No.35 5月の試飲会

2つの試飲会
5月は試飲会が多く開催される月。ポルトガル、カベルネ・ソサエティ、ワインリタレリーアワード・ファンデーション主催、オレゴンといろんな地区といろんな品種のワインをテイスティングする機会に恵まれた。それぞれのテイスティングの印象をさっとまとめてみた。
ポルトガル
広く浅く、全体的な印象と感想。栽培されている品種がとても多いということに驚いた。スケールは小さめだけれどフルーティで軽やか、シンプル。でもきりっと酸味が利いた赤ワインが15ドル前後で買える。このタイプのワインが好きな人にとっては嬉しいワインかも。本格的なワインだと60ドルというのもあった。この価格帯になると、値ごろ感はない。栽培技術、醸造技術が、もう少し進むまで待ってみたい。
カベルネ・ソサエティ
2004年と2005年ではカベルネのタイプが違っている。2004年は暖かい地区のものはジャミーで過熟気味と感じる人もいるかもしれない。もちろんバランスがよくいいワインもあったのは当然だけれど。一方、涼しい地区のカベルネの2004年は程よく熟していいものが生まれている。2005年は暖かい地区のカベルネは抑制が効いて軽やか。人によっては期待していたボディがないと思うかもしれないし、ある人はエレガントで2005年のほうがいいと思うかもしれない。あくまでも一般的な印象で、各ワイナリーによって違うので、飲んでみてヴィンテージの違いを味わってみてほしい。恒例のテイスティングなのだけれど、年々、参加するワイナリーの数が減っているようだ。
印象に残ったワイン:
2004 Adelaida Cellars
2004 Cain Five
2004 Profile Merryvale Vineyards
2004 O’Shaughnessy Estate Winery
2005 Barnett Vineyards
2005 Cliff Lede Vineyards
2005 Gargiulo Vineyards
2005 Hall
2005 Jericho Canyon Vineyard
2005 Viader

ワインリタレリーアワード・ファンデーション主催のテイスティング
18周年を迎えたこのファンデーションでは、今年はチャールス・サリヴァン氏がこの賞を受賞。どこでこのテイスティングと結びつくのかよくわからないけれど、3,000本のボトルが試飲に提供されているのだ。ワインは全米のもの。品種別にずらりと並べられている。カリフォルニアワインが半分以上、後はオレゴン、ワシントン、ヴァージニア、ニューヨーク等のワインだ。普段、飲む機会がほとんどないカリフォルニア州以外のワインを集中的に試飲してみた。1日で(正確には半日)で試飲できる数ではなくて、もったいない!
つまみ食い程度にしかならなかった試飲で印象に残ったこと:
☆ニューヨーク州のスパークリングワイン、2004 年Sparkling Pointe、 Brutは涼しい地区ならではの、きりっとした酸味がフレッシュでなかなかよかった。
オレゴン州、ウイラメッテ・ヴァレーのAnne Amieの2007ピノ・グリと2007リースリングは秀逸。
☆ニューヨーク州のセネカ・レーク地区のFox Runの2006年リースリングはドイツのリースリングを思わせる重油の香りがするよいワイン。
ロング・アイランドのノース・フォークにあるPeconic Bay Wineryの2005年リースリングも酸味がきれいで印象的。涼しい地区ならではのきりっとした酸味。
カリフォルニアのリースリングに多い、フルーティでほんのり甘い,ぽっちゃりタイプより、くっきりとした酸味が特色のアメリカのリースリングが飲みたいときには、オレゴン、ニューヨーク、ワシントン州、ロング・アイランドのリースリングを探してみるのも面白い。でもニューヨークやロング・アイランドは、まだ生産者によって質にばらつきがある。
☆オレゴン州のピノ・ノワールの質が急激によくなっていることが、明らかだった。Eola Hills Wine Cellarsの2006年リザーヴ(ウイラメッテ・ヴァレー)のピノ・ノワールは軽やかなのだけれど、味わいが豊かで印象に残った。
☆ヴァージニア州出身の友人から、彼の州のワインをいつか飲んでみてといわれていた。良い機会だったので、数は少ないけれど、試飲してみた。栽培条件にマッチした最適な栽培技術、醸造技術を見つけるまで待ってみたい。

オレゴンテイスティング
40のワイナリーが参加しているテイスティング。栽培、醸造技術がすごく進んでいたので驚いた。口当たり、フィニッシュが良いワインが多くなっている。このところ良いヴィンテージが続いていることもあるのかもしれない。
レースのようにデリケートなピノ・ノワールまでは行っていないけれど、エレガントなタイプのピノ・ノワールが多かった。フルボディの高級ピノ・ノワールを生産するワイナリーが参加していないので、印象に、少し狂いがあるかもしれない。良質ワインを少量生産するワイナリーが多く値段も高い。売れ始めると値段が上がるのは、どの世界でも同じ。
サンタ・バーバラがシラータイプのコクのあるピノ・ノワールが多いのと対象的。ロシアン・リヴァー・ヴァレーはなめし皮とかスパイスを含んだフルーティなタイプ、カーネロス地区はブラックチェリーなどのフルーティなピノ・ノワールと、それぞれの地区のピノ・ノワールの特色が出てきている。これがピノ・ノワールと決め付けずに、地区の特色を味わいたい。
印象に残ったワイン:
★Adelsheim Vineyard
2006 Elizabeth’s Reserve Pinot Noir $46
★Amalie Robert,
2005 Dijon Clone Pinot Noir $38
★Benton-Lane
2006 Benton-Lane Pinot Noir Willamette Valley $25
★Carter Vineyard
2006 HillBlock Pinot Noir $46
★Elk Cove Vineyards
2006 pinot Noir Willamette Valley
★Stoller
2006 Stoller JV Estate Pinot Noir $25