Benziger Family winery 写真レポート
先日、久しぶりにベンジガー・ファミリー・ワイナリーへ行ってきた。丘陵地を埋めているブドウ畑は相変わらず手入れが行き届いてきれい。
自ら栽培作業を手がける社長のマイケルは、こんがりと日に焼けて、体は引き締まり、健康そう。トラムを運転して畑を案内してくださった。説明してくれるときのパッションは相変わらず。彼の信じている世界へと吸い込まれていく。
ダイナミックス栽培のコンセプトのひとつ、ブドウ樹だけではなくさまざまな植物を栽培して、植物同士が共に棲息する自然環境を作る。モグラなどの小動物を食べてくれるオウムや鷹が泊まれる(?)ボックスも設置してある。
野菜畑、果物の木もある。ここで栽培された野菜は前に書きましたが、マイクのお嬢さんとそのご主人がオープンしたレストランGlen Ellen Starに送り込んでいる。
大切なブドウ畑の傾斜地の中に益虫を誘う(招待する?)植物を植えた一画がある、かなり広い。ここもブドウ畑にしたらブドウの収穫量が上がる、、、なんて考えてたら、バイオダイナミック栽培は出来ない。野菜畑と果物を植えているそばには2-3種類のススキ風の植物が植えられていた。秋っぽくて、日本を思い出した。
ブドウ樹の片方にだけ網がかかっていたので、てっきり鳥害防止だと思って「なぜ、片面だけ?」と聞いたら、これは西日がさしてブドウが焼けてしまうのを防ぐためなのだという。そして網をかけなかったときの焼けてしまったブドウを示してくれた。日が当たらない側は網をかぶせていない。
ブドウ樹の根が栄養分を吸収するために土中に深く伸びていけるようにするのが、健康なブドウ樹を育てるのに重要。土を掘って土質を示してある箇所へ連れて行ってくださった。根が約2m下へ伸びていけるような土質にするのがゴール。その下はこの箇所では岩盤だという。
マイクの心意気にすっかりはまってしまったためだけではないと思う。ワインはふくよかで口当たりが優しい。そして良質だ。まずくてもバイオダイナミックだからといってワインを飲む時代は終わっている。どんな栽培方法であれ、ワインは美味しくなくてはいけない。理論や哲学でワインを飲むのではないのだから。
ベンジガーのワインは現代の消費者のテストをパスしたと私は思う。
畑を訪れて、きれいな空気を吸って、穏やかな自然の営みを感じるだけで、私も健康になったような気持ちにさせてもらった。