No.56-2 Shafer solar

     

Shafer solar

7月初旬、太陽光発電(ソーラー発電)で100%機能している数少ないワイナリー、シェーファーを訪問。昨日までの38度ほどの高い気温が嘘のように、今朝は燦燦と輝く太陽のもと、ひんやりした風が吹いていた。なんと気持ちの良い天候だこと。東南アジアの湿度80%という湿度の高い国から帰ってきたばかりの身には、涼しい風が肌寒く感じられるほど。この気持ちのいい天候がブドウにとっても気持ちがいい?のは当たり前、、、。幸せな気候の中で育ったブドウが幸せを人々に伝えるワインになるんだわさ、、なんて、ちょっと詩的?な気分。

シェーファーはご存知のとおり、ナパ・ヴァレーのスタグス・リープ地区にあって、同ワイナリーのシグネチャーワイン、「ヒルサイド・セレクト」は世界的に有名なカベルネ・ソーヴィニヨン。

ブドウ畑で埋められたなだらかな丘の合間にあるワイナリーは、「リゾートホテルかな?」なんて思わせる華やかさはなくて、「ワインを造ってます」という雰囲気を漂わせながら、さりげなく洗練されている。

ワイナリーの経営方針も堅実派。長期展望に基づく経営方針を持っていて、サステイナブルによるブドウ栽培、廃水利用、ソーラーシステムと環境保護もきっちりとそのプランに入っている。

ナパには私が知る限り100%ソーラー発電で電源をまかなっているワイナリーはシェーファーとロング・メドー・ランチの二つというので、興味しんしんでお話を伺に出かけた。フログス・リープは95%、ソーラー発電を使っている大半のワイナリーは使用量の30-50%をソーラー発電でまかなっている。

屋根と丘に並んでいるというか、貼り付けられているパネルをすぐそばまで行って、この目で確かめることが出来て、満足。

太陽光発電というと、発電所みたいな建物が敷地内にあって、パネルで作られた電気をそこに収集してるのかな、なんて、ど素人のイメージだったのだけれど、実際はカリフォルニアの電気とガスの大半を供給しているPG&Eという会社に送っているので、実際に見たのは、パネルだけ。

このシステムは系統連係と呼ばれて、太陽光発電システムを電力会社の送電網につなげる形態で、電化された地域で使われている接続形態なんだそうです。発電量が設置場所での利用量を上回る分は電力会社に買い取ってもらう。逆に、利用量が発電量を上回るときは、系統側からの電力供給で補うということになってるとのこと。

シェーファーでは最初のパネルを2004年11月に設置して12月から使用し始めた。784のパネルを2つの屋根の上(セラーと樽熟成庫)に、それから丘の土の上に設置。カリフォルニアの12月は雨季なので、曇りの日が多いのだけれど、それでもかなりの発電量が得られた。1時間に最高129キロワットの電気(電量?)を発電。20-30の平均的家庭に供給するのに十分な量なのだそうだ。平均的な家だと、1ヶ月に1000キロワットの電量を使うという。PG&Eからのワイナリーへの電力供給はわずか15ワットだった。これは平均的否家庭の12時間分ほどに当たるという。

敷地全部をソーラー発電100%でまかなうのには、これだけのパネルでは不十分。ほぼ毎日太陽が照りつける4月から10月までの間に、もう少し多くの発電量を得ることが必要と判断。それで2008年に丘の土の上とポンプ室の屋根の上にさらにパネルを設置。発電量は100キロワット。

セラーとホスピタリティルーム、樽熟成庫(エアコン)だと、最初に設置したパネルで十分。でもイリゲーション(人工貯水湖からポンプで水を畑に送り込むのに電気が必要)、それから廃水処理の人工湖もポンプが必要なので電気を使うからだ。

これで100%の電気をワイナリーでまかなえるようになった。

パネルの太陽光線から電気への変換効率はたったの18%。まだまだ改善の余地あり。せめて効率が40%ほどにならないと、パネルを設置する敷地がない、屋根がたくさんない?所では無理だよね。ちなみに、ナパ・ヴァレーにある老舗のワイナリー、ファー・ニエンテは貯水湖の上に浮かぶパネル(水上式太陽光発電システム)を設置したという。

経費は98万ドル、その半分はガス会社が負担(クリーンな空気にするためにの政策として州政府がサポートしているのだろう)。ワイナリーでは8-10年で元が取れるとのこと。25年間保証されている。

実際に使ってみたら、ブドウ畑の作業からたくさんの土埃が飛んで、パネルに覆いかぶさって、さらに効率が落ちることに気がついた。年に4回は水で土埃を洗い落とす作業が必要だという。それ以外は特別のメインテナンスは必要ないとの事。

春、夏、初秋にかけて、ワイナリーだけでは使い切きれない電気を発電して、電気供給社に送電する。1年間の総発電量をワイナリーが1年で使い切れなかった場合、余った電量は、そのまま供給者が保有。シェーファーに余った電量の支払いはなし。もし、PG&Eに送った総発電量がシェーファーが使用した電気量より少なかった場合には、その差額をシャエーファーが払うというシステム。電気供給社にとって得なシステムだね。

2005年にソーラー発電で得た電気で瓶詰め機を起動して、シャルドネの瓶詰めをしたとのことで、シャルドネの写真をパチリ。

シェーファーのサステイナブルによるブドウ栽培は、ほとんどオーガニック栽培に近い。でも、なぜオーガニック栽培といわないのか、オーガニック栽培の認定を得ないのか。シェーファーらしい堅実な方針に基づく納得の行く理由をもっている。これはまたの機会に報告させてもらいます。

ソーラー発電の日本語の専門用語がわからないので、不可思議な言葉を使っているかもしれません。ご了承ください。意図がわかってくだされば嬉しいです。