2021年アメリカワイン市場のホットなトレンド

2021年アメリカワイン市場のホットなトレンド

前記事は2020年を振り返る内容でしたが、今回はしっかりと予測しています。

Dr. Liz Thach MW のトレンド予測です。

便宜性、健康、環境保護意識の向上を考慮に入れて、Nielsen, SOVOS, bw166, Brager, Wine&Vine Analytics のセールスデータをもとに2021年の米国ワイントレンドを考察したものです。

*当たってるかな?

ソーヴィニヨン・ブランが伸びる

すでに2019年にソーヴィニヨン・ブランの人気が向上しはじめており、売上高は25%増でした。アメリカのワイン消費者はニュージーランドのクリスピーでグラッシーなスタイルを好むと同時にカリフォルニアのフルーティなスタイルも人気があります。このトレンドは2921年も続くでしょう。

缶ワインと利便性が重要

アメリカではアウトドアの活動が人気向上中で、より便利さを望むようになり、缶ワイン、テトラ・パック、プラスチック容器に入ったワインの消費が多くなるでしょう。2020年は缶ワインはドル成長で61%増(Nielsen)となり、缶の供給チェーンで缶不足が生じたほどです。ハーフサイズのボトル、ラージサイズのボックスワインも人気を集めており、さらに375MLのワインは価値成長が53%、3Lボックスワインは価値成長で31%に達しています(Nielsen)。この分野のパッキングデザイナーは新しくて魅力的なボックスワイン、缶ワイン、テトラ・パック、プラスチック容器を提供するでしょう。

フレーバーワインカテゴリーが爆発的に売れる

便宜性を求めるトレンドと新プロダクトを求めるトレンドが組み合わさって、例えば、すぐ飲める( ready-to-drink)RTD カテゴリーとして、ワインカクテル、スプリッツァー(ワインをソーダで割った冷たい飲み物)、ワインセルツァー、クロス・プロダクト(例えばアガベワイン)といったクリエイティブな商品が提供されています。2021年に、このカテゴリーはさらに成長するだろうと予測されます。

低アルコール、ノーアルコールワインの台頭と透明性要求

グローバルなトレンドである健康とウエルネスが、他の国より多少遅れてアメリカのワイン市場に新カテゴリーとして登場。コロナウイルス感染のための外出禁止中にワインの消費量が上昇した中で、低アルコールあるいはノーアルコール飲料を選ぶことに焦点を当てた消費者も出てきています。2019年に比べると、2020年はノーアルコールのビール、ワイン、スピリッツがドル成長で37%(Nielsen)と報告されています。大手のワイン会社はこのトレンドに反応して、低アルコール、低カロリーのワインの新商品を紹介しています。2020年後半から2021年前半にマーケットに登場しています。このカテゴリーは消費者がワイン産業に透明性を求めていて、カロリー、アルコール度数、炭水化物,糖分、食品添加物、サステイナブル/オーガニックをラベルに表記を要求していることから、注目したいカテゴリーです。スーパーではこのカテゴリーを「Better for You Wines (あなたにとってより良いワイン?)と呼んでいます。

*アメリカらしい極端な消費者の要求だと私は思いますが、、、。外出を控えている現状ではスーパーマーケットに確認に行けないのが残念です。

プレミアム化と価格設定のスイートスポット

最悪の経済状態と多くの失業者が出ているにもかかわらず、オフプレミス(小売り販売?)ではプレミアム化が続いています。2020年は$11―$25プラスの価格帯ではドルとヴォリューム(量)が共に20%伸びています。$20-$24.99の価格帯は価値成長が29%、ヴォリュームでは28%増えています(Nielsen)。専門家はアメリカの消費者は外出禁止令中は飲食店(高いマークアップで支払うことになれている)でワインを飲む機会がなかったため、ワインリーテイルショップから高めのワインを買って、自分をもてなすことに決めたものと推測しています。この現象はアメリカ各州がワクチン接種を促進している期間、少なくても2021年前半まで、オンラインのワインセールを含めて、オフプレミスでのプレミアム化は引き続き続くと予測されます。

オンラインワイン販売ブームは今後も続く

コロナウイルス・パンデミックの状況下で光明を見出すとしたら、アメリカのネットによるワイン売上げの急騰が明るいニュースでしょう。2019年はネットによるワインの売り上げはわずかなもので、アメリカのワイン市場の5%を占める程度でした。今までネットでワインを購入したことがなかったワイン消費者はパンデミックのために家にいることを強制されて、ネットでワインを買うことを試し始めました。その結果、ネットによるドルでの売り高が198%と急上昇。ネットでのワイン購入で肯定的な経験をした消費者はネットでのワイン購入を継続するだろうと予測されます。2021年はオンラインマーケットがワイナリーにとってもワインショップにとっても重要な販売チャンネルになるでしょう。

カベルネ、レッド・ブレンド、ピノの人気継続

アメリカのワイン消費者は赤ワイン(46%)を白ワイン(44%)より多少多く飲んでいます。カベルネ・ソーヴィニヨン、レッド・ブレンド、ピノ・ノワールの人気が2021年も続くでしょう。購入の70%はアメリカ産のワインが占めています。輸入赤ワインのトップ3はイタリア、フランス、ポルトガルです。

ロゼ人気は続く

ロゼはアメリカワイン市場の主要商品になっています。様々なスタイルのロゼが飲まれていますが、プロヴァンスのロゼが好まれています。このカテゴリーはヴォリュームでもヴァリュー(価値)でも2020年は倍に伸びています。2021年にこのトレンドがゆっくりになる兆候は見られません。

スパークリングワイン&飲食業界はパーティの準備をせよ

2020年はスパークリングワインの売り上げはマイナス4.2%でした。パンデミック状況下で、祝杯する機会が少なかったためです。しかしコロナウイルスのコントロールが可能になったときにアメリカの消費者は祝杯をする気持ちが向上するでしょう。専門家はアメリカではまるで世界第二次大戦が終わった時のようにあちこちでパーティが開かれるだろうと予測しています。バーやレストランは忙しくなるでしょう。ワインセールは向上するでしょう。中でもスパークリングワインは年末にどのセールスチャンネルでも急騰するでしょう。

*このことを実感したのはヴァレンタインデーの週末です。いかに多くの人がレストランや家庭で祝うことを強く望んでいるかを実感しました。我が家でヴァレンタインデーのディナーを3時ころにオーダーをしたのですが、いつもはテイクアウトもサービスしているレストランが(アウトドアでのサービスは許可されている)お客さんへのサービスが忙しくてテイクアウトの用意をする時間がないというレストランが数件。ヴァレンタインデー用のディナーをでコースでオーダーできるレストランは売り切れが数件。地元の新聞によると週末はレストランはどこも満席だったとのことです。制限はあっても室内とアウトドアでのダイニングが許可されたら、ソノマの町は一挙に「待ってました!」と多くの人がツーリストも含めてレストランやバー、プラザに大勢集まることが実感できます。

一日も早くにそういう日が来ることを祈るばかりです。