In Pursuit of Balance 試飲会

サンフランシスコでのIPOBの試飲会は316日に開催された。今年は市内の中心地にあるMetreonが会場。試飲にぴったりの大きな窓がある会場に小さなワイナリー(例外はあるけれど)が33の参加。このグループのワインはブルゴーニュがモデルなのでピノ・ノワールとシャルドネ (昨年から加わった)だけの試飲。バランスを追求しているワイナリーがメンバー。このメンバーのワイナリーは涼しい地区で栽培されたブドウから、くっきりした酸味とミネラル分が特徴のピュアーで軽やかなワインを造っている。

このグループがゴールとしているワインについて、関心がある方は、試飲&マーケットレポートのセクションの記事13 「新しいスタイルのカリフォルニアのピノ・ノワール」と記事12「新しいスタイルのカリフォルニアのピノ・ノワールその2」をご覧ください。

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12時開場にもかかわらず、その前からすでに参加者が待機。このスタイルのワインに大きな関心を持つ関係者(ソムリエを含む)はサンフランシスコとニューヨークに多い。

33のワイナリー(23のワイナリーの試飲ができなかった)の試飲を通して感じたのは、1)フルーティさは一切なくスパイスが感じられるタイプと、2)程よいフルーツ味が感じられる2つのタイプのピノ・ノワールが造られていること。もちろんこの中間もあった。ブドウを摘む時期と梗の使用率(全房か粒か、あるいは組合せの割合)によってタイプが変わるのだろう。

1)のタイプの代表的なのは:

Kutch

Domaine de la Cote

Flowers

2)のタイプの代表的なのは:

Sandhi

Tyler

Drew

どちらのタイプもきちんと造られている。どちらが美味しいと思うかは、好み次第。

Kutchのワインはとても面白いしいいワインと思う。だけど私はカリフォルニアの太陽に恵まれて育ったカリフォルニアならではのフルーツ味を否定するということについて、複雑な気持ちがする。カリフォルニアという土地で育ったブドウというフルーツから造られてるんだから、、、、、、。上品なフルーティさが感じられるピノを飲んだときに、ほっとした。

ほっとして美味しいと感じた2)タイプのピノ・ノワール:

Drew

2012 "Weir Vineyard" Pinot Noir Yorkville Highlands

2013 "Fog-Eater" Pinot Noir, Anderson Valley

Sandhi

2012 "Sanford & Benedict" Pinot Noir, Sta. Rita. Hills

2012 "Rinconada" Pinot Noir, Sta. Rita. Hills

Tyler

2013 Pinot Noir, Santa Barbara County

1)タイプで酸味の長いフィニッシュが印象に残ったワイン:

Flowers

2011 "Sea View Ridge" Estate Pinot Noir, Sonoma Coast

IPOBグループのピノの今後の課題は口当たりではないかという醸造家の声も聞いた。そういう意味で、このワインはとろみのあるテキスチャーがよかった。

Cobb

2012 "Rice-Spivak vineyard" Pinot Noir, Sonoma Coast

シャルドネ

当然ながら樽香、バニラ風味が特色とされるタイプのシャルドネは一つもなかった。ただ多分まだ若いヴィンテージということもあるのだと思うけれど、フィニッシュが苦く感じられたり、酸がまだとんがっていてシャープなのも結構あった。それと単にシンプルでアルコール度が低いだけというワインもあった。

必須だったかもしれないいくつかのワイナリーのシャルドネを時間切れで試飲しなかったので、不十分なコメントになってるかもしれません(泣)。

いいなあと思ったシャルドネは:

Tyler

2012 "Sanford & Benedict" Chardonnay, Sta. Rita. Hills

Ojai

2012 "Solomon Hills" Chardonnay, Santa Maria Valley

面白いと思ったシャルドネ:

Matthiasson

2012 "Michael Mara Vineyard" Chardonnay, Sonoma Coast

カジュアルにいえば薄いという方とエレガントと感じる方といると思う。ミネラルが感じられて、レモンの味のフィニッシュが長く続く。

Midego Ridge Vineyard

2013 Chardonnay, Santa Cruz Mountains

ミネラルとフルーツの甘味(このグループでは珍しい)が少しだけあって、美味しい酸と少しの苦味の長いフィニッシュ。

どのワインも質が高く、IPOBの基本メッセージにマッチするワイン(例外もあるけれど)が試飲できて楽しかった。このグループは一見、新しいタイプのワインの啓蒙をするグループと思えるけれど、単にそれだけではなくて、小さなワイナリーがまとまってマーケティング活動をしているという面もある。自社畑を持っているワイナリーは少ないし、生産量も少ない。このワイナリーがワインを売っていく方法として、デストリビューターも通しているけれど、一般消費者にメーリングリストに加入してもらってワイナリーから直接売るという方法が多い。

 

有名なソムリエ、そして醸造家、ルビコンのジェネラルマネージャーも勤めたラリー・ストーンもいらしてました。奥のほうの背広姿の紳士。