセージなどで楽しめそう。