No.41 美味しいワインを探して (その4)

No. 41   Date:2009-08-08

ノー・オーク・シャルドネ
カリフォルニアで白ワインというとシャルドネというほど、シャルドネは圧倒的な人気を誇っている。その人気に少し陰りが出たとはいえ、いまだに良く飲まれる白ワインはシャルドネだ。
20年間に渡って愛されたカリフォルニアのシャルドネはビッグでフルーティ、オーキー(オークの味と香りがたっぷり)、バタリー(バターのような香り)と味わいというタイプが主流を占めていた。食前酒、バーとかパーティでワインだけを飲むのにぴったり。でも料理と合わせるとなると、あまり幅広い料理とはマッチしてくれないという難点が指摘されだした。クリームソースを合わせた鶏肉料理か魚介類というのが相場だった。女友達は「このタイプのシャルドネに飽きてしまったのよね」と嘆く。
そしてノー・オークのシャルドネが造られ始めた。そのきっかけになったのが、ステンレスタンクで発酵させてオーク樽は一切使っていないニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランの登場だ。きりっと引き締まったソーヴィニヨン・ブランがレストランでももてはやされた。
ということで、女友達が「えっ、このシャルドネおいしいじゃない!」というタイプのシャルドネとして、ノーオークのシャルドネが生産されている。
でも単にシャルドネのブドウをステンレスタンクで発酵させて、オーク樽を使わないという醸造方法で品質のいいシャルドネが出来るかというと、そうではない。ノーオークのシャルドネは品質の良いブドウを使わないと、ブドウの味がそのままワインに反映されるから、出来不出来の差が大きくなり勝ち。
ステンレスタンク発酵のシャルドネだからといってアルコール度は低くても単に酸味がたっぷりで、あまり興味深さがないワインだと、ノーオークのシャルドネであってもつまらないワインはつまらない。
そこでオーク樽を使わずに質の高いシャルドネを造るために、醸造家たちは醸造方法の選択をしている。
醸造家が選択するのは、まず質の良いシャルドネブドウを使うこと。そして糖度をどのくらいの高さで摘むのか。理想的に熟したブドウを使うことが大切。それからクローンの組み合わせ。豊かなアロマを持つクローンと構成がしっかりしたワインになってくれるクローンの組み合わせなど、工夫をしている。
全房を圧搾 搾汁、発酵が終わると、どういうスタイルのワインにするかを決める醸造技術として、澱と一緒に付け込むか、澱と一緒に漬け込むとしたらどのくらいの長さにするか、マロラクティック発酵をするのかしないのか、するとしたら、どのくらいの割合にするか、100%にするかといったことを意図したスタイルのノー・オーク・シャルドネを造るために選択する。
最近はオーク樽で発酵させて、熟成させたシャルドネでも、前のようにオークを強調しない、あるいはバタリーな風味と香りを抑制するためにマロラクティック発酵をせずに、すっきりした酸味を個性とするタイプのシャルドネも造られている。オーク樽は上手く使うと悪くないということなのだ。
良質のノー・オーク・シャルドネは蒸し暑い日本の夏を乗り切るのにぴったりの白ワインかもしれない。

ノー・オーク・シャルドネのリスト
アイロンホース Iron Horse
オリベットレーンOlivet Lane
トッド・ホロー Toad Hollow
シルヴァー(メル・ソレイル) Silver ( Mer Soleil)
アセロ(マリマー・トレス) Acero ( Marimar Torres)
イノックス(メルヴィル)  Inox (Melville)