Kesner
新しいスタイルのワインを造っている醸造家に出会った。小さなワイナリーで年間生産量が1100ケースと少ないので、日本で手に入れるのは難しいかもしれないけれど、紹介したいと思う。
バランスが良く、構成がしっかりしていて,味のエレメントがひとつだけ突き出ているということがなく、エレガント。数年前まで主流だったスタイルに比べるとアルコール度も低く、素敵なワイン。
醸造家の名前はJason Kesner (ジェイソン・ケスナー)
2000年から2008年までカーネロス地区にある有名なブドウ畑、Hudson Vineyards(ハドソン・ヴィンヤード)の栽培を担当していた。心をこめて育てたブドウがトップワイナリーへ運ばれて行くのを複雑な気持ちで見送っていたけれど、2002年、自分の名前でワインを造ることを決心。1樽分のシャルドネを圧搾。
翌年は3樽のシャルドネを造った。以来、彼のシャルドネはフレンチランドリーなど、高級レストランのワインリストに載っている。
価格は60-65ドルと決して安くはないけれど、ものすごく高くもない。
2008年からKistler Vineyards(キスラー・ヴィンヤード)のアシスタント醸造家をしながら、自分のラベルで自分が信じるワインを出している。
哲学はブドウ畑が一番重要。だから畑に多く時間を使っている。セラーでの役割は観察者という。
今のところ自社畑は少なく、ほれ込んだブドウ畑のブドウからワインを生産。シャルドネとピノ・ノワールが主なワイン。でも樹齢のいったブドウ畑に出会うと、そのワインも造るらしい。樹齢88年のグレナッシュを見つけたと熱っぽく話していた。我が家の近くの知人が所有している畑のブドウからも秀逸なシャルドネを造っている。
2010年は天候不順でなかなかカリフォルニアらしい気温にならずに夏が終わってしまった。カリフォルニアのワインを造るには糖度が十分に上がっていないことを心配して、彼より数週間後に摘んだワイナリーが多かった。カリフォルニアのクラシックな糖度というと、25,26,27度ブリックスで摘むのだけれど、ジェイソンは23度ブリックスで摘んだ。2010年が良いワインになって嬉しいとにっこり。
100点を取るスタイルのワインを造るのが目的ではなくて、畑が与えてくれる個性を生かしたベストのワインを造ることと、明確。
3つのシャルドネの共通点は:
ミネラル分、しっかりした構成。口当たりが滑らか、パワフルな自然の酸の長いフィニッシュ。自然酵母で発酵、自然の酸(加酸はしていない)。どのシャルドネも新樽の使用率は20-3-%と低い。長めにシュールリーをしている。
2009年シャルドネ Rock Reak Sonoma Coast
2009 年シャルドネ San Drift Sonoma Coast
◎2009 年シャルドネAlder Springs Vineyard
2つのピノ・ノワールの共通点は:
どちらもまだ若々しく、将来性を感じさせてくれる。バランスが良く、エレガント。構成もしっかりしている。2009年は畑名が入っていないけれど、同じブドウ畑とのこと。スモモ、ザクロ、スパイス(アメリカ杉の森の地面)。自然の酸。フリーランジュースのみから造っている。新樽使用率は30%以下。長いフィニッシュ。2010年のほうがややフルーティ(レッド・ラズベリー、ブルーベリー)。
2009年 ピノ・ノワール Sonoma Coast
2010年ピノ・ノワール Vadim’s Watch Sonoma Coast
*カメラが壊れて、ジェイソンの写真を載せることができず、残念!カメラが直ったら載せますね。