ノース・コーストのワイナリー買収は続く

 

ノース・コーストのワイナリー買収は続く

ワイン・インダストリー・フィナンシャル・シンポジウムの報告記事の一部です。

最近大手のワイン社によるプレミアムワイン生産ワイナリーの買収が目をひいていますが、この傾向はここ数年続く見通しです。

ノースコーストのワイナリーは小売価格14ドル以上のワインの売り上げが2011年から2015年にかけて27%上昇。 

Jackson Family Wines

2016年にソノマカウンティのヒールズバーグにあるField Stone WineryCopain Wines を、オレゴン州のウイラメッテヴァレーにある良質ピノ・ノワールを生産するPenner-Ash Wine Cellars3ワイナリーを買収。買収価格が500万ドルから3000万ドルのワイナリーに焦点を当てているとのことで、これで買収完了ではないようです。

E&J Gallo Winery

2015年にAsti Winery (275エーカーのブドウ畑を含む)とSouverain のブランドをTreasure Wine Estate から,J Vineyards&Winery(9000万ドルで買収という噂)を買収。

ガロ家の後継者たちの継続的なビジネスの成功を計画して長期にわたる展望に基づいて買い物?をしているのだそう。

Ste. Michelle Wine Estate (ワシントン州)がPatz & Hall wineryを買収して話題になりましたが、不況の後に景気が戻りブドウ畑の価格が劇的に上昇。ワイナリーのオーナーは定年年齢が近づく中で、成功を引くついでくれるバイヤーを探し始めていた。そして2016年の4月にこの買収につながった。憶測では4500万ドルで買収されたと言われている。

ノーストコーストのワイン業界は世代交代が始まっている。1960年代、1970年代、1980年代初期にワイナリービジネスに参入した実業家たちは家族がワイナリーを引き継ぐという考えを持っていなかった。その世代が、今、高額でワイナリーを買うバイヤーを探している。

もう一つの理由はプレミアムワインマーケットが急激に伸びたことから、大手のワイン社にとってはプレミアムワイナリー買収が魅力。

その例として私の地元、ソノマヴァレーのBenziger Family Winery(バイオダイナミック栽培を含むグリーンファーミングで知られている)をThe Wine Groupが買収したケースがある。The Wine Groupは低価格帯のワイン生産ワイナリーのポートフォリオを持つことで知られている。

大手のワイン社が所有するワイナリーのプレミアム化の必要性が迫られていることから生じた買収ドラマだ。

こういった状況が今後もワイナリー買収につながっていくのでしょう。大手ワイン社が多くのワイナリーを所有するという仕組みは業界にとって健康ではない。大手ワイン社のマーケット操作につながっていくからだ。個性的で独立したプレミアム生産ワイナリーが減っていくのは悲しい。

買収の話を聞くと、「どんだけ買えばいいんだ」なんて一人で毒づいてます。